抗てんかん薬TDM標準化ガイドライン 2018

抗てんかん薬の標準的なTDMの手法を薬剤別に解説!

編 集 日本TDM学会
定 価 3,080円
(2,800円+税)
発行日 2018/11/30
ISBN 978-4-307-47048-3

B5判・128頁・図数:2枚

在庫状況 あり

抗てんかん薬の効果と副作用の発現には個人差が大きい。そのため、日常臨床における治療薬物モニタリング(TDM)が投与計画を決定するうえで重要な手段となり、各種抗てんかん薬の薬物動態に基づいたTDMを行う必要がある。
本書では11種類の抗てんかん薬について、TDMの標準的な手法が薬剤別にまとめられた。
TDMに携わる薬剤師や臨床検査技師、TDMをオーダーする医師必携のガイドラインである。


【関連書籍】免疫抑制薬TDM標準化ガイドライン2018[臓器移植編]第2版
I.序論
 1. 本ガイドラインの構成、推奨度
 2. 利益相反
 3. 利用上の注意
 4. 抗てんかん薬とTDM

II.Executive Summary
 1. フェニトイン
 2. フェノバルビタール
 3. カルバマゼピン
 4. バルプロ酸
 5. ゾニサミド
 6. クロバザム
 7. クロナゼパム
 8. ラモトリギン
 9. ガバペンチン
 10. レベチラセタム
 11. トピラマート

III.Clinical Questions
 1. フェニトイン
  CQ 1-1 定常状態でのトラフ濃度のTDMは推奨されるか。
  CQ 1-2 推奨される目標血中濃度はどれくらいか。
  CQ 1-3 推奨される測定法は何か。
  CQ 1-4 代謝物のTDMは推奨されるか。
  CQ 1-5 効果不十分もしくは副作用発現時のTDMは推奨されるか。
  CQ 1-6 薬物相互作用を考慮したTDMは推奨されるか。
  CQ 1-7 肝機能障害患者ではTDMが推奨されるか。
  CQ 1-8 腎機能障害患者ではTDMが推奨されるか。
  CQ 1-9 透析患者ではTDMが推奨されるか。
  CQ 1-10 妊婦ではTDMが推奨されるか。
  CQ 1-11 血中濃度値の背景因子として代謝酵素やトランスポーターをコードする遺伝子検査は推奨されるか。
  CQ 1-12 ホスフェニトインのTDMは推奨されるか。

 2. フェノバルビタール
  CQ 2-1 定常状態でのトラフ濃度のTDMは推奨されるか。
  CQ 2-2 推奨される目標血中濃度はどれくらいか。
  CQ 2-3 推奨される測定法は何か。
  CQ 2-4 代謝物のTDMは推奨されるか。
  CQ 2-5 効果不十分もしくは副作用発現時のTDMは推奨されるか。
  CQ 2-6 薬物相互作用を考慮したTDMは推奨されるか。
  CQ 2-7 肝機能障害患者ではTDMが推奨されるか。
  CQ 2-8 腎機能障害患者ではTDMが推奨されるか。
  CQ 2-9 透析患者ではTDMが推奨されるか。
  CQ 2-10 妊婦ではTDMが推奨されるか。
  CQ 2-11 血中濃度値の背景因子として代謝酵素やトランスポーターをコードする遺伝子検査は推奨されるか。

 3. カルバマゼピン
  CQ 3-1 定常状態でのトラフ濃度のTDMは推奨されるか。
  CQ 3-2 推奨される目標血中濃度はどれくらいか。
  CQ 3-3 推奨される測定法は何か。
  CQ 3-4 代謝物のTDMは推奨されるか。
  CQ 3-5 効果不十分もしくは副作用発現時のTDMは推奨されるか。
  CQ 3-6 薬物相互作用を考慮したTDMは推奨されるか。
  CQ 3-7 肝機能障害患者ではTDMが推奨されるか。
  CQ 3-8 腎機能障害患者ではTDMが推奨されるか。
  CQ 3-9 透析患者ではTDMが推奨されるか。
  CQ 3-10 妊婦ではTDMが推奨されるか。
  CQ 3-11 血中濃度値の背景因子として代謝酵素やトランスポーターをコードする遺伝子検査は推奨されるか。

 4. バルプロ酸
  CQ 4-1 定常状態でのトラフ濃度のTDMは推奨されるか。
  CQ 4-2 推奨される目標血中濃度はどれくらいか。
  CQ 4-3 推奨される測定法は何か。
  CQ 4-4 代謝物のTDMは推奨されるか。
  CQ 4-5 効果不十分もしくは副作用発現時のTDMは推奨されるか。
  CQ 4-6 薬物相互作用を考慮したTDMは推奨されるか。
  CQ 4-7 肝機能障害患者ではTDMが推奨されるか。
  CQ 4-8 腎機能障害患者ではTDMが推奨されるか。
  CQ 4-9 透析患者ではTDMが推奨されるか。
  CQ 4-10 妊婦ではTDMが推奨されるか。
  CQ 4-11 血中濃度値の背景因子として代謝酵素やトランスポーターをコードする遺伝子検査は推奨されるか。

