整形・災害外科

Anterior Knee Painの病態と治療

2010年09月号(53巻 10号)

企 画 津村 弘
定 価 2,640円
(本体2,400円+税)
在庫状況 なし
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特集 Anterior Knee Painの病態と治療
Anterior knee pain(膝前部痛)の臨床像−病態とその問題点
森 雄二郎
膝前面痛(anterior knee pain)の病態および治療の現状−anterior knee pain syndromeのアンケート調査の結果から
高木 博
下肢アライメントからみたanterior knee pain
小林 龍生
Anterior knee painに対する保存療法
宗田 大
Anterior knee painに対する外側支帯解離術
高原 康弘
前十字靱帯再建術後の膝前部痛発生に関与する因子
二木 康夫
■Personal View
自由についての考察
三浦 裕正
■分子レベルからみた整形外科疾患
転写因子 AP-1による骨免疫抑制−骨折治癒過程の解析
松尾 光一
■新しい医療技術
感染症根絶に向けたチタン表面ヨード担持技術の開発
土屋 弘行
■論究
大腿骨近位部骨折予防としての薬物療法を行うにあたり重要な点はなにか
杉本 直哉
頚椎前方すべりによる頚部脊髄症
中條 淳子
■臨床
重度手根管症候群に対し局所麻酔下に施行した固有示指伸筋腱移行による対立再建
森谷 浩治
活動的な高齢者の転位した大腿骨頚部骨折に対するセメントレス人工股関節全置換術
末崎 光一
■症例
低用量アレンドロネートの内服により寛解した腰椎部骨Paget病の1例
茶薗 昌明
歩行型トラクター(テーラー)による下肢巻き込み損傷の4例
和田 桃子
Dystopic os odontoideumによる頚髄損傷の1例
舘田 聡
■医療史回り舞台
(219)「シューマンが演奏活動を断念した手の障害」
篠田 達明
■整形外科用語の散歩道
Thumb sign/Tidemark/Tight hamstrings
国分 正一
■整形外科手術・私のポイント
人工膝関節置換術における脛骨骨切りのポイント
松田 秀一
◇ワールドカップの興奮が冷めたかと思うと、連日の猛暑で今年の日本列島は熱気に包まれています。ワールドカップ前後の日本チームに対する評価ほど大きく異なった例はないと感じます。岡田ジャパンの結果がよかったものの、一方で怖さを感じました。評価される当事者は本質的になにも変わらないはずです。第一戦での結果が出なければ全く逆の経緯が待ち受けていたはずで、そこには目に見えない努力や精神力、運が働いていたとは言え、当事者の人々の現在は全く違ったものになったのではないかと思うとぞっとする部分があるわけです。内閣支持率の変動も極端に上がったり下がったりで、どうも世の中が単純なきっかけで大きく判断をかえる表層的な動きが潮流になっている気がしております。当然報道機関の手のひらを返したような対応も大きく影響しているわけですが、受け取る側の感性もいつのまにか冷静さ、見識、長期展望などが不足していると感じております。

◇塩野七生氏が"夢の内閣・ローマ篇"なる一文をかかれ、各大臣をローマ歴代皇帝に割り振るお遊びをされていますが、その中で行政改革担当大臣はユリウ
ス・カエサルしかいないと断じておられます。その理由はカエサルの先を見通す知力と、反対派でさえもたらしこむ説得力と、世論などには左右されない持続する意志と、手段の目的化に陥らない自己制御力と、そして目的に向かって進むには欠かせない肉体上の耐久力のすべてが必要であり、それを体現できるのはカエサルしかいないというのは納得ですが、歴史上の傑物でないと大臣も務まらないのでは暗澹たる思いになります。また、"改革が難事なのは、改革でソンをする人はすぐにわかるから断固として反対するが、トクをするひとは、なにせ新しいこととて何がどうトクするのかよくわからず、それゆえ支持も断固としたものになりにくいからである。"と書かれています。改革を遂行する困難さの本質を看破されていると同時に、その遂行には前述の如く相当の人物が必要で、表層的で流れが頻繁に変わる今の日本の現状では道は遠いと感じざるを得ません。

◇今月号の特集は、"Anterior Knee Painの病態と治療"です。その原因が明確でなく、特に若年女性のスポーツ愛好家を中心に膝関節前面の疼痛がみられることは臨床現場でよく経験され、広く認識されています。しかし、医師によってその病態に対する解釈や対応は異なっていると考えられること、たとえ正しい認識があっても正確な除外診断が必要であること、診断に至っても有効な治療法が確立していないことなど、多くの課題が存在します。本特集では長年この問題に取り組んでこられた先生方にご執筆いただき、本症に対する理解を深めるために非常に有用な特集になったと感じております。ご一読いただき日常診療に役立てていただければ幸いです。

(飯田寛和)