皮膚科の臨床

分子標的薬による薬疹

2010年03月増大号(52巻 03号)

企 画
定 価 4,752円
(本体4,400円+税)
在庫状況 なし
  • 定期購読のご案内
  • 次号予告
  • 最新号
  • 投稿規定
  • 臨時増刊号一覧

特集 分子標的薬による薬疹
分子標的薬の基礎知識
大槻 マミ太郎
分子標的治療薬の皮膚症状とその対処法
松浦 浩徳
エルロチニブによる皮膚症状とその治療
白藤 宜紀
エルロチニブによる薬疹の2例
古田 淳一
エルロチニブによるざ瘡様発疹の2例
伊藤 ゆり子
放射線照射部位を避けて生じたエルロチニブによる薬疹の1例
杉本 恭子
ソラフェニブによる薬疹の3例
和薬 孝昌
ソラフェニブにより生じた皮膚障害の4例
神山 泰介
ソラフェニブによる手足症候群の4例−足底膿瘍様皮疹・発症機序の考察を加えて−
花輪 書絵
ダサチニブによる薬疹の2例
三宅 美帆
多標的キナーゼ阻害剤による皮膚障害の3例
伊藤 倫子
エタネルセプト(TNF-α阻害薬)投与中に生じた乾癬様皮疹の1例
木村 聡子
■Clinicolor
Granular Cell Tumorの1例とダーモスコピー像
角田 孝彦
■巻頭言
皮膚科医として生きる
谷口 芳記
■総説
免疫異常から見たアトピー性皮膚炎のメカニズムと治療
中村 晃一郎
■臨床講義
皮膚科領域の遺伝医療
森脇 真一
■臨床研究
口囲皮膚炎におけるFusobacteriaの病因的役割についての検討
石黒 直子
■治療
炭酸ガスレーザーによる陥入爪の新しい治療法
桑名 隆一郎
■随想
「杢太郎」落ち穂拾い(15)その生い立ち(3)
上野 賢一
■症例
チョコチップの同時摂取により反応が増強した小麦アレルギーの1例
原田 晋
粘膜症状を伴ったデフェラシロクス懸濁用錠によると考えた多形紅斑型薬疹の1例
小川 陽一
イブプロフェンで発症しロキソプロフェンナトリウムにより重症化したと思われた中毒性表皮壊死症の1例
吉田 康彦
透析患者に発症したヒトヘルペスウイルス6型とサイトメガロウイルスの再活性化が認められたアロプリノールによる薬剤性過敏症症候群の1例
竹之下 秀雄
IgA-κ型単クローン性免疫グロブリン血症に伴った血管浮腫の1例
皿山 泰子
ヨードカリが奏効したErythema Nodosum Migransの1例
加藤 裕史
抗BP180抗体が著明に高値で血漿交換療法が奏効した水疱性類天疱瘡の1例
服部 紀子
夏季のみに皮疹が汎発する角層下膿疱症の1例
佐藤 雅道
Isaacs症候群を合併し難治であったびまん性筋膜炎の1例
古北 一泰
熱傷の治療経過中に静脈血栓塞栓症をきたした3例
原 武
糖尿病患者の足部変形を伴う蜂窩織炎に骨髄炎を合併した1例
江川 裕美
滑脳症を伴ったHypomelanosis of Ito の1例
原田 勝博
タクロリムス軟膏が奏効した開口部形質細胞症の3例
岡 栄二郎
前額部Sebaceomaの1例
赤股 要
足趾に生じた顆粒細胞腫の1例
松尾 智央
Bowen病様の組織所見を伴った乳房外Paget病の1例
野田 真史
眉毛部に生じた有茎性脂腺癌の1例
内山 真樹
成人T細胞白血病・リンパ腫−会津地方における実態調査の解析−
岸本 和裕
皮膚浸潤を繰り返したDiffuse Large B-Cell Lymphoma の1例
竹中 洋史
皮下脂肪織炎症状を呈したIntravascular B-Cell Lymphomaの1例
片岡 照貴
■Mini Report
テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤の間歇内服中に発症した薬剤性口腔扁平苔癬の1例
木村 利明
脛骨前粘液水腫の診断によりBasedow病の再発が発見された1例
佐藤 弘行
Tumoral Calcinosisの1例
竹尾 友宏
角質内巻毛症の母子例
赤木 愛
潤滑油の高圧注入により右示指に肉芽腫を生じた1例
浦野 聖子
肛門周囲膿瘍を契機に発症したガス壊疽の1例
岡崎 有貴子
Steatocystoma Simplexの1例
甲田 とも
77歳女性にみられたグロムス腫瘍の1例
小川 恩
右拇指後爪郭に生じた無色素性表在型基底細胞癌の1例
中込 大樹
頭部皮膚転移から診断しえた腎細胞癌の1例
小野 紀子
 本号で編集委員を辞めることになりました。編集後記を書くのも今回が最後になります。体育会系単細胞人間である私にとって、編集後記は最も苦手とするものです。最初の頃は肥田野信先生や上野賢一先生の名文を読んではため息ばかりついておりました。漸く余裕を持って書くことが出来るようになったのは、大学を定年退職して時間的にゆとりができてからでしょうか。いずれにしろ、長い間拙文にお付き合い頂き有り難うございました。

 大学によっては、業績を記載させる時に、症例報告を原著論文と認めず、症例報告のみ別にまとめさせるところがありますが、とんでもないことです。きちんと症例を記載し、診断に至った過程と根拠、治療方法の選択と効果などを適切な考察とともに書いている症例報告は、新知見に溢れる原著論文そのものと考えます。

 こういった皆様方の玉稿を22年間読ませて頂き、大変勉強になり、臨床の実力もつきました。厚く御礼申し上げます。

 ある病理の先生に皮膚科は炎症と腫瘍くらいしかないのに、病名が多すぎると言われ、大変憤慨したことがございます。炎症だけに限っても、急性、慢性があり、非感染性のものから、あらゆる微生物が関係したものがあります。皮膚病は目でみて、触ることもでき、経過も分かるのですから、いつも四次元の世界で臨床を捉え、かつ病理学的所見とともに、多くの疾患を頭の中に蓄積していくからこそ、ほとんどの疾患を初診時に正しく診断することができるのです。多数の疾患をしっかり鑑別できています。

 感染症を見逃したら臨床家の恥です。肉芽腫様病変をみて少しでも感染症の疑いがあれば、病理組織の採取時に一般細菌、真菌、結核菌の培養を提出する習慣は、諸先輩から厳しく躾けられています。

 一人で経験出来る疾患には限りがありますから、学会に参加し、本や雑誌を読む必要がありますが、なんと言っても自分で経験し、文献を読み、学会で発表して、論文にまとめた疾患およびその周辺疾患は自信を持って診断出来ます。大変ご多忙と思われる病院の先生方から、貴重な論文をご投稿頂くと本当に頭が下がります。

 今後は編集者の査読でなく、一読者として、楽しみながら本書を読みたいと考えております。

(溝口 昌子)