眼科

覚えておきたい神経眼科疾患

2021年12月臨時増刊号(63巻 13号)

企 画
定 価 9,350円
(本体8,500円+税)
在庫状況 あり
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I 視神経疾患
1.視神経疾患総論
中村 誠
2.抗アクアポリン4抗体陽性視神経炎(NMOSD)
植木 智志
3.抗MOG抗体関連視神経炎
毛塚 剛司
4.慢性再発性炎症性視神経症
岡本 真奈
5.非動脈炎性前部虚血性視神経症
澤村 裕正
6.動脈炎性前部虚血性視神経症
中馬 秀樹
7.Leber遺伝性視神経症
上田 香織
8.優性遺伝性視神経萎縮
林 孝彰
9.鼻性視神経症
井上 晋也・鈴木 利根
10.視神経鞘髄膜腫
大矢 佳美
11.薬剤性視神経症
高井 康行・山上 明子
12.栄養障害性視神経症
栗本 拓治
13.小児の視神経症
木村 亜紀子
14.視神経低形成(De Morsier症候群を含む)
三原 美晴
II 眼球運動障害
1.眼運動神経麻痺
須田 謙史
2.眼筋型重症筋無力症
石川 裕人・三村 治
3.甲状腺眼症、甲状腺視神経症
神前 あい
4.特発性眼窩筋炎
奥 英弘
5.IgG4関連疾患
高比良 雅之
6.頸動脈海綿静脈洞瘻
坂口 貴鋭
7.眼窩先端症候群
檜森 紀子
8.Ocular tilt reaction
城倉 健
9.Duane症候群
根岸 貴志
10.Fisher症候群(Miller Fisher症候群)
原 直人
III 斜視・眼振
1.固定内斜視
田淵 仁志・藤尾 翔太
2.スマホ斜視
清水 有紀子
3.Sagging eye syndrome
國見 敬子・後関 利明
4.眼振
林 孝雄
5.上斜筋ミオキミア
橋本 雅人
IV 瞳孔異常
1.Horner 症候群
前久保 知行
2.瞳孔緊張症・Adie症候群
石川 均
V 全身疾患・その他
1.眼瞼痙攣
古瀬 尚
2.多発性硬化症
加島 陽二
3.急性散在性脳脊髄炎(ADEM)
戸成 匡宏
4.肥厚性硬膜炎
野倉 一也
5.Visual snow症候群
三村 治
 眼科領域の画像解析、遺伝子診断、ガイドラインを含む治療法の開発・改良はまさに日進月歩の様相を呈している。これは神経眼科領域においても変わらない。また、実際の神経眼科疾患の日常臨床にあたる眼科医の世界でも若手が台頭しつつある。そこで、本特集においては、最近原著論文や症例シリーズなどを書かれた若手の執筆者に、できる限り多くの項目の解説をお願いした。もちろん、総説的なまとめや非常にまれで遭遇しにくい疾患、新しく診断基準が定められた症候群などに関しては、臨床経験豊富な著名な先生方に執筆を依頼した。さらに筆頭者はそれぞれ1つの項目のみの執筆として、できるだけ多くの先生方に執筆陣に加わっていただいた。そのため、従来の神経眼科学の解説書とは少し違う、バランスのとれた内容の濃い特集になったのではないかと考えている。

 神経眼科を敬遠される先生方のなかでは、視神経疾患はまれな疾患と感じておられる眼科医が多い印象を受ける。しかし、OCTを撮りさえすればSSOH以外にも小乳頭やde Morsier症候群などの視神経異形成で軽症のものが非常に多いことがわかるはずである。また、矯正視力不良の小児でOCTを撮れば、Leber遺伝性視神経症や優性遺伝性視神経萎縮の頻度もおそらく増加すると思われる。今までは遺伝性視神経症や非器質的視覚障害で視神経炎と診断され、ステロイドのパルス療法を施行される患者がみられることまであったが、この特集をお読みいただき、OCTを撮ることでそのようなことはなくなると考える。また、視神経炎を疑えば、まず頭部MRIの撮像と抗AQP4抗体や抗MOG抗体といったグリア関連自己抗体の検査を行うことの重要性もご理解いただけるに違いない。

 一方、眼球運動障害では、眼筋型重症筋無力症や甲状腺眼症は、日常臨床で眼瞼の異常や複視を生じるごくありふれた原因である。この2つの疾患は丁寧な問診をすれば、ちょうど逆な日内変動を示すこと、あるいは両者を合併していることもわかる。また最近論文や綜説が急増しているsagging eye syndrome、後天内斜視(スマホ内斜視)は、今までの分類では神経眼科疾患とは言い難いが、むしろ鑑別疾患の除外のためにも、眼窩・頭部MRIなどの画像診断や自己抗体検査など神経眼科的手法で鑑別や診断をすべき普遍的な疾患でもある。

 この特集号をお読みいただいて、神経眼科疾患が視神経異常でも眼球運動障害でも、一般の臨床眼科医にとってごくごくありふれた疾患であり、ことさら特殊な器械を使わなくとも診断ができることの理解の一助になれば幸いである。神経眼科疾患は決してまれではなく、また難解な疾患でもない。

2021年12月

兵庫医科大学眼科学教室
三村 治・記