産婦人科の実際

女性ヘルスケア 集中講義!

2015年11月臨時増刊号(64巻 11号)

企 画 久保田 俊郎
定 価 8,250円
(本体7,500円+税)
在庫状況 なし
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女性ヘルスケア 集中講義!−次世代の女性医学の可能性を求めて−
女性医学 概論−日本女性医学学会理事長の展望−
水沼 英樹
I 次世代に向けた女性医学領域の基礎研究
1.骨を基軸とした臓器間ネットワークによる代謝調節
塩飽 由香利
2.エストロゲン作用を示すコレステロール代謝物:27-hydroxycholesterol
石川 智則
3.エストロゲン受容体およびその活性制御に関連した転写因子の分子機構について
平池 修
4.子宮内膜症と心血管リスク−Cardiovascular diseaseと子宮内膜症治療薬との関連は?−
篠原 康一
5.女性医学における基礎的研究の成果
久保田 俊郎
II こんなときどうする? 他科との境界領域の患者さんがやってきた
内科系
1.女性の動脈硬化性疾患発症予防のための管理指針
若槻 明彦
2.女性ホルモン剤の安全な処方と血栓症への対策
小林 隆夫
3.これからの糖尿病診療−"質"の高い血糖コントロールを目指して−
玉澤 敦子
4.中高年女性に対する肥満症の診療
宮崎 滋
5.更年期の高血圧におけるfirst line治療
河野 宏明
6.女性外来におけるスタチン系薬剤の使い方
河野 宏明
精神神経系
7.認知症の予防とそのエビデンス
朝田 隆
8.女性外来で抗うつ薬と睡眠薬をどう扱うか?
松島 英介
9.女性に多い精神疾患の診断と治療
甫母 瑞枝
泌尿器系
10.男女の性差から考える加齢とテストステロン
井手 久満
11.女性下部尿路症状−尿失禁と骨盤臓器脱の最新治療−
吉澤 剛
12.男女の性差から考える過活動膀胱の治療
増田 均
III 外傷だけじゃない 女性アスリートのヘルスケア
1.女性アスリートの月経前症候群・月経前気分不快障害
武田 卓
2.女性アスリートにおける月経周期の調節
能瀬 さやか
3.女性アスリートの月経異常を考える
難波 聡
4.女性アスリートと骨の健康
甲村 弘子
5.女性アスリートの三主徴と摂取エネルギー量の関連
小清水 孝子
6.女性アスリート育成、支援−産婦人科医に期待されること
山口 香
IV 子宮内膜症診療へのアプローチ
1.中高年子宮内膜症患者の血管機能
鎌田 泰彦
2.卵巣チョコレート嚢胞の癌化とその診断・管理・予防
谷口 文紀
3.内分泌療法からHRTへの移行
北脇 城
4.40歳以上の子宮内膜症罹患者に対する手術療法の問題点とその対策
平田 哲也
V 産婦人科医が知っておきたい! 乳がん検診と乳房管理
1.乳がん検診への理解と診療のコツ
三角 みその
2.妊娠中における乳がん検診
土橋 一慶
3.乳がん患者・サバイバーのヘルスケア−包括的ヘルスケアのニーズ−
清水 千佳子
4.乳がん検診の受診率向上にむけた産婦人科医の役割
加藤 剛志
5.HRTと乳がん検診
甲村 弘子
VI 外来でよく出くわす感染症の診療ストラテジー
1.HPV感染の予防と治療
川名 敬
2.無症候性・性器クラミジア感染症の大流行の実証
熊本 悦明
3.サイトメガロウイルス母子感染
山田 秀人
4.女性と三大感染症−HIV/AIDS、結核、マラリア−
相澤(小峯) 志保子
5.細菌性腟症と早産
塩? 有宏
VII エビデンスに基づく女性ヘルスケアと食・栄養
1.性の高齢期におけるビタミンC摂取の必要性
石神 昭人
2.女性医療におけるポリフェノールの魅力−女性のアンチエイジングは可能か?−
寺内 公一
3.女性のヘルスケアのための食事力
丸山 智美
4.イソフラボンと血管機能
尾林 聡
5.エクオールと女性の皮膚
松永 佳世子
VIII 50歳代の女性が骨について相談に来たら?
1.ビタミンD、SERM、ビスフォスフォネートの使い分け
茶木 修
2.「私はHRTを選びました」
松下 宏
3.「私はビタミンDを選びました」
松井 寿美佳
4.「私はSERMを選びました」
小林 範子
5.「私はビスフォスフォネートを選びました」
谷口 綾亮
IX 外来でできる婦人科がんの予防とヘルスケア指導
1.これからの子宮頸がん予防
宮城 悦子
2.子宮体がんの予防とヘルスケア
進 伸幸
3."子宮体がん治療後のHRT"を考える
高松 潔
4.卵巣がん検診は有効か?
松村 謙臣
X もう迷わない! ホルモン製剤を極める
1.女性診療におけるLNG−IUS(ミレーナ)の有用性
百枝 幹雄
2.ホルモン補充療法の基本と実践−経皮吸収ホルモン製剤を中心に−
望月 善子
3.OC・HRT普及のカギ−40代〜閉経移行期のホルモン療法−
種部 恭子
4.経皮吸収エストロゲン製剤を用いたHRTのメリットと早期卵巣機能不全への応用
岡野 浩哉
5.HRTか?漢方か?
安井 敏之
XI 思春期とどう向き合う? 若年者のためのヘルスケア
1.避妊指導の実際
北村 邦夫
2.思春期の性教育の必要性とその現状
安達 知子
XII コメディカルから学ぼう
1.女性のための健康教育とカウンセリングの実際−看護職の立場から−
千場 直美
2.女性に受け入れられやすいホルモン製剤処方の際の説明のしかた
宮原 冨士子
3.尿漏れ、骨盤臓器脱に役立つ骨盤底筋体操と生活指導
梶原 敦
企画者のことば

