整形・災害外科

大腿骨頚部/転子部骨折をめぐる諸問題

2010年07月号(53巻 08号)

企 画 松下 隆
定 価 2,592円
(本体2,400円+税)
在庫状況 なし
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特集 大腿骨頚部/転子部骨折をめぐる諸問題
大腿骨頚部・転子部骨折の予後
福井 尚志
診断と分類の諸問題
小林 誠
最適な麻酔方法と手術時期−麻酔科医の視点から
志賀 俊哉
大腿骨頚部骨折に対する骨接合術:pin固定かscrew固定か?−Hansson pin固定の立場から
野々宮 廣章
大腿骨頚部骨折に対する骨接合術:pin固定かscrew固定か?−cancellous screw固定の立場から
中澤 明尋
大腿骨転子部骨折の治療−Sliding hip screw固定の利点と限界
田中 正
大腿骨転子部骨折の治療−Intramedullary nail固定の利点と限界
井上 尚美
大腿骨頚部/転子部骨折における静脈血栓・塞栓症の発生率とその予防
高平 尚伸
■Personal View
ガラパゴス化とグローバル化
米 和徳
■分子レベルからみた整形外科疾患
変形性膝関節症に対する骨形成因子の複数回関節内投与−実験的検討から
関矢 一郎
■新しい医療技術
量子ドットによる新しい細胞標識法
吉岡 友和
■臨床
術中3D-CTナビゲーションで頚椎椎弓根スクリューは安全に刺入できるか?−フリーハンド法との比較
石川 喜資
橈骨遠位端骨折に合併する遠位橈尺関節不安定性の術中評価の試み
小熊 雄二郎
■研究
症候性片側型変形性膝関節症患者の両下肢に吊り下げ型足底板を装着させる意義−重心動揺性からの考察
槻 浩司
■綜説
バイオフィルム産生黄色ブドウ球菌によるインプラント関連感染のクラリスロマイシン併用化学療法
藤村 茂
■症例
前十字靱帯前方を横走し膝ロッキングを生じた翼状滑膜ヒダ障害の1例
羽山 哲生
第10胸椎に発生したclear cell chondrosarcomaの1例
清水 睦也
上腕骨近位骨端部に発生したLangerhans cell histiocytosisの1例
布居 理沙
■医療史回り舞台
(217)「坂本龍馬の最期」
篠田 達明
■整形外科用語の散歩道
Stress/Supinator muscle/Syrinx
国分 正一
■整形外科手術・私のポイント
「寛骨臼回転骨切り術(RAO)のポイント」
安永 裕司
◇NHK大河ドラマ『龍馬伝』が、なかなかの高視聴率を得ているようです。福山雅治が演じるやや軽めでイケてる坂本龍馬は現代の若者や女性の心をとらえるのでしょうし、脇を固める香川照之(岩崎弥太郎)や大森南朋(武市半平太)などキャスティングの良さも人気の要因となっているのでしょう。

◇今年の日本脊椎脊髄病学会は、4月22日〜24日、高知大学の谷俊一会長のもと、高知市で開催されました。約1,800名の参加者を数える盛会で、会場の一つ
三翠園は土佐藩主山内容堂公の旧下屋敷であり、歴史の匂いも感じることのできた素晴らしい学会でした。一方、さぞかし『龍馬伝』人気に便乗して龍馬一色で盛り上がっているだろうと予想した高知の街は、思いのほか落ち着いた雰囲気でした。タクシーの運転手さんに「観光客が増えて大変でしょう?」ときくと、「いやあ、値下げした高速道路で来る人は少し増えたけど、それ以外はさっぱりですわ」と、いたってクールな感じでした。高知の人々の坂本龍馬に対する深く熱い思いは、一時のブームに左右されるようなものではなく、むしろ史実と乖離したストーリーや今風にアレンジされた龍馬像などには興味がないのかもしれません。

◇今月号の特集は、昨年の第58回東日本整形災害外科学会でのシンポジウムをもとに松下隆教授にご企画いただいた「大腿骨頚部/転子部骨折をめぐる諸問題」です。大腿骨頚部骨折の手術は、整形外科の研修において比較的早い時期に経験する手術の一つです。筆者もかつて頚部骨折の骨接合術や人工骨頭置換術ができるようになった頃には、いっぱしの整形外科医になったような気になっていたものでした。そのように整形外科医にとっては基本とも言える「大腿骨頚部骨折」ですが、その周辺には、単に術式選択にとどまらず、周術期管理、静脈血栓・塞栓症(VTE)、術後のリハビリテーション・社会的ケアなど意外に多くの問題が存在しています。本特集により、「大腿骨頚部骨折」の臨床における最新の情報を得て、今日からの日常診療にお役立てください。

◇再び坂本龍馬の話に戻りますが、今月号の篠田達明先生の連載「医療史回り舞台」では、龍馬の最期の姿を取り上げておられます。まさに壮絶な龍馬の最期の様子が、臨場感をもって描かれています。命がけで時代を動かそうとした龍馬のすさまじい生きざまと死にざまを改めて思い知らされた気がします。

◇それにしても、龍馬の言葉「日本を今一度せんたく致し申候」は、現在の日本にこそ向けられているように心に響きます。龍馬を自任する政治家はたくさんいるようですが、真に龍馬のような時代を切り拓く行動力と熱き信念を持った人物は、残念ながら未だ現れないようです。

(山下敏彦)