眼科

眼科における先天異常

2009年06月号(51巻 06号)

企 画
定 価 2,916円
(本体2,700円+税)
在庫状況 なし
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特集 眼科における先天異常
序論
岸 章治
1. 角膜の先天異常
島崎 潤
2. 水晶体疾患
野村 耕治
3. 網膜硝子体疾患
仁科 幸子
4. 緑内障
田原 昭彦
■表紙の解説
原田病(Vogt-小柳-原田病) 6.
山本 素士
■展望
涙器の展望 −2005年度−
栗橋 克昭
■綜説
甲状腺眼症の診断と治療の進歩
前田 利根
■網膜硝子体手術メンタル編
113. 鑑真と失明
出田 秀尚
■神経眼科疾患
3. 非動脈炎性前部虚血性視神経症
大野 新一郎
■原著
抗悪性腫瘍薬TS-1®による角膜上皮障害の検討
立花 敦子
■臨床報告
網膜細動脈瘤による黄斑部漿液性網膜剥離の光干渉断層像
帯包 敬太郎
先天性眼トキソプラズマ症の再発性網脈絡膜炎の1例
近藤 剛史
■学会抄録
第114回兵庫県眼科医会学術集談会
◇ゴールデンウィーク前後から世界的なニュースになった新型インフルエンザは、いよいよ日本でも関西地区を中心に感染拡大がみられ、経済活動や社会生活にさまざまな影響を及ぼすことがニュースで話題になりました。医学関係では、国内国外での学会開催の点で大きな影響がみられました。5月はじめにフロリダで開催されたARVOで、発表を予定しながら渡米をキャンセルした日本人眼科研究者が大勢いました。国内学会でも大阪、神戸地区にて開催が予定されていた麻酔科学会や精神科の学会が中止や延期になったようです。眼科になじみの深いアデノウイルス結膜炎による院内感染も、社会問題になる可能性がありますが、今回のインフルエンザ事件の規模の大きさはケタ違いでしょう。幸い今回のインフルエンザに罹患しても、死亡例など重症例は国内ではいなかった
ようですが、いまさらながら、伝染力の強いウイルス感染症の社会的影響の大きさには驚かされます。

◇さて今月号の特集は先天性眼疾患です。先天性疾患とは生下時に既に存在する医学的異常をいいますが、学生教育の現場で、若いひとたちが遺伝性疾患イコール先天性疾患であると誤解していることが多いように感じます。先天異常と遺伝子異常の関係については田原昭彦先生が緑内障の項でも触れておられます。先天性疾患の中にはもちろん遺伝が原因のものもありますが、胎児期に関与する感染や薬物が原因のものも少なくありません。また網膜色素変性症がそうであるように、遺伝性疾患の多くは実は後天性に発症します。患者の多くが高齢者である眼科の診療現場で、先天性疾患をみる機会はそう多くはないかもしれません。しかし眼科に限らず、先天性疾患の種類は多く、まずは見た目で診断をしなければならない分野にあって、今回の特集で要点をまとめてくれているのは助かります。

◇またTS−1は最近頻用される抗がん剤です。その副作用として角膜上皮障害がしばしばみられることが最近学会などでも報告されるようになってきました。今月号の原著では、日大からTS−1による角膜上皮障害のケースシリーズが報告されています。角膜上皮障害をみた際には紫外線、涙液、点眼薬などを考慮しますが、今後は使用中の抗がん剤についても気を配る必要があることを感じます。

(飯島裕幸・記)