皮膚科の臨床

真菌症

2010年07月号(52巻 07号)

企 画
定 価 2,970円
(本体2,700円+税)
在庫状況 なし
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特集 真菌症
Trichophyton tonsuransによる体部白癬の1例
小池 佑美
強い炎症所見を呈したTrichophyton tonsuransによる体部白癬の1例−病理組織学的所見を主体に−
岡 毅
Trichophyton verrucosumによる体部白癬の1例
宇宿 一成
Arthroderma vanbreuseghemiiによる体部白癬の1例
今井 慎
Arthroderma vanbreuseghemiiの分子型を示したTrichophyton mentagrophytesによる体部白癬−飼いネコからも原因菌種が同定された1例−
竹之下 秀雄
Microsporum gypseumによるケルスス禿瘡の1例
北川 真希
30年放置され大型の皮疹を呈したChromoblastomycosisの1例
鈴木 麻衣子
■Clinicolor
下口唇の円板状エリテマトーデスより生じた有棘細胞癌の1例
高村 さおり
■巻頭言
色素細胞
塚本 克彦
■治療
スポロトリコーシスの2例−長崎地方における症例の治療効果の検討−
小川 麻子
■随想
「杢太郎」落ち穂拾い(19) 杢太郎と岩元禎
上野 賢一
■学会印象記
第109回日本皮膚科学会総会・学術大会
石黒 直子
■書評
『皮膚外科学』(学研メディカル秀潤社)
帆足 俊彦
『毎日診ている皮膚真菌症』(南山堂)
中村 晃一郎
■症例
マイコプラズマ肺炎およびフェノバルビタール投与後に発症した小児Stevens-Johnson症候群の1例
松倉 節子
本態性M蛋白血症を伴った粘液水腫性苔癬の1例
平井 伸幸
複合性局所疼痛症候群の1例
日景 聡子
抜毛症から診断に至ったアスペルガー症候群の1例
宮嶋 佳苗
悪性関節リウマチで足趾切断後に発症したMycobacterium chelonae感染症の1例
若林 知江
マムシ生食後に発症したCreeping Diseaseの2例
佐藤 三佳
健常人男性に生じたUnilateral Nevoid Telangiectasiaの1例
谷村 裕嗣
左腋窩、右前腕および右下腿後面にSchwannomaを発症したSchwannomatosisの1例
辻 正孝
切除5年後に再発したSolid−Cystic Hidradenomaの1例
西尾 栄一
膵臓癌に対する塩酸ゲムシタビン治療により紅斑局面が改善した乳房外Paget病
宮本 明栄
下口唇の円板状エリテマトーデスより生じた有棘細胞癌の1例
高村 さおり
原発巣が完全消退したと思われる悪性黒色腫の2例
岩田 浩明
紫外線療法とエトポシド少量投与が有効であった紅皮症型菌状息肉症−胃癌を合併し肉芽腫形成を伴った1例−
岸本 和裕
高度爪甲変形に対する人工真皮とbFGF製剤を併用したZadik変法の経験
飯田 直成
■Mini Report
ポリオキシエチレンアルキルエーテルによる接触蕁麻疹
塩見 彩子
中国製民間薬で酒さ様皮膚炎を生じた1例
市原 麻子
塩酸ミノサイクリンが有効であったSuperficial Granulomatous Pyodermaの1例
田村 奈渚
A群β溶連菌による外陰炎の1例
山田 延未
頭部の著明な角質増生をきたした角化型疥癬(ノルウェー疥癬)の1例
佐藤 公美子
 勤務医を長く続けているうちに、病院内のいくつかの役職を任されるようになり、その一つが病歴委員会です。この委員会の主要でしかも事務的な役割として、病歴要約(サマリー)の完成率向上・維持があります。病院機能評価の規定では、この要約は患者の退院後2週間以内に100%完成していなければなりません。しかし、多忙な日常業務をこなしながら要約を書き上げるのは若い研修医たちにとってはなかなか大変なようで100%に届かないのが実情です。

 直接的な患者診療とは異質の作業なので、面倒なことはついつい後回しにしてしまう気持ちはよくわかります。もちろん業務量が物理的に過多なら、翌日回しもやむを得ませんが、なるべくなら若いうちに、今日の仕事は今日中に片付けるという習慣をつけておく方がよいと思います。そして、できるだけ丁寧な仕事をするように心がけるのも大切です。学会発表や論文作成に際して、自分の書いた要約を読み返してみると、あれも足りない、これも書いてない、必要な情報が抜け落ちていることにはじめて気付きます。そうなると、改めてカルテや検査結果を一から見直したり、(可能であれば)問診を取り直したりしなければならなくなります。要約作成はその場限りの通過業務ではなくて、実は後々に役に立つ作業だったのだということを痛感するわけです。これは私個人の経験も踏まえています。おそらく、本誌に投稿される筆者やその指導医の方々も同感なのではないでしょうか。

 さて、話題が変わって、投稿論文(症例報告)の要約についてのお願いがあります。病歴の要約と、論文の要約とは趣旨が違うということがどうも理解されていないように感じるのです。病歴要約では、経過、検査、治療などの、事実のみを簡潔にしかも過不足なく記載するわけです。つまり、症例報告のスタイルで言うと、"症例"に相当する部分です。論文の要約では、それに加えて筆者の主張、論文で言うと"考案"部分を含める必要があります。その症例を通じて自分は何が言いたいのか、何が新しいのか(something new)、何が"売り"なのかを盛り込まなければ意味がありません。要約を読んだだけでもその論文の概要がわかる、それが要約というものです。したがって、単なる"経過要約"に終始している場合には書き直しを求めるのですが、どうもこちらの意図が理解されていない場合が少なくありません。筆者、および指導医の方々は、"要約"の書き方について再考していただくことをお願いします。

(大原國章)