皮膚科の臨床

抗酸菌感染症

2010年02月号(52巻 02号)

企 画
定 価 2,916円
(本体2,700円+税)
在庫状況 なし
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特集 抗酸菌感染症
鯉の水槽が感染源と考えられたMycobacterium marinumによる非結核性抗酸菌症
藤澤 大輔
多彩な皮膚症状を呈したMycobacterium szulgai感染症の1例
水芦 政人
腋窩に皮下膿瘍を形成したMycobacterium avium皮膚感染症の1例
加藤 元一
皮膚Mycobacterium intracellulare感染症の1例
池原 進
自然治癒したMycobacterium intracellulareによる皮膚非結核性抗酸菌症の1例
竹之下 秀雄
Mycobacterium abscessus皮膚感染症の1例
小松 舞衣子
Mycobacterium chelonaeによる皮膚非結核性抗酸菌症の1例
佐藤 弘行
皮膚非結核性抗酸菌症の1例
堀川 林
非結核性抗酸菌症と考えられた2例
生長 奈緒子
■Clinicolor
頭部に生じたエクリン汗孔腫の1例
角田 孝彦
■巻頭言
支援体制を活かして!
関東 裕美
■医療
皮膚科の在宅診療
袋 秀平
■臨床研究
最近2年間に山形県立新庄病院皮膚科を受診した疥癬患者の統計的観察
林 昌浩
■私の工夫
病変の状態に応じた当科におけるMohsペーストの使用方法−塩化亜鉛の濃度調整を含めて−
佐藤 勘治
■随想
「杢太郎」落ち穂拾い(14)その生い立ち(2)
上野 賢一
■症例
Acute Generalized Exanthematous Pustulosis様の病態を呈した硝酸ミコナゾールによる接触皮膚炎症候群の1例
攝田 麻里
アロプリノール内服2年半後に急性腎不全、ショックをきたした薬剤性過敏症症候群の1例
藤島 沙和
小児に発症した不全型 Behcet病の1例
小池 裕美子
ステロイド内服中の皮疹の再燃に対してNarrow-Band UVBが有効であった疱疹状膿痂疹の1例
水芦 政人
汎発性黒色表皮腫の小児例
御子柴 舞子
柑皮症の2例
柳瀬 哲至
Red Tattoo Reactionを呈した1例
三原 清香
悪性梅毒の1例
赤股 要
背部に生じた有茎性巨大エクリン汗孔腫の1例
竹内 藍子
多発性潰瘍を伴ったPeripheral T-Cell Lymphomaの1例
山筋 好子
■Mini Report
呼吸器症状が乏しかったマイコプラズマ感染による多形滲出性紅斑の1例
高橋 隼也
透析アミロイドーシスの1例
向井 丈雄
爪下表皮嚢腫の1例
三好 研
片側腋窩に生じた乳房外Paget病の1例
大島 三佳
 2010年の1月も早過ぎ去って厳寒の季節です。過ごしやすさは夏より冬と嘯いていた若き日々が次第に遠のいています。先日、書物を整理していましたら「誤診百話」と題する単行本が出てきました。昭和44年刊行とあります。当時大学医学部の新聞を編集しており、誤診を記事にしようとして入手したように記憶しています。結局新聞記事にはできなかったはずですが、図らずも40年を経て再会したわけです。この本は非売品でさる雑誌社が何かの記念にそれまで定期掲載していた症例を集めた由です。佐々貫之、美甘義夫、黒川利雄、田坂定孝先生が巻頭言に、科学的正診力を養う糧として真摯に活用して欲しいと述べています。内科、外科、産婦人科、小児科、泌尿器科に次いで皮膚科も17項目掲載されています。皮膚科の巻頭は安田利顕先生で「皮膚糸状菌―間違えやすい皮膚病―」、総論的な内容です。「白癬のグリセオフルビン内服が今年の流行をつくるのではないか、高価ではあるが白癬治療の一つの革命」と記述されています。項末に昭和35年1月記とあり、当時と言いましても、私はまだ田舎の小学生ですが、何か息吹を感じた次第です。あと1話。大原一枝先生の76歳男性例。半年前から顔面、次いで、前腕、下肢、さらに全身に浸潤性紅斑が多発、臨床診断は細網症、組織は類上皮細胞結節であったが、神経肥厚もなく、3カ所の皮疹のライ菌も陰性で組織像からサルコイドーシスと診断して精査を続けていたが、転倒して受傷しても疼痛を訴えないため再度専門家にライ菌検索を依頼して陽性所見を得た。「陰性の証明は成立しない」をかみしめた、とあります。この症例などは「誤診」というより診断に手間取ったという程度かと思いますが、自ら厳しく診断を問う姿勢の問題と思って身が引き締まります。昨今「誤診」は発言、あるいは活字にしにくくなっていますが、診断力を高めるためには格好の学習材料であり、学会、研究会、あるいは雑談のなかでもしっかりと誤診例をかみしめる必要がありそうです。

 医学・医療界、そして皮膚科学・皮膚科領域も荒波に、あるいは時に津波のような大波に洗われています。押し寄せる高波を温故知新、温故創新の姿勢で力強く2010年代を乗り切りたいものです。

(大塚 藤男)