臨床放射線

脳疾患における分子イメージング

2010年04月号(55巻 04号)

企 画
定 価 2,592円
(本体2,400円+税)
在庫状況 なし
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特集 脳疾患における分子イメージング
はじめに
伊藤 浩
核医学による脳病態の観察
伊藤 浩
認知症の分子イメージング
岡村 信行
パーキンソン病の分子イメージング
尾内 康臣
統合失調症・うつ病の分子イメージング
荒川 亮介
分子イメージングによるトランスレーショナルリサーチ−創薬と脳科学のための分子イメージング−
水間 広
■総説
眼窩および眼窩周囲腫瘤性病変の実践的鑑別診断
神沼 智江
頸静脈孔−解剖・臨床症状と疾患の画像診断−
栗原 宜子
■診療
悪性リンパ腫・多発性骨髄腫における脊髄神経周囲進展のFDG-PET/CT所見
河 相吉
早期声門癌に対する治療方針に関するアンケート調査−耳鼻科医を対象とした調査結果−
平澤 直樹
高齢者(75歳以上)に対する根治的放射線治療の検討
岡部 智行
■症例
拡散強調像において広範な大脳高信号を呈したShaken baby syndromeの2例
朝戸 信行
歯原性角化嚢胞に由来した上顎骨PIOCの1例
木村 幸紀
甲状腺癌骨転移に対するビスフォスフォネート製剤治療により顎骨壊死を生じた2例
田中 宏子
悪性腫瘍による食道気管支瘻に対して食道ステント留置およびNBCA-Lipiodol混和液の注入にて瘻孔閉鎖を行った1例
岸 尭之
オートプシーイメージングを施行した4例−死後CTと剖検との比較−
西原 圭祐
■短報
脊髄腹側で硬膜内髄外に発生した充実性脊髄血管芽腫の1例
林 成人
■連載
今月の症例
小山 雅司
インターネット入門(169)
長嶌 宏和
井の頭だより(32)
多田 信平
◇今回の特集は"脳疾患における分子イメージング"ですが、分子イメージングの分野では近年、核医学とMRIとの間で激しいバトルが繰り広げられています。例えば認知症の診断で注目されているアミロイドイメージングはPETによるものがよく知られていますが、MRIでは7テスラの装置で造影剤なしでも可視化可能との説もあり、心臓核医学でその応用が進んでいるRI標識アネキシンによるアポトーシスイメージングではMRI用の鉄剤のアネキシンも開発されています。核医学では2核種イメージングがよく用いられますが、MRIでは鉄剤とガドリニウム剤が混在する際に、鉄剤の分布をT2強調像で、ガドリニウム剤の分布をT1強調像により分けて描出するテクニックもあります。遺伝子イメージングは核医学の方が進んでいるようですが、MRIでの研究も活発で、両者の関係から目が離せないというのが現状です。

◇ところで"分子イメージング"はその概念が広く、難しい言葉でもあります。文字どおりにとらえれば特定の分子(主に蛋白質)をターゲットにしてその生体内分布を画像化する技術ですが、時に細胞レベルでのイメージングにも用いられ(cell tracking)、また遺伝子やその産物レベルでのイメージングにも用いられます(antisense imaging、reporter geneimaging)。これと似てわたしが難しいと思っている言葉に"張本人"があります。この言葉は"張+本人"のように見えて、実際は"張本+人"です。"張本"には事の起こり、原因、伏線を張ることの意味があり、必ずしも悪いニュアンスだけではありませんが、"張本人"は首謀者と同様に悪い意味で使われることが多いようです。近い将来、"画像診断の進歩をもたらした張本人は分子イメージングである"と言えるような時代が来
るのでしょうか、またこの日本語の使い方は正しいのでしょうか?

橋本 順