皮膚科の臨床

膠原病

2010年09月号(52巻 09号)

企 画
定 価 2,916円
(本体2,700円+税)
在庫状況 なし
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特集 膠原病
Palisaded Neuterophilic and Granulomatous Dermatitisを生じた全身性エリテマトーデスの1例
三宅 大我
タクロリムス併用によりステロイドが減量できた全身性エリテマトーデスの1例
杉山 亜希子
新生児エリテマトーデスの1例
山田 延未
新生児エリテマトーデスの1例
加藤 豊章
びまん性紅斑を主訴とし診断16カ月後に重複癌を併発した皮膚筋炎の1例
渡辺 真也
肺癌転移を合併した抗155/140kDa蛋白抗体陽性皮膚筋炎の1例
加藤 元一
皮膚筋炎に合併した肺高血圧症にボセンタンが奏効した1例
鈴木 章子
亜急性間質性肺炎を併発した抗CADM140抗体陽性強皮症の1例
石川 明香
Nodular Sclerodermaを伴った汎発性強皮症の1例
宮垣 朝光
肺癌の進行に伴い発症したと思われる強皮症の1例
山際 秋沙
乳癌のリンパ節転移を伴った非定型強皮症の1例
宮本 明栄
好酸球増多を伴ったステロイド抵抗性成人Still病
渡会 晃
IL−6受容体阻害薬(トシリズマブ)が奏効した成人Still病の1例
田中 純江
■Clinicolor
Mycobacterium intracellulareによる肺非結核性抗酸菌症を合併した皮膚腺病の1例
竹之下 秀雄
■巻頭言
勤務医の楽しみ
福山 國太郎
■治療
内眼角部悪性腫瘍切除後の再建例
須山 孝雪
■随想
「杢太郎」落ち穂拾い(21)杢太郎と兼太郎(2)
上野 賢一
■症例
扁平苔癬に続発した硫酸フラジオマイシンによる接触皮膚炎−当初外陰部Paget病を疑った1例−
矢田 康子
アロプリノールによる非典型薬剤性過敏症症候群の1例
澤田 詩織
塩酸ピリドキシンによる光線過敏型薬疹
堀口 麻有子
クリオグロブリン血症性紫斑の2例
土屋 佳奈
潰瘍形成時に抗カルジオリピン抗体が一過性に陽性を示したLivedo Reticularis with Summer Ulcerationの1例
稲冨 徹
深部静脈血栓症に伴った難治性下腿潰瘍−骨髄低形成を合併した1例−
上原 顕仁
丘疹を伴った下腿うっ滞性脂肪織炎の1例
池田 彩
肝細胞癌に対する肝動脈化学塞栓療法後に生じた臍上部皮下脂肪織炎の1例
岩阪 浩志
Basedow病とサルコイドーシスを合併した後天性反応性穿孔性膠原線維症の1例
伊藤 理英
Mycobacteriumintracellulareによる肺非結核性抗酸菌症を合併した皮膚腺病の1例
竹之下 秀雄
紅斑と掻痒を伴い再発したBL型ハンセン病の1例
井上 太郎
アモキシシリンによる治療後に自己免疫性好中球減少症をきたした第2期梅毒
浦野 聖子
結節性硬化症の親子3例−多発性軟線維腫が主訴の父親とその実子2例との臨床像の比較−
上田 喬士
爪甲破壊を伴った爪母発生のLangerhans細胞組織球
天羽 康之
臍部に生じた無色素性基底細胞癌の1例
藤田 美穂
■MiniReport
フェニトインによるDrug-Induced Reversible Lymphoid Dyscrasiaの1例
横山 恵美
仙尾骨部に生じた滑液包炎の1例
塩見 彩子
前胸部腫脹を伴った流行性耳下腺炎の1例
李 民
Prozone現象がみられ原因不明の視神経炎と診断されていた第2期梅毒の1例
志村 真希
滲出性紅斑を呈した疥癬の1例
野村 みずほ
 本号においても、「Clinicolor」として、竹之下先生に大変教育的な症例をご提示いただいております。本誌の「Clinicolor」については、創刊(1960年)以来、巻頭を飾り続け、半世紀もの間、貴重な症例が蓄積されてまいりました。2008年には発刊50周年を記念して、『精選 Clinicolor ベスト 180』という別冊を発行しておりますので、是非一度、宝の山をご覧いただければと存じます。

 以前、多くの臨床雑誌が白黒写真掲載だった時代には、「Clinicolor」は本誌の代名詞ともいえる特徴ある企画でしたが、今や、本文の写真もすべてカラー化という時代になってきました。そういった状況においては、「Clinicolor」は一定の役割を終えたのではないか、という考えもできるかもしれません。しかし、創刊当時、コストの問題があるにも関わらず、良質なカラー写真を提供し、読者の視診の実力向上に寄与したいと願った当時の編集委員の先生方と金原出版の強い思いは、本誌創刊の精神ともいえます。

 皮疹を一目みて診断する、いわゆる「Blickdiagnose」は、皮膚科医の視診の実力が最も表れる瞬間です。それを的確に行うには、膨大な経験に裏打ちされた統合的な能力を必要とします。これに関連して、患者さんの何らかの異常状態を評価する際に行う「分析的な見方」と「直感的な見方」を考えてみます。「分析的な見方」とは、例えばメラノーマと診断する際、臨床、ダーモスコピー、超音波、病理組織、生化学、遺伝子を個々に分析し評価していくことにあたります。臨床的にはABCD法に沿って、形、境界、色調、大きさを個別に評価し、さらには、ダーモスコピーで、個々の構造、色調のいくつかの基準項目を評価し、場合によっては点数化するといった見方です。こういった見方は、客観性が高いとされ、標準化するために機械化が目指されます。一方、「直感的な見方」とは、みた瞬間「顔つきが悪い」「ただものではない」などと感じる見方です。主観的ではありますが、これは機械にはできない人間の脳の最も高次な機能の表れともいえます。すなわち、人間の脳は、DNA異常を基盤とする悪性腫瘍細胞の増殖の不均一性が反映した形・境界・色調の不規則性(ABC)と、増殖能の強さの反映である大きさ(D)を、一瞬にして統合的に読み取って、「顔つきが悪い」と判断することができます。

 誰もが一定レベルの判断をできる見方は「分析的見方」です。一方、「直感的見方」は、これだけに頼れば単なる山勘ですが、決して軽視してはならないものです。的確な「Blickdiagnose」は分析的見方を繰り返した経験を持ち、かつそれを統合する実力を備えた医師において初めて可能になることだと思います。意識せずとも、形態をみて、遺伝子まで瞬時に見通すことを行っているといっても過言ではありません。それが、皮膚科医が行う視診の醍醐味ですし、その実力養成に貢献してきた「Clinicolor」はまだまだ役割は終えていないのかもしれません。

(土田哲也)