眼科

ぶどう膜炎アップデート

2009年07月号(51巻 07号)

企 画
定 価 2,916円
(本体2,700円+税)
在庫状況 なし
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特集 ぶどう膜炎アップデート
序論
後藤 浩
1. Fuchs虹彩異色性虹彩毛様体炎の病因
鈴木 潤
2. Blau症候群の病因と病態
太田 浩一
3. Vogt−小柳−原田病における脈絡膜の病態
川口 龍史
4. ベーチェット病に対するインフリキシマブ療法
慶野 博
5. HAART療法時代のHIV関連眼合併症
八代 成子
6. ぶどう膜炎治療におけるドラッグデリバリーシステムの可能性
真下 永
■表紙の解説
原田病(Vogt−小柳−原田病) 7.
澤 充
■展望
硝子体の展望 −2006年度−
李 才源
■黄頁の知識
妊婦・妊娠可能な女性の緑内障
小口 芳久
■神経眼科疾患
4. 優性遺伝性視神経萎縮
清水 聡子
■原著
0.1%シクロポリン点眼により治療した春季カタル8症例の検討
原田 奈月子
■臨床報告
Vogt−小柳−原田病に類似した漿液性網膜剥離を呈した後天性眼トキソプラズマ症の1例
高橋 宙
コンタクトレンズ関連角膜潰瘍の1例
能谷 聡子
■私の経験
ベバシズマブ(アバスチン®)硝子体注射に関する全国調査
飯島 裕幸
◇初期医師臨床研修制度が発足して5年になるが、この間の医師の地域および診療科偏在の顕在化にこの制度が中心的役割を果たしたことは衆目の一致するところである。2年間の研修を無難に終了した医師の感想としてはそれなりに得るものはあったと述べる一方で達成感に乏しい。これには大学病院では指導医と研修医との精神的連携がどうしても薄弱なこと、その結果、相互の信頼関係が醸成できず、医療技術を教えることが難しいことが挙げられる。「研修医に診て貰うのは断る」と憚らない患者、「なぜこうした手技を研修医にさせたのか」などの社会の論調があり、研修医の自立心が損なわれることにもなっている。加えて、一握りの精神的に弱い医師に対する労働基準法の網が医師の使命感を矮小化させることにもなっている。これらの問題に関して全国医学部長病院長会議の場で厚生労働省の担当課長が正面から実態を認め、大学病院が研修に果たしている役割、医師派遣機能の回復を図ると断言された。ただ、惜しむらくは医師の勤務については労働省サイドのことで容喙できないと発言をされた。行政組織を考えると理解せざるを得ず、かつ研修制度立案に医師も加わっていたわけで厚生労働省のみを非難できない状況ではある。こうした状況で大学は平成22年度からの研修制度への前向きかつ、少ない時間で改編に取り組む日々である。

◇今月号の『眼科』の特集はぶどう膜炎である。企画者の後藤教授が「大きなブレイクスルーが少ない領域」との書き始めであるが、各著者のわかりやすい論文の結果、「顕著な進歩がみられる」と締め括られる内容となっている。私は今回、初めてBlau症候群を正確に知ることができた。Behcet病は30年前と明らかに病態が様変わりしたと感じるのは私だけであろうか。患者には朗報であるが前房蓄膿を最後に経験したのは遠い昔となっている。「展望」は網膜硝子体疾患についてわかりやすくまとめられており、『眼科』の伝統をさらに前進させる内容である。「黄頁」の妊娠と緑内障薬に関してはFDA分類でクラスB, Cが多いことは私にはあらたな知見であった。原著論文に関しては私どもの施設の論文が2編掲載されており、論文を書かない世代(これも研修制度が影響していると八つ当たりしたくなる)が増えているなかでホッとしている。岸教授も同様にホッとされているのではないだろうか。神経眼科疾患シリーズは診療の合間に知識を整理し、臨床の糧になる内容を盛込むとの『眼科』のもうひとつの伝統に沿うものである。ベバシズマブに関する全国調査は患者へのインフォームドコンセントを得るのに即、役に立つ。欲をいうと分注処理方法も記載されていると良かったが、飯島教授の調査に感謝する次第である。

◇梅雨の最中、紫陽花をめでる方、体調管理に苦労される方、さまざまと思いますが、わが国では梅雨があってはじめて万物が順調であると考え、前向きに過ごしたいと思います。

(澤  充)