整形・災害外科

足の外科治療最前線−小児から成人まで−

2010年11月増大号(53巻 12号)

企 画 木下 光雄
定 価 4,752円
(本体4,400円+税)
在庫状況 なし
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足の外科治療最前線−小児から成人まで−
若年性特発性関節炎(JIA)の診断と治療
村田 卓士
小児外反扁平足の病態と治療
入江 太一
内反趾の病態と治療
薩摩 眞一
足根骨癒合症の診断と治療
東山 一郎
特発性距骨壊死の診断と治療
谷口 晃
変形性足関節症に対する骨切り術
寺本 司
後脛骨筋機能不全の診断と治療
羽鳥 正仁
中足部痛(metatarsalgia)の病態と治療
香取 庸一
外反母趾の病態と治療
奥田 龍三
強剛母趾の診断と治療
須田 康文
糖尿病足の治療
門野 邦彦
足関節果部骨折の病態と治療−新しいコンセプト
原口 直樹
踵骨骨折に対するプレート固定法
佐藤 徹
疲労骨折の診断と治療
池澤 裕子
距骨骨軟骨損傷に対する骨髄刺激療法
嶋 洋明
アキレス腱傷害の診断と治療
野口 昌彦
足関節インピンジメントの診断と治療
篠原 靖司
腓骨筋腱脱臼の治療
安田 稔人
■Personal View
わが国の競技スポーツに対する医学サポートの近い将来
酒井 宏哉
■分子レベルからみた整形外科疾患
骨・軟部腫瘍の転移に関与する新規標的分子SSX
吉岡 潔子
■新しい医療技術
整形外科疾患における慢性疼痛に対するオピオイドの使用
宗圓 聰
■臨床
骨腫瘍切除後の骨欠損に対する骨延長術による再建法の長期機能成績
渡邊 孝治
脊椎手術における術後冷却療法
村田 憲治
大腿骨近位悪性骨腫瘍に対する有茎液体窒素処理骨と人工骨頭を併用した再建術の検討
三輪 真嗣
■経験
吸収性骨接合材(F-u-HA/PLLAスクリュー)を用いた脛骨近位部骨折の治療経験
黒柳 元
■症例
青年期で破傷風を発症した多発外傷の1例
藤田 寛則
膝蓋腱、膝前十字靱帯、外側半月板の同時損傷の1例
稲谷 弘幸
■医療史回り舞台
(221)「画狂人 葛飾北斎の長命術」
篠田 達明
■整形外科用語の散歩道
Trigonum lumbale/Trimalleolar fracture/Triton tumor
国分 正一
■整形外科手術・私のポイント
環軸椎固定術(Magerl法)
根尾 昌志
◇先日、ある学会のリスク管理のパネルディスカッションに参加した。論議の中で、2004年に福島県立大野病院で起きた「産婦人科医逮捕事件」が取り上げられた。パネリストや座長からは、一般国民の医療に対する要求の高さと現実の医療水準との乖離や、医療行為に伴って一定の割合で発生する合併症・事故に対する認識不足、捜査機関の医療に関する知識の欠如などが指摘された。こうした問題に対しては、議論を深め、広報を含めた対策を講じていく必要性がある。しかし、現在の医療技術は細分化され、高度化されている。限られた分野の専門家にしか理解できない新技術が次々に開発され、立ち止まることはない。果たして、一般国民や捜査機関の医療に対する知識や理解が深まる日が訪れるのであろうかと疑問に思う。

◇こうした中で我々の日常診療では、多くのヒヤリ・ハット事例が発生している。まさに日々、「事件は現場で起きている」のである。現実的、即効的なリスク管理が求められる。万一、医療事故、事件の当事者になり、捜査機関から追及を受けると、後の判決の如何にかかわらず、マスコミ報道などで傷つく信用の大きさは計り知れない。先日、厚労省の女性局長が、検察官がでっち上げた事件の首謀者として逮捕・起訴された。幸い、無罪が確定し、このことが大きく報道されたため、社会的にも信用回復がなされた。しかし、このような事例は極めてまれである。通常は、逮捕・起訴されたことが事実として強調され、無罪確定後も失われた時間と信用は十分には回復されない。また、そのことに対して行政もマスコミも責任を取らない。この事件でも示されたように、捜査機関は、捜査開始後に立件できないことが判明した場合、「罪人を作らなくて良かった」などとは決して考えない。犯人を逮捕・起訴することが目的であり、そのために懸命の努力をする。冤罪が生まれる危険は、こうした捜査機関の本質と表裏一体の関係にある。事件に巻き込まれてはならないのである。

◇医療事故が起こり、捜査機関が動き出すと、まず、にわか仕込みの医療知識を詰め込んだ捜査官が現場を訪れ、事情聴取を始める。しかし、事件にするか否かを判断する最も重要な判断基準は、一連の医療行為が定められた手続きを踏まえて行われたか否かである。次に、医療者の人間性を調査する。通常の刑事事件の捜査では真っ先に問われる、行為(医療行為)自体が合法か違法かの判断は、最後の手続きに過ぎないそうである。考えてみれば、専門家の間でも意見が分かれる可能性がある様々な医療行為自体への判断は、裁判での鑑定に任せ、医療行為が正しい手順で行われたか否かを突破口として捜査することは、医療の専門家ではない捜査官の捜査手法として当然の選択とも言える。

◇こうした捜査手法を念頭に置いたリスク管理の是非については論議もあろうが、とくに若手医師には、上司への「報告・連絡・相談」や患者さんを含めた職場での円滑な人間関係の構築とともに、医療行為においては常に法令を遵守し、定められた手続きに則ることの重要性を理解させる必要がある。

◇今月号の特集は、大阪医科大学の木下光雄教授のご企画による「足の外科治療最前線?小児から成人まで」です。主要な足部の疾患・外傷を網羅し、最先端の治療について述べられています。私にとっては、専門外来に任せてばかりの足部疾患・外傷について勉強する良い機会になりました。とくに、足関節果部骨折のLauge−Hansen分類を見直し、新たな分類とそれに基づく明確な治療指針を示した原口氏の論文は、大変興味深く拝読しました。

(丸毛啓史)