整形・災害外科

脊髄・馬尾腫瘍の手術−安全な腫瘍摘出のために−

2010年10月号(53巻 11号)

企 画 松山 幸弘
定 価 2,640円
(本体2,400円+税)
在庫状況 なし
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脊髄・馬尾腫瘍の手術−安全な腫瘍摘出のために−
脊髄髄内腫瘍−血管系腫瘍
今釜 史郎
脊髄星細胞腫の手術成績
中村 雅也
髄内上衣腫摘出術における顕微鏡視下手術手技と術中脊髄モニタリング−灰白質障害の予防を含めて
藤原 靖
頚椎部砂時計腫の手術法
小澤 浩司
硬膜内髄外腫瘍−胸髄部
川端 茂徳
馬尾腫瘍摘出術におけるBr(E)-MsEPを用いた術中神経機能モニタリング
安藤 宗治
馬尾腫瘍手術における術中モニタリングの活用
川崎 元敬
馬尾腫瘍手術−intraoperative nerve root stimulationの活用
若尾 典充
■Personal View
愛犬と骨肉腫
土屋 弘行
■分子レベルからみた整形外科疾患
転移性脊椎腫瘍におけるRANKL/OPG発現の意義
大橋 一輝
■新しい医療技術
歩行リハビリテーションのための新しい支援装置
矢野 博明
■論究
股関節骨折患者におけるクレアチニンクリアランス推定式の検討
武藤 和彦
■臨床
腰部脊柱管狭窄症に対するX-STOPの棘突起間拡大効果の変化と臨床成績
中村 周
特発性大腿骨頭壊死症に対するセメントレスbipolar型人工骨頭置換術の長期成績
大鶴 任彦
転移型大腿骨頚部骨折における非手術例の検討
山内 直人
■症例
鎖骨転移で発見された原発不明の傍神経節腫の1例
星 学
足関節内限局型色素性絨毛結節性滑膜炎の1例
五嶋 孝博
■医療史回り舞台
(220)「ピアノの詩人ショパンの肺結核」
篠田 達明
■整形外科用語の散歩道
Telangiectasia/Toe-in gait/Transoral approach
国分正一
■整形外科手術・私のポイント
股関節の手術的脱臼法
帖佐 悦男
◇現代社会に欠けているのは「忠恕の心」「隣人愛」、いずれも基本は真心を込めた思いやりである。すべからく世の中は形式主義に堕しているのではないか。厚労省管轄の年金しかり、近頃は、母親の幼児虐待、消えた高齢者の報道がつづく。読売新聞編集手帳に、臍帯のことを喩えて頼もしい命綱・母親の気持ちを伝える電話のコードと詠った吉野弘氏の詩『創世紀』と対照的に、誕生後臍帯が切れコードレスになるも受話器は互いの体に残っており心の通話ができるはずなのに、現代はその携帯電話が故障していると指摘している。何も親子の携帯電話だけでなく、現代人の心の電話も故障している。

◇病院へのISO導入時もそうであった。導入の旗振り役は真の目的・意義を理解せず病院の社会的格付けのみをメンツに導入を考える。ISOは単に標準手順書(SOP)をそろえることではない。その心は、患者が気持ちよく、且つ効率的に診療を受けられるように病院の各部署で何が改善を必要とするかを認識して実行することである。それさえ認識すればISOなど導入する必要は本来ない。病院評価機構の評価もそうである。

◇近頃の学会は、一般演題やシンポジウム、パネルより、教育研修講演など単位が取れる会場が満員盛況を成している。ほとんど一方向の講演を聴いても、心が通い合うことは少ない。一般演題でディスカッションすればこそ、お互いの意図するところが良く理解される筈である。これも専門医制度のなす形式主義というべきか。

◇そこで形式主義を打破すべく、来年主催する第51回東日本整形災害外科学会と第60回関東整形災害外科学会を合同開催し、演題は総て動画にすることにした。その先鞭をつけるべく会長自らYouTubeに出演して宣伝したら、なんとそのサイトでは国内の整形外科医が様々な手術手技をYouTubeで流していた。海
外ではすでにVuMediとして双方向の通信を可能としたサイトとなっている。いずれ学会は自宅に座したままのNet学会になるのかもしれない。これは心の通い合うものといえるかどうか不気味である。

◇今月の特集は浜松医科大学整形外科教授松山幸弘先生のご企画による「脊髄・馬尾腫瘍の手術安全な腫瘍摘出のために」である。近年は、MRIの普及にと
もない、患者から撮影を懇願されることも多く、予期せぬ無症状の脊髄腫瘍が見つかったり、従来の診断のやり方では見逃されているおそれもあるような高位に腫瘍が見つかって紹介されてくることを経験する。さらには、わずかな腰痛・胸痛などが愁訴で神経症状が前面にない症例とか合併症を抱えている症例では、もしものことを考えてか大学へ紹介されることが多い。また、患者の権利も強くなっているなど、昨今の状況下、本特集で扱われているように如何に安全に手術を行い、さらなる麻痺を起こさないよう気を配ることは大変重要である。是非参考にしてほしい。

◇〈新しい医療技術〉では、筑波大学大学院システム情報工学研究科の矢野博明先生による歩行リハビリテーションにおけるロボット技術導入の紹介である。リハビリテーション支援ロボットにも色々概念があるが、本欄ではGTLI(歩行感覚提示装置)なる装置を展望していただいた。今後リハビリテーション分野にこのようなロボット技術がどんどん応用されてくると思われる。

◇今月のPersonal Viewには、そこはかとないペーソスを感じた。

(落合直之)