眼科

前房隅角のみかた考え方

2010年05月号(52巻 05号)

企 画
定 価 2,916円
(本体2,700円+税)
在庫状況 なし
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特集 前房隅角のみかた考え方
序論
飯島 裕幸
1.前房隅角の構造
久保田 敏昭
2.隅角検査法
栗本 康夫
3.UBMと前眼部OCTのみかた
酒井 寛
4.緑内障と前房隅角
相原 一
5.鈍的眼外傷と前房隅角
白木 邦彦
6.ぶどう膜炎と隅角
横井 克俊
■表紙の解説
一新会2.
岡島 修
■展望
血管性網膜疾患の展望の展望−2003年〜2006年−
黒澤 二郎
■綜説
硝子体手術の観察装置(広角観察システムと内視鏡)
鈴間 潔
白内障の疫学と予防
佐々木 洋
■黄頁の知識
角膜移植に関する法律の推移
小口 芳久
■より良い診療を目指して 他診療科との連携
5.サルコイドーシス
高橋 典明
■緑内障セミナー
緑内障3分診療を科学する!−アドヒアランスとコーチング−
吉川 啓司
■臨床報告
黄斑部に病変が認められた先天性サイトメガロウイルス感染症の1例
寺井 朋子
小細胞癌に伴う癌関連網膜症(Cancer-associated retinopathy)の1例
岡野 義郎
黄斑部からの人工的後部硝子体剥離作成法
佐藤 孝樹
 今年の桜は開花前の寒気で足踏みをさせられたせいか、ひときわきれいであった。春の日眼総会は一時、内容が基礎的すぎると敬遠され、参加者が2,500人ほどまで減ったが、プログラムの充実とともに見事、復活し、今年の名古屋では4,784人という盛況であった。外国の学会に出ていつも思うのは、日本の発表のレベルの高さである。日本の眼科医はまじめによく病気を診ていると感心する。OCTひとつをとってもこれほどの業績を挙げたのは日本だけであろう。日本が海外に発信するJJOの評価が上がっているのも喜ばしい。JJOの採択率は現在3割ほどであり、ちょっとした難関である。英語の壁を越えられれば、日本はもっと学問でも政治でも存在をアピールできるのだが。2014年には国際眼科学会が東京で開かれる。問題はベルリン、香港、シドニーに匹敵する大きな会場がないことである。ハブ空港が作れない、英語教育、国際会議場など、日本ほどの大国ができないはずはないのに、政治の貧困が残念である。

 今月の特集は「前房隅角のみかた考え方」である。隅角検査は、多忙な外来ではスキップされやすい。硝子体手術を施行した増殖糖尿病網膜症を紹介医に戻したら、血管新生緑内障で失明して戻ってきた。眼圧が上がったので、緑内障の点眼をしていたという。隅角を見て早期にルベオーシスを発見すれば、光凝固の追加ができたのにと悔やまれる。隅角は発達異常、落屑緑内障、ぶどう膜炎、プラトー虹彩など情報の宝庫である。綜説は硝子体手術の観察装置である。硝子体手術では25G、23Gの小切開は常識になった。現在、注目を集めているのは広角観察システムである。いずれも眼底を倒像で見てインバーターで直像にするシステムである。細隙灯顕微鏡検査でも、眼底は倒像レンズで見るのが主流で、直像レンズは駆逐されてしまった。硝子体手術も広角倒像へと移行
するのであろう。もうひとつの綜説は白内障の疫学と予防である。加齢以外の危険因子としては紫外線、喫煙、糖尿病、ステロイド、強度近視、放射線がある。過剰飲酒も含まれるが、適度のワインはリスクを低下させるという。今年から角膜移植のドナーが親族への優先的提供の意思表示をできるようになった。1親等以内が限度で、祖父母から孫へは適応されないが、一歩前進であろう。「他診療科との連携」はサルコイドーシスを取り上げている。最近、ぶどう膜炎で全身衰弱がひどかった患者さんがいたが、心サルコイドーシスを併発していた。サルコイドーシスの死亡原因の第1位が心病変であるという。ツベルクリン反応が陰性化するのは、肺局所では細胞免疫が亢進しているが、全身的には低下しているためという。いつもながら、全身病の知識が必要なことを痛感させられる。

(岸 章治・記)