 女性医学は、女性のすべてのライフステージにおける疾患やその予防に関する医学的諸問題について対処・探求することを目指す新しい領域です。2014年秋、日本産科婦人科学会から、サブスペシャルティーの1分野として正式に認められました。当初は更年期・老年期女性の病態生理および疾患に関する臨床やその研究がメインでありましたが、対応すべき領域の拡大とともに、この女性医学は、臨床的・学究的な機運の大きな盛り上がりをみせております。今後少子・高齢化が進むわが国において、社会におけるこの領域の役割はますます重要になると考えております。2014年11月に、第29回日本女性医学学術集会の会長を担当させていただきました。産婦人科の専門分野を越えて多くの医学研究者、医療従事者が集い、新しい女性医学への理解を深めることのできる有意義な学術集会にしたいと考え、本学会のメインテーマを「次世代の女性医学の発展を見据えて」としました。次世代のこの領域の発展を強く意識し、中高年女性のヘルスケアにとどまらず、女性内科、骨の健康や骨盤内の生殖器・泌尿器系のトラブル、食と栄養、そして種々の感染症など女性の生涯にわたる様々な諸問題について、理解を深めていくことを目差してプログラムを練りました。おかげさまで多数の参加者が集い、興味ある講演や活発な質疑応答のなかで、盛会裡に無事会を終えることができました。そのような折、「産婦人科の実際」編集室より臨時増刊号の特別企画のゲストエディターの依頼を受け、学術集会でのプログラムをベースに企画を立案しました。本誌のサブテーマを「次世代の女性医学の可能性を求めて」とし、女性医学領域での基礎研究のトピックス、内科など他科とオーバーラップする重要なトピックス、そしてこの学術集会で取り上げた「女性アスリートのヘルスケア」や「中高年女性における子宮内膜症」、「食・栄養の果たす役割」に関する項目について、各方面のエキスパートに執筆をお願いしました。この臨時増刊号に触れた多くの読者が、次世代の女性ヘルスケアに魅力を感じ、今後大いなる発展の可能性を予感していただければ望外の喜びであります。

 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 生殖機能協関学 教授 久保田俊郎