 5. ゾニサミド
  CQ 5-1 定常状態でのトラフ濃度のTDMは推奨されるか。
  CQ 5-2 推奨される目標血中濃度はどれくらいか。
  CQ 5-3 推奨される測定法は何か。
  CQ 5-4 代謝物のTDMは推奨されるか。
  CQ 5-5 効果不十分もしくは副作用発現時のTDMは推奨されるか。
  CQ 5-6 薬物相互作用を考慮したTDMは推奨されるか。
  CQ 5-7 肝機能障害患者ではTDMが推奨されるか。
  CQ 5-8 腎機能障害患者ではTDMが推奨されるか。
  CQ 5-9 透析患者ではTDMが推奨されるか。
  CQ 5-10 妊婦ではTDMが推奨されるか。
  CQ 5-11 血中濃度値の背景因子として代謝酵素やトランスポーターをコードする遺伝子検査は推奨されるか。

 6. クロバザム
  CQ 6-1 定常状態でのトラフ濃度のTDMは推奨されるか。
  CQ 6-2 推奨される目標血中濃度はどれくらいか。
  CQ 6-3 推奨される測定法は何か。
  CQ 6-4 代謝物のTDMは推奨されるか。
  CQ 6-5 効果不十分もしくは副作用発現時のTDMは推奨されるか。
  CQ 6-6 薬物相互作用を考慮したTDMは推奨されるか。
  CQ 6-7 肝機能障害患者ではTDMが推奨されるか。
  CQ 6-8 腎機能障害患者ではTDMが推奨されるか。
  CQ 6-9 透析患者ではTDMが推奨されるか。
  CQ 6-10 妊婦ではTDMが推奨されるか。
  CQ 6-11 血中濃度値の背景因子として代謝酵素やトランスポーターをコードする遺伝子検査は推奨されるか。

 7. クロナゼパム
  CQ 7-1 定常状態でのトラフ濃度のTDMは推奨されるか。
  CQ 7-2 推奨される目標血中濃度はどれくらいか。
  CQ 7-3 推奨される測定法は何か。
  CQ 7-4 代謝物のTDMは推奨されるか。
  CQ 7-5 効果不十分もしくは副作用発現時のTDMは推奨されるか。
  CQ 7-6 薬物相互作用を考慮したTDMは推奨されるか。
  CQ 7-7 肝機能障害患者ではTDMが推奨されるか。
  CQ 7-8 腎機能障害患者ではTDMが推奨されるか。
  CQ 7-9 透析患者ではTDMが推奨されるか。
  CQ 7-10 妊婦ではTDMが推奨されるか。
  CQ 7-11 血中濃度値の背景因子として代謝酵素やトランスポーターをコードする遺伝子検査は推奨されるか。

 8. ラモトリギン
  CQ 8-1 定常状態でのトラフ濃度のTDMは推奨されるか。
  CQ 8-2 推奨される目標血中濃度はどれくらいか。
  CQ 8-3 推奨される測定法は何か。
  CQ 8-4 代謝物のTDMは推奨されるか。
  CQ 8-5 効果不十分もしくは副作用発現時のTDMは推奨されるか。
  CQ 8-6 薬物相互作用を考慮したTDMは推奨されるか。
  CQ 8-7 肝機能障害患者ではTDMが推奨されるか。
  CQ 8-8 腎機能障害患者ではTDMが推奨されるか。
  CQ 8-9 透析患者ではTDMが推奨されるか。
  CQ 8-10 妊婦ではTDMが推奨されるか。
  CQ 8-11 血中濃度値の背景因子として代謝酵素やトランスポーターをコードする遺伝子検査は推奨されるか。

 9. ガバペンチン
  CQ 9-1 定常状態でのトラフ濃度のTDMは推奨されるか。
  CQ 9-2 推奨される目標血中濃度はどれくらいか。
  CQ 9-3 推奨される測定法は何か。
  CQ 9-4 代謝物のTDMは推奨されるか。
  CQ 9-5 効果不十分もしくは副作用発現時のTDMは推奨されるか。
  CQ 9-6 薬物相互作用を考慮したTDMは推奨されるか。
  CQ 9-7 肝機能障害患者ではTDMが推奨されるか。
  CQ 9-8 腎機能障害患者ではTDMが推奨されるか。
  CQ 9-9 透析患者ではTDMが推奨されるか。
  CQ 9-10 妊婦ではTDMが推奨されるか。
  CQ 9-11 血中濃度値の背景因子として代謝酵素やトランスポーターをコードする遺伝子検査は推奨されるか。

 10. レベチラセタム
  CQ 10-1 定常状態でのトラフ濃度のTDMは推奨されるか。
  CQ 10-2 推奨される目標血中濃度はどれくらいか。
  CQ 10-3 推奨される測定法は何か。
  CQ 10-4 代謝物のTDMは推奨されるか。
  CQ 10-5 効果不十分もしくは副作用発現時のTDMは推奨されるか。
  CQ 10-6 薬物相互作用を考慮したTDMは推奨されるか。
  CQ 10-7 肝機能障害患者ではTDMが推奨されるか。
  CQ 10-8 腎機能障害患者ではTDMが推奨されるか。
  CQ 10-9 透析患者ではTDMが推奨されるか。
  CQ 10-10 妊婦ではTDMが推奨されるか。
  CQ 10-11 血中濃度値の背景因子として代謝酵素やトランスポーターをコードする遺伝子検査は推奨されるか。

 11. トピラマート
  CQ 11-1 定常状態でのトラフ濃度のTDMは推奨されるか。
  CQ 11-2 推奨される目標血中濃度はどれくらいか。
  CQ 11-3 推奨される測定法は何か。
  CQ 11-4 代謝物のTDMは推奨されるか。
  CQ 11-5 効果不十分もしくは副作用発現時のTDMは推奨されるか。
  CQ 11-6 薬物相互作用を考慮したTDMは推奨されるか。
  CQ 11-7 肝機能障害患者ではTDMが推奨されるか。
  CQ 11-8 腎機能障害患者ではTDMが推奨されるか。
  CQ 11-9 透析患者ではTDMが推奨されるか。
  CQ 11-10 妊婦ではTDMが推奨されるか。
  CQ 11-11 血中濃度値の背景因子として代謝酵素やトランスポーターをコードする遺伝子検査は推奨されるか。

索引
はじめに

 抗てんかん薬は、1857年の臭化カリウム投与にはじまり、現在では飛躍的に種類が増加し、約20薬剤が使用されている。特に、1990年代以降に新規抗てんかん薬として約10種類が承認されており、それに伴い個別化医療の選択肢が拡大したと同時に薬物相互作用にも一段と注意する必要が生じている。
 抗てんかん薬の効果および副作用発現には個人差が大きく、日常臨床での薬物治療モニタリング(therapeutic drug monitoring;TDM)は、各患者の治療計画を最適化するうえで欠かせない。TDMは通常、タンパク結合形と遊離形を合わせた薬物の総濃度を測定しているが、抗てんかん薬のなかには薬理作用と直結する遊離形濃度が重要な役割を果たす場合がある。さらに、肝機能、腎機能、年齢、薬物相互作用等の影響を受けうる。抗てんかん薬による治療を成功させるためには、各種抗てんかん薬の薬物動態に基づいたTDMを適切に実施することがきわめて重要である。そこで、日本TDM学会は抗てんかん薬TDMの「標準化」を目的として2013年に初版のガイドライン(Web版)を発表した。
 この度、初版には含めなかった新規抗てんかん薬を加え、現時点におけるエビデンスとコンセンサスをまとめた改訂版『抗てんかん薬TDM標準化ガイドライン2018』を発刊するに至った。本書は、TDMを実施するにあたり最低限知っておくべき知識と実地臨床における標準的な考え方をまとめたものである。抗てんかん薬TDMの必要性、採血のタイミング、TDM実施の頻度、目標血中濃度などについて「標準化」をめざすことを目的としている。一方で、TDMを主要評価項目としたランダム化比較試験(RCT)はほとんどなく、多くがコホート研究やケースシリーズ研究などの観察研究であり、エビデンスレベルの高い論文は多くない。それゆえ、本ガイドラインの内容はエビデンスを基本としつつ、エビデンスが不足する場合は専門家である策定委員の合意(コンセンサス)に基づいて推奨度を設定した。
 てんかんの治療は新規抗てんかん薬が加わることで薬剤の組み合わせや治療方法が時代とともに変遷することが予想される。日本TDM学会は今後も継続的に検討を続け、且つ皆様からのご意見を頂戴しつつ、定期的に改訂を進める予定である。本ガイドラインがてんかん治療に関わるすべての施設、すべての医療従事者の抗てんかん薬TDMに役立ち、よっててんかん治療の向上に貢献できることを期待する。
 
2018年10月
一般社団法人日本TDM学会
理事・TDMガイドライン策定委員長 谷川原 祐介
抗てんかん薬TDM標準化ガイドライン策定委員長 千堂 年昭