小児科

小児の結核医療

2010年09月号(51巻 10号)

企 画
定 価 2,700円
(本体2,500円+税)
在庫状況 なし
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特集 小児の結核医療
1.BCG接種方式変更後の接種率と副反応
星野(田川)斎之
2.小児における潜在性結核感染症の診断と治療
徳永 修
3.学校における接触者健康診断
中坪 直樹
4.小児期の結核症の特徴と治療の現状
高松 勇
5.新しい結核ワクチンの開発
岡田 全司
■目で見る小児科
先天性喘鳴で発症した乳児舌根嚢胞の1例
鹿野 高明
■綜説
乳児の脳発達と扁桃体
西条 寿夫
骨髄異形成症候群における病理組織診断の意義
伊藤 雅文
■診療
小児喘息における吸入β刺激薬の使い方
足立 雄一
小児の心不全の治療
深澤 隆治
いじめによるPTSD
脇口 明子
副鼻腔気管支症候群とその周辺の疾患
洲崎 春海
■小児保健
鹿児島県におけるHibワクチンの前方視的安全性調査(中間報告)
西 順一郎
■社会小児科学
麻疹の検査室診断法と全数検査診断に向けた取り組み
染谷 健二
■症例
乳幼児イオン飲料を背景に高ADH血症を伴いけいれんを群発した幼児例
宮城 なつき
関節炎を合併した川崎病ガンマグロブリン不応の3例−ステロイドパルス療法とステロイド後療法の有効性−
児島 克明
■最近の外国業績より
アレルギー
日本医科大学小児科学教室
◇6月に財務省から各省庁への来年度の概算要求基準案(シーリング)71兆円が示され、大学を管轄する文部科学省や医療を管轄する厚生労働省も2010年度予算から一律10%減という乱暴とも言える提案が行われています。確かに日本の財務状況が極めて厳しいことは承知していますが、これでは医療や今後の医療開発をとても担うことができません。編集後記の依頼を受けた頃、ちょうど参議院予算委員会が開会されており、菅首相は概算要求基準で設けた1兆円超の特別枠への予算配分においては医療に配慮するニュアンスの発言をしています。しかし、来年度の医療への予算はかなり厳しいものになることは間違いありません。このようなわが国の状況において、いつもしわ寄せを被るのは弱者であり、小児医療への手当がどのようになるのか心配です。

◇今月の特集は「小児の結核医療」です。結核は、世界的にみて現在も解決していない重要な感染症であり、わが国においては結核罹患率の増加から1999年に「結核緊急事態宣言」が厚生省(現厚生労働省)より出されたことが記憶に残っています。一方、2005年よりBCGの接種対象者が「生後4歳になるまで」から「生後6カ月までの直接接種」に変更され、接種率の低下や原発性免疫不全症患者への接種のリスクが、当時議論されました。また、結核感染症の診断法もベルクリン反応に加えてクォンティフェロンTB-2Gの導入など、この10年余りにおいて結核医療は大きく変貌しています。そこで小児結核について幅広く情報をまとめることは、時宜を得たものであり、知識の整理と日常の診療にご活用ください。

◇綜説欄に掲載されている「乳児の脳発達と扁桃体」は、人の社会行動の基本であるコミュニケーションを構成するメカニズムについて、医学的に分かり易く解説した論文です。人類の脳発達過程の面白さも十分に味わうことができます。そして骨髄異形成症候群の診断に関する論文も掲載されています。

◇診療欄には、喘息および関連疾患、循環器疾患から「いじめによるPTSD」という社会性の高い論文、と幅広く4つの話題を取り上げました。

◇小児保健欄の「鹿児島県におけるHibワクチンの前方視的安全性調査」は、Hibワクチン接種の希望者が2008年の発売以来増加しており、途中経過の報告ですが貴重な情報といえます。

◇この他に目で見る小児科欄、社会小児科学欄や症例欄にも充実した内容が満載されています。編集後記をまとめている今も極暑の最中ですが、夕方の風に少し変化が感じられます。本誌がお手元に届く頃には夏から秋への移り変わりを迎えていることでしょう。

(河野陽一)