整形・災害外科

術後静脈血栓塞栓症の予防戦略−至適治療を求めて−

2010年02月号(53巻 02号)

企 画 丸毛 啓史
定 価 2,640円
(本体2,400円+税)
在庫状況 なし
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特集 術後静脈血栓塞栓症の予防戦略−至適治療を求めて−
整形外科領域における肺血栓塞栓症による突然死の特徴
呂 彩子
整形外科領域における周術期肺血栓塞栓症の現状と予防的抗凝固療法
瀬尾 憲正
静脈血栓塞栓症の診断
榛沢 和彦
人工膝関節全置換術後静脈血栓塞栓症の発症状況と予防
二木 康夫
人工股関節全置換術後静脈血栓塞栓症の発症状況と予防
石井 政次
脊椎手術後静脈血栓塞栓症の予防
高橋 寛
骨折後静脈血栓塞栓症の発症状況と予防
塩田 直史
■Personal View
専門医・雑感
田中 康仁
■分子レベルからみた整形外科疾患
多血小板血漿とdrug delivery systemを用いた椎間板再生法
長江 将輝
■新しい医療技術
海綿骨の構造特性を評価する新しい超音波骨密度測定装置
山本 真人
■臨床
病的骨折のリスク管理を目的とした転移性骨腫瘍に対する新しい診療アルゴリズム
城戸 顕
腰部脊柱管狭窄症の膀胱機能評価−JOAスコアと国際前立腺症状スコア、尿流動態検査との比較
高橋 康平
■手術
不安定型鎖骨遠位端骨折に対する新しい手術法−烏口鎖骨靱帯再建術
山下 文治
■症例
スリングエクササイズにより頚椎椎弓形成術後の高度翼状頚が改善した1例
東村 隆
同時両側大腿骨顆上骨折の2例
藤田 健司
外傷後に化膿性脊椎炎を生じた3例
亀川 修一
■医療史回り舞台
(212)正岡子規の脊椎カリエス
篠田 達明
■整形外科用語の散歩道
Pain scale/Pes anserinus/Pilon fracture/
國分 正一
■整形外科手術・私のポイント
Rotational acetabular osteotomyにおける臼蓋回転のコツ
名越 智
◇最近ニューズ・ウィーク誌が行った『グローバル・イノベーションに関する調査』によれば、イノベーション能力(技術革新力)において、自国より日本の方が優れていると考えているアメリカ人は68%にのぼるそうです。一方、ドイツ、インド、イギリスの方が優れていると答えた人は、それぞれ49%、45%、37%にとどまりました。すなわち、技術革新力においては、日本は一目おかれているということです。日本人はよく世界の評判を気にする、と言われますが、政治力、経済力などはともかく、科学技術に関しては世界において依然高い評価を保っていると言えるようです。

◇2009年の流行語大賞にもノミネートされた、政府による「事業仕分け」では、スーパーコンピューターやニュートリノなど最先端科学の経費が大幅削減の対象になりました。当然、われわれ末端の研究者に配分される科学研究費もかなり削減されることは確かでしょう。

◇蓮舫議員の「なぜ世界一じゃないといけないんでしょうか?2位ではいけないんでしょうか?」というツッコミは有名になりましたが、そもそも研究に2
位とか3位とかがあるのかが疑問ですし、またそれを目指す研究者もいないと思います。「仕分け」に対抗するため、元宇宙飛行士の毛利衛さんやノーベル賞
受賞者の先生方が登場して反論されていましたが、その光景を見ていて何かやり切れない気持ちになりました。

◇費用対効果など、そもそも科学研究にはなじまないものです。一朝一夕に経済効果に反映されるようなものでは無論ないですし、無駄やリスクを覚悟で資金をつぎ込むことにより生じる余裕や「遊び」の中で、はじめて画期的な発見や優れた技術が生み出されるのだと思います。

◇資源の乏しい日本は、技術立国だったはずです。日本がほとんど唯一世界において誇りを持つことのできる科学力、技術力まで損なってしまって、彼らはいったいこの国をどのような国にしようとしているのか、問いたいと思います。

◇本号の特集は、丸毛啓史先生のご企画による『術後静脈血栓塞栓症の予防戦略至適治療を求めて』です。静脈血栓塞栓症(VTE)、なかでも症候性の肺塞栓症
(PE)は、発生頻度は低いものの致死率は高く、整形外科領域における最も重大な術後合併症の一つです。近年、わが国においてもガイドラインの作成や抗凝固薬予防投与の保険承認など、VTE予防のための新しい動きが出ています。本特集を、周術期における的確なインフォームド・コンセントと合併症発生防止のために是非ご活用ください。

◇2010年は、バンクーバー冬季五輪、ワールドカップ・サッカー、アジア競技大会など、メジャーな国際大会の多い年です。日本代表選手の世界に一目おかれる活躍を期待したいと思います。

(山下敏彦)