整形・災害外科

スポーツ障害のメディカルチェック

2010年12月号(53巻 13号)

企 画 内尾 祐司
定 価 2,640円
(本体2,400円+税)
在庫状況 なし
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特集 スポーツ障害のメディカルチェック
スポーツ外傷・障害に対するメディカルチェックの意義と課題
大久保 衛
脊椎・脊髄のスポーツ障害とメディカルチェックのポイント
金岡 恒冶
肩関節のスポーツ障害とメディカルチェックのポイント
菅谷 啓之
手・肘関節のスポーツ障害とメディカルチェックのポイント
安藤 亮
骨盤・股関節・大腿部のスポーツ障害とメディカルチェックのポイント
帖佐 悦男
膝関節・下腿のスポーツ障害とメディカルチェックのポイント
吉矢 晋一
足関節と足部のスポーツ障害とメディカルチェックのポイント
小川 宗宏
予防の観点からみた少年野球検診の意義
松浦 哲也
■Personal View
運動器の慢性痛と適切な対応の必要性
牛田 享宏
■分子レベルからみた整形外科疾患
関節軟骨損傷修復のための軟骨細胞シート
佐藤 正人
■新しい医療技術
Pain Visionを用いた感覚の定量評価
中村 恒一
■臨床
小児上腕骨顆上骨折手術症例の治療成績と合併症
渡邊 孝治
膝蓋腱断裂に対するscaffold型Leeds-Keio人工靱帯を用いた膝蓋腱縫合術の治療成績
小林 知弘
■手術
抗凝固薬あるいは抗血小板薬内服患者における患肢切断術−血管閉鎖装置であるLigaSure AtlasTMを用いた出血対策
山本 憲男
■症例
Klippel-Feil症候群を合併した頚髄内サルコイドーシスの1例
辰村 正紀
椎間孔内ヘルニアを伴う腰部脊柱管狭窄症の1例−顕微鏡視下片側進入両側除圧術を応用して
高橋 良正
■医療史回り舞台
(222)「文豪トルストイの野垂れ死」
篠田 達明
■整形外科用語の散歩道
Teres major&minor/Treadmill/Trepan
国分 正一
■整形外科手術・私のポイント
Pudduプレートを用いたopening-wedge osteotomyのコツ
田中 孝昭
◇第二次世界大戦末期、ヨーロッパ東部戦線で惨敗を喫したドイツ第6軍の中で、生還した部隊にはある共通した特徴があったそうです。それは、指揮官がユーモアのセンスのある人物だったという事です。即ち、リーダーには余裕があること、人を惹きつける力、場をなごませる力があることが大事だということでしょうか。翻って現代の日本のリーダーと言えば、次々と登場する誰を見ても、目が泳いでいたり、眉間にシワが寄っていたりで、余裕のかけらも感じられません。いかにも頼りなく、すぐに仕事を投げ出すリーダーたちを見ていると、われわれ大人も不安にかられますが、ましてや今の子供たちは、この国の未来に何の希望も見出せなくなっているのではないでしょうか。子供たちが伸びていくには、やはり「憧れ」や「尊敬」の対象となる存在が必要だと思います。一部のスポーツ選手や宇宙飛行士、ノーベル賞受賞者などを除いては、こき下ろすことしかしないマスコミにも問題があると思いますが、われわれ自身もヒーローにはなれないまでも、少なくとも身近な子供や後輩たちには少しは目標とされる人間になれるよう心がけたいものです。

◇学生や初期研修医の若者たちに、整形外科のおもしろさ、やりがい、社会的需要の高さなどをいかに一生懸命説いても、いやむしろ説けば説くほど、彼らは整形外科への入局からは遠ざかっていくような気がします。ひょっとすると、「おもしろい」と言いながら、日常彼らの目に映るわれわれの姿は、妙にイラついていたり、しかめっ面だったりしているのかもしれません。われわれが楽しそうに仕事をしていること、笑いの絶えない教室であることが、何より効果的な「勧誘」だと言えるのかもしれません。

◇今月号の特集は、内尾祐司教授のご企画による、「スポーツ障害のメディカルチェック」です。各論文から、スポーツ障害・外傷の予防のための運動器メディカルチェックの重要性が伝わってきます。一方、大久保衞先生はメディカルチェックで得られた情報のスポーツの現場へのフィードバックの難しさを、松浦哲也先生は検診参加への理解を得ることの難しさを指摘されています。即ち、医療サイドから上から目線で現場に対して指導や勧告を行っても、決して効果的ではないということでしょう。普段から選手や指導者・父兄に対する啓発活動を行ったり、現場とコミュニケーションをとるなどして、意思疎通がスムーズに行えるシステムや雰囲気づくりが大事だと言えるようです。

◇学生達に仕事の楽しさを伝えるにしても、スポーツの現場に密着した診療を行うにしても、なにせ今のわれわれの仕事は忙しすぎ、また雑用が多すぎます。医師が医師らしい仕事に専念でき、ジョークの一つも飛ばす余裕ができるように、診療をとりまく環境やシステムの大幅な改善を望みたいと思います。

(山下敏彦)