眼科

強膜炎

2010年09月号(52巻 09号)

企 画
定 価 2,916円
(本体2,700円+税)
在庫状況 なし
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特集 強膜炎
序論
後藤 浩
1.発症機構
堀 純子
2.強膜炎と全身疾患
臼井 嘉彦
3.感染性強膜炎
高橋 博
4.強膜炎の薬物療法
慶野 博
5.強膜炎の外科的治療
堀 裕一
■表紙の解説
トラコーマの研究と石原忍先生
澤 充
■展望
色覚の展望−2007年度−
林 孝彰
■綜説
眼窩吹き抜け骨折
上田 幸典
多局所ERG
島田 佳明
■黄頁の知識
LED照明と眼
小口 芳久
■より良い診療を目指して 他診療科との連携
9.悪性リンパ腫
三浦 勝浩
■原著
凸レンズ負荷とpinholeを用いた不完全遮閉効果について
長島 弘明
■臨床報告
急性網膜壊死様の眼底所見を示した悪性リンパ腫の1例
大口 泰治
抗アクアポリン4抗体陽性であった視交叉炎の1例−視野におけるoptic one and a half症候群
山本 昇伯
検眼鏡的に復位した網膜剥離に再度視力低下をきたした例
添田 尚一
25ゲージILM鑷子先端の術中破損の1例
森山 睦
「暑さ寒さも彼岸まで」の言い回しに例年になく期待感をもつ今年の夏です。全世界的な異常気象、政治と経済の不安定な状況下にあって、自画自賛になりますが『眼科』は編集委員会での検討を踏まえて日常臨床に役立つ内容に充実したと考えております。今回は展望、特集、綜説2編、黄頁、他科との連携のシリーズ、原著論文、臨床報告4編とフルラインアップの構成となっています。

 編集委員会では発刊の主旨を維持しつつ、またその主旨を現状の眼科臨床、学問的レベルにどのように反映していくかを毎回、議論・検討しています。"「展望」と「綜説」とはどのような意味づけ、また相違があるのか?"。"「展望」は文献検索に有用であったが、文献検索が容易になった現在にあってはその意義が希薄になりつつあるのではないか?"、などでありますが、今回の「色覚の展望─ 2007年度─」は色覚異常と採用条件などのまとめを示していただき、かつ後天色覚異常についても幅広く簡潔なまとめがなされている、など臨床に有用な内容を多く含み、新たな視点に立っての執筆をいただいています。しかし、こうした内容の構成は大変難しいのではないかと考えております。一方で「綜説」では病態、検査などの内容について絞り込み、そのうえで豊富な臨床データを盛り込む構成にしていただいております。今後はこうした「綜説」を主体にしていく方向を考えております。

 「原著」と「臨床報告」とをどのように考えるべきかも難しい問題であると理解しております。現在、『眼科』では編集委員を中心に査読システムを確立しており、論文受理に至るまでに編集部から著者に多い時は3、4回以上改変依頼、論文の推敲を依頼しております。したがって、「原著」、「臨床報告」とでは論文の質に差があるとは考えておりません。「原著」は多数例を対象とした臨床研究、「臨床報告」は単例〜少数例の報告というのがひとつの区分と考えられますが、単一症例報告であっても「原著」での掲載、その逆もありで、一律な線引きはないというのが実情です。

 9月号の個々の論文についてみますと「特集」の強膜炎は、私ども大学の医療機関で経験する症例は強膜融解や全身疾患(関節リウマチ、他)の合併であることが多く、また、副腎皮質ステロイド薬の使用に問題のある糖尿病、骨疾患などがみられることがあり、強膜炎=難治性とのイメージが強いのが事実です。強膜融解についてはドナー角膜を使用してのパッチ移植手術をしていますが、再融解例も経験します。「症例報告−悪性リンパ腫例」については「他科との連携−悪性リンパ腫」と併せて読んでいただくと良いと思います。また視交叉炎、網膜剥離の再度視力低下例については次号の臨時増刊号と併せて読んでいただくと良いか、と考えています。「黄頁−LED照明」については急速に普及しているLEDの安全性の問題点を示していただいております。LEDは波長特性と(高い)輝度特性のために、色覚異常者にとってLED交通信号機の識別は負担になっているのもひとつの新たな事象でもあります。

 残暑とはいえ、灯火親しむ秋に向かって『眼科』9月号が勉学の呼び水になることを願っております。

(澤 充・記)