皮膚科の臨床

癌皮膚転移

2010年10月号(52巻 10号)

企 画
定 価 2,970円
(本体2,700円+税)
在庫状況 なし
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特集 癌皮膚転移
広範囲の皮膚転移をきたしたエクリン汗孔癌の1例
山口 美由紀
皮膚転移をきたした粘表皮癌(中咽頭癌)
江原 由布子
肺癌皮膚転移の2例
生長 奈緒子
経カテーテル動脈塞栓術後に肉腫様組織像を呈する皮膚転移をきたし急激な経過をたどった肝細胞癌の1例
米谷 さおり
後腹膜に生じた小細胞神経内分泌癌の皮膚転移
長坂 武
Sister Mary Joseph’s Noduleにより発見された卵巣癌の1例
野村 みずほ
腎癌の皮膚転移の1例
宮本 明栄
腎細胞癌の皮膚転移の1例
東森 倫子
神経内分泌分化を示した前立腺癌皮膚転移の1例
樋上 敦
■Clinicolor
サウジアラビア人男性に生じた古典型Kaposi肉腫
中村 貴之
■巻頭言
独り言
神谷 秀喜
■臨床講義
乾癬:免疫細胞や表皮細胞では何が起こっているのか?
奥山 隆平
■治療
糖尿病性足病変に対するMaggot Debridement Therapy
椛沢 未佳子
■随想
「杢太郎」落ち穂拾い(22)序曲を歌う(1)
上野 賢一
■症例
セレコキシブによる薬疹の1例
浅野 幸恵
ステロイドパルス療法が奏効した塩酸メキシレチンによる薬剤性過敏症症候群の1例
池澤 優子
ガレノキサシンによる薬剤性過敏症症候群の1例
竹之下 秀雄
掌蹠に紫斑、血疱を生じた好酸球増多症候群の1例
長谷川 道子
半月体形成性腎炎を伴う Henoch-Schonlein紫斑の1例
二宮 里紗
Lichen Aureus Zosteriformis の1例
高山 良子
タクロリムス軟膏が著効した壊疽性膿皮症の1例
森下 綾子
小児腹壁遠心性脂肪萎縮症の1例
菅 裕司
Metastatic Tuberculous Abscessから診断に至った肺結核
渡邊 華奈
温熱療法が奏効したMycobacterium marinum感染症の1例
古北 一泰
Eruptive Vellus Hair CystとSteatocystomaのHybrid Cystの1例
大橋 マヤ
眉毛部に生じたいわゆるLinear Basal Cell Carcinomaの1例−疾患独立性の検討−
宮崎 久美子
白色丘疹を伴い特異な臨床像を呈したMicrocystic Adnexal Carcinoma
菅野 恭子
前駆病変に対する炭酸ガスレーザー治療後に生じた陰茎癌の1例
飯田 剛士
陰茎亀頭部の有棘細胞癌の1例
馬場 義博
口唇に発生した粘表皮癌
乗杉 理
皮膚症状を契機に前立腺癌が発見された3例
小金井 宏美
サウジアラビア人男性に生じた古典型Kaposi肉腫
中村 貴之
電子線照射とWeeklyドセタキセル療法が奏効した頭部血管肉腫の1例
広瀬 憲志
■Mini Report
ソラフェニブによる多形紅斑型薬疹の1例
中河原 怜子
ラモトリギンによるStevens-Johnson症候群の1例
井上 奈津子
スルバクタムナトリウム・セフォペラゾンナトリウム合剤による急性汎発性発疹性膿疱症の1例
山本 篤志
The Red Scrotum Syndromeの1例
中村 直美
多発性Warty Dyskeratomaの1例
志村 英恵
腋窩にみられた有茎性基底細胞癌の1例
岡本 恵芽
 9月上旬、山口宇部で第25回日本乾癬学会学術大会が武藤正彦会長の下開催された。皮膚科における生物学的製剤元年の今年、多数の参加者で賑わった。やはり生物学的製剤への関心が高く、関連のセッションは立ち見も出るほどであった。ご存じの通りこの1月に2製剤が承認されたが、さらに来年にも新たな作用機序の製剤が承認される予定である。承認にあたっては患者団体の熱心な署名活動により認可が早まった一方で、適正かつ安全に使用されることを目的として、日本皮膚科学会が承認した主研修施設・研修施設、および同様の施設条件を満たす施設にその使用が限定されることとなった。いわば一種の自主規制であり、学会として慎重な態度を示す姿勢の現れといえる。新規薬剤に対する期待が大きい反面、長期の安全性については未解明な点もあり、注意深く症例を選んで使用していくべきであることはいうまでもない。

 話は戻って宇部では四半世紀をむかえた本学会の生い立ち、今後の展望を論じる機会もあった。乾癬学会の会員数はまだ日本皮膚科学会の20分の1ほどであり、皮膚科学会会員は女性会員が多いのに比して乾癬学会の参加者は女性が極めて少ないそうである。

 単独の疾患名が冠された学会は糖尿病学会などないわけではないが決して多くはなく、皮膚科において乾癬学会はまさにその草分け的存在である。単独疾患の学会では話題が続くだろうかと心配する声もあったが、最近30年を振り返っても乾癬は最も病態の解明、治療法の開発が進んでいる皮膚疾患の一つであり、各方面からの注目度も高い。興味深いのは治療の開発においては偶然の発見によることが多く、シクロスポリンも1979年乾癬を合併したリウマチの患者さん(実は関節症性乾癬であったと思われる)に投与してその効果が発見され、同様に抗TNFα製剤も2000年に乾癬を合併したクローン病の患者さんに投与して偶然に乾癬の症状が改善したことから開発が始まったという。来年認可が予定される抗p40抗体も当初はIL−12をブロックする目的で開発されたが、同じp40をサブユニットとして持つIL−23を阻害することにより、Th0からTH17への分化を抑制することが乾癬に対する効果発現に重要であることが明らかにされた。もっとも、パスツールの言葉を借りれば、「偶然は準備のない者に微笑まない」のであり、たゆまない研究の積み重ねが乾癬治療に福音をもたらしたといえよう。

(五十嵐敦之)