免疫抑制薬TDM標準化ガイドライン 2018 [臓器移植編] 第2版

免疫抑制薬TDMの手法を標準化したガイドラインを4年ぶりに改訂!

編 集 日本TDM学会 / 日本移植学会
定 価 3,024円
(2,800円+税)
発行日 2018/10/10
ISBN 978-4-307-47047-6

B5判・136頁・図数:3枚

在庫状況 あり

臓器移植時に使用される免疫抑制薬のタクロリムス、シクロスポリン、ミコフェノール酸、エベロリムスは、微量で強力な薬理効果を発揮する反面、有効治療域が狭い。そのため、薬物動態と効果・副作用のモニタリングを行うTDMにより、患者個別の薬物投与計画を立てることが必須となる。4年ぶりの改訂となる第2版では、初版で収載した腎移植と肝移植に加え、新たに心移植、肺移植、膵移植の領域を収載してアップデートした。
I.序論
 1 免疫抑制薬とTDM
 2 本ガイドラインの構成、エビデンスレベル・推奨度
 3 利益相反
 4 利用上の注意

II.Executive Summary
 1-A. カルシニューリン阻害薬(腎移植)
 1-B. カルシニューリン阻害薬(肝移植)
 1-C. カルシニューリン阻害薬(心移植)
 1-D. カルシニューリン阻害薬(肺移植)
 2. ミコフェノール酸
 3. エベロリムス(心移植、腎移植、肝移植)

III.Clinical Questions
[1]カルシニューリン阻害薬(腎移植、肝移植、心移植、肺移植、膵移植)
 1 TDMの適応
 2 PKパラメータ
 3 TDMの方法(採血ポイントなど)
  a.測定試料
  CQ 1-1 測定試料は何を用いるか。
  CQ 1-2 どの採血管を使用するのか。
  CQ 1-3 検体の保存はどうすればよいか。
  b.採血ポイント(タイミング)
  CQ 1-4 採血はどのタイミングで行うべきか。
  c.測定頻度
  CQ 1-5 測定の頻度はