小児科

子どものコモンな微徴候・微症状

2021年09月臨時増刊号(62巻 10号)

企 画
定 価 8,800円
(本体8,000円+税)
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子どものコモンな微徴候・微症状
1 眼位のズレ(軽度の斜視・斜位)
野田 英一郎
2 目やに
野村 耕治
耳・鼻
3 よく鼻血が出る
橋本 亜矢子
4 耳垢が多い・耳垢がべたつく
白馬 伸洋
5 味やにおいがおかしい・よくわからない
志賀 英明
口・歯
6 地図状舌
齊藤 桂子
7 口臭
田中 英一
8 歯並びが悪い
岩本 勉
9 歯ぎしり
山座 治義
10 上唇小帯や舌小帯が短い
小方 清和
11 よだれが多い
渡部 茂
頭頸部
12 頭の形・大きさが気になる(頭が大きい・形が歪んでいる)
藍原 康雄
13 頭を打った(頭部外傷)
鉄原 健一
14 首が曲がっている(斜頸)
松原 光宏
呼吸器・胸部
15 咳が長引く
高瀬 真人
16 くしゃみ・鼻水がよく出る
増田 佐和子
17 胸が痛い(胸痛)
前田 潤
18 胸がドキドキする
豊原 啓子
19 乳房が大きい・しこり(幼児)
伊藤 純子
20 乳房のしこり(学童期以降)
有阪 治
皮膚・爪
21 肌の乾燥・かゆみ(アレルギー予防の観点を含む)
堀向 健太
22 にきび
西岡 和恵
23 黒子が多い
小松 広彦
24 シミ・あざ
定平 知江子
25 皮膚が黄色い
田川 学
26 虫さされ
夏秋 優
27 いぼ・水いぼ
江川 清文
28 蕁麻疹
高増 哲也
29 脱毛と白髪
福山 雅大
30 爪の形(巻き爪など)・色が気になる
高山 かおる
消化器
31 よく嘔吐する(嘔吐しやすい)
疋田 敏之
32 腹部腫瘤がみられない腹部膨満
木村 俊郎
33 便秘気味・下痢しやすい(便の硬さ・回数の問題)
奥田 真珠美
34 しゃっくりが多い
池端 綾音
腎・泌尿器
35 包茎ぎみ
中村 繁
36 精巣を陰嚢内に触れない
久松 英治
37 陰茎が小さい
林 祐太郎
38 尿に血のようなものが混じる・泡立つ
柳原 剛
整形外科
39 軽度の漏斗胸
古橋 七海
40 子どもの足の変形
岡田 慶太
41 足の痛み(成長痛と診断する前に考えてほしい足関節・足部の疾患)
軽辺 朋子
42 姿勢が悪い
柳田 晴久
43 子どもの歩き方の異常(よく転ぶ・つま先で歩く)
及川 泰宏
婦人科
44 月経(開始時期の異常・周期の異常・月経痛・月経前症候群)
甲村 弘子
発達・心身の問題
45 ことばの遅れ
大澤 麻記
46 自傷行為
松本 俊彦
47 不登校気味
柳夲 嘉時
睡眠
48 朝起きられない
水谷 翠
49 いびき
加藤 久美
50 睡眠時の異常行動(寝ぼける・寝相が悪い)
野崎 真紀
51 悪夢
加藤 隆郎
生活・育児
52 かぜをひきやすい
西村 龍夫
53 微熱
稲毛 康司
54 乗り物酔いしやすい
吉田 友英
55 食が細い・偏食
大山 牧子
56 肥満気味・やせ気味
井ノ口 美香子
序文

 多くの既往歴や不定愁訴をもつことが多い成人と異なり、小児科を受診する患者は、明らかな症状や所見をもつことが多いです。しかし我々小児科医が子どもの患者を診察する時、「病気までのレベルではない」、「病気とまでは言えない所見や症状」のことも多々あります。昔、何かの折に、症状や所見がそろっている最後に診る医者の診断があたるのは当然で、それまでの微徴候の時に診た医者の診断を責めてはいけない、と教わったことがあります。微徴候のなかに重大な疾患が隠されていることもあれば、軽微な徴候や症状で終わることもあります。もし専門医に紹介しないで適切に処理できれば、「あそこの先生は頼りになる」という評価につながるかもしれません。また、逆に、微徴候から重大な疾患を疑って、専門医に紹介すれば、「あそこの先生は、重い病気をはやく見つけてくれた」と、これまた高い評価につながるかもしれません。微徴候、微症状の診断は、「微」であるが故に難しさを秘めていて、「微妙」でもあります。
 また、子どもの微徴候、微症状のなかには、育児相談や乳幼児健診の際に保護者から相談されることが多いものも多々あります。その際に、適確な診断や、適切な助言ができれば、これも高い評価につながることでしょう。実際に、小児科医の実臨床に必須な知識、診断技術でもあります。
 このように、子どもの微徴候、微症状は実に奥が深いものがあります。子どもの微徴候、微症状と向きあえることは小児科医の醍醐味でもありましょう。本特集を一読していただいて、先生方の知識を今一度新鮮なものにしていただき、実臨床で生かしていただきますよう、また、その後は座右においていただいて折に触れて参考にしていただきますようお願いいたします。

2021年9月
「小児科」編集者一同