皮膚科の臨床

代謝異常症

2010年04月号(52巻 04号)

企 画
定 価 2,916円
(本体2,700円+税)
在庫状況 なし
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特集 代謝異常症
無疹部での皮膚生検によって診断した全身性アミロイドーシスの1例
山本 三幸
皮膚限局性結節性アミロイドーシスの1例
大島 昇
右前頸部から胸骨部にかけて生じた巨大なアミロイドーマ(Tumoral Amyloidosis)
日野上 はるな
糖尿病に合併したLichen Myxedematosusの1例
吉本 啓助
原発性胆汁性肝硬変と合併した粘液水腫性苔癬
宮本 明栄
発疹性黄色腫の1例
山口 奈央
高脂血症、糖尿病に伴った発疹性黄色腫の1例
坂田 有紀
多発性痛風結節の1例
工藤 沙織
痛風結節に掻爬術を行った1例
有本 理恵
糖尿病性前脛骨部色素斑を合併した晩発性皮膚ポルフィリン症の1例
浜野 真紀
多数の石灰化物質が経表皮性に排泄された弾力線維性仮性黄色腫
栃木 美寿紀
■Clinicolor
前胸部と後頭部に皮下硬結を合併した巨細胞性動脈炎
楠 舞
■巻頭言
折り返し点での所感
河原 由恵
■治療
難治性皮膚潰瘍に対するパンチ植皮の試み
本間 大
■私の工夫
人工真皮を用いた瘢痕性爪甲剥離症・爪萎縮症の治療
菅又 章
■随想
「杢太郎」落ち穂拾い(16)旅の道連れ(1)
上野 賢一
■症例
お好み焼き粉に繁殖したコナヒョウヒダニによる即時型アレルギーの1例
伊藤 路子
前胸部と後頭部に皮下硬結を合併した巨細胞性動脈炎
楠 舞
円板状エリテマトーデス様皮疹を伴ったループス脂肪織炎
中村 哲史
Morphea様の皮膚病変を伴いステロイド全身投与に治療抵抗性を示した好酸球性筋膜炎の1例
伊東 孝通
特発性血小板減少性紫斑病に合併したSuperficial Granulomatous Pyodermaの1例
中嶋 康之
潰瘍性大腸炎を合併した若年者頭部の壊疽性膿皮症
土井 里沙子
型別判定を試みたツツガムシ病の3例
村瀬 香奈
Nodular Hidradenomaの1例
長谷井 麻希
頬部に生じた隆起性皮膚線維肉腫の3例
西村 真智子
Primary Cutaneous CD30−Positive T-Cell Lymphoproriferative Disordersの2例
加藤 一郎
皮膚浸潤を生じたJevenile Myelomonocytic Leukemiaの1例
木下 洋和
■Mini Report
ドセタキセル投与後にみられた爪甲下出血の1例
夏秋 洋平
骨髄異形成症候群に合併した凍瘡様皮疹
坂上 麻衣子
表皮嚢腫構造を呈した伝染性軟属腫の1例
小坂 素子
頬部皮下腫瘤を主訴に皮膚科受診された副鼻腔炎術後性上顎嚢胞の1例
松本 考平
Erosive Adenomatosis of the Nippleの1例
角田 加奈子
足底に発生した顆粒細胞腫の1例
桑田 依子
有茎性Cutaneous Myxomaの1例
斎藤 洋
母斑性基底細胞癌症候群の1例
関 智子
 春は、新入生を迎え、大学が華やいだ雰囲気になる唯一の季節です。今年度も、本学においては、地域枠を加えた医学部定員増を図る国の方針に従って、定員を増やしました。「地域医療の崩壊」を食い止めるために、学部学生の段階から地域医療に貢献する医師を確保することが大学に強く求められています。
 
 ところで、ここでいう「地域」とは何を指すのでしょうか。行政、マスコミがいう「地域」は、単に「大都市圏に対する地方」を指しているだけの場合もあります。そういった意味の地域医療の実践のためには「卒業大学の地域に残って医療活動を行う医師の確保」が必要とされ、それが各大学における「地域枠」設定に結びつくことになります。

 しかし、本来、「地域医療」とは、場所を問わず地域住民の健康を守るための予防を含めた医療活動を指すはずです。全国すべての医師は、どこにいようと診療所、診療病院、大学病院のいずれかで地域医療に関わっていることは言うまでもないことで、「地域医療」に携わるのは特別な医師であるような表現は誤解を与えます。

 現在の地域医療の最大の問題点は、勤務医不足による病院機能の低下が住民の健康に影響を与えていることで、それが地方においてより顕著にみられることです。この現象が「地域医療の崩壊」として表現されているように思えます。その原因として、医師の絶対数不足、地域偏在、診療科による偏在がよく挙げられます。しかし、この現象は、本質的にはいわば「医師の循環障害」が最も大きな要因で生じています。不足、偏在は元々あったにも関わらず、循環のお蔭で崩壊を免れていた医療システムにおいて、その循環障害の引き金を引いたのは、言うまでもなく、新臨床研修システムの導入および医局講座制の崩壊です。さらに並行して、医師がいい意味のプライドを保てなくなる社会的状況はボディブローのように効いて勤務医不足に拍車をかけています。

 新臨床研修システムの罪の部分は、その出口を全く整備せずに導入してしまったことによってもたらされましたが、それでもまだ賛否両論に分かれます。一方、悪名高い医局講座制の崩壊には拍手喝采の方が多いかもしれません。しかし、日本のような低医療費、低いマンパワーの中で、地域医療における人材の循環を保てたのはこの制度が大きく貢献してきたことは疑いの余地がありません。

 講座は大学における教育の基本的枠組み、教室は診療、研究、教育の実践単位、医局は教室と重なる診療単位(医師集団)と考えてみます。欧米と異なり、大学がまずありきでそれに附属して病院が設置された日本の大学医学部および病院では、病院の独立性が低く、診療単位の医局が教育単位の講座と一体になって活動することが容易にできるため、機能上は最も無駄のない制度になっていたという見方もできます。

 古くて日本独特のものにも、それなりの合理的な意味があります。単にこわすだけでは副作用のみが残ります。

(土田哲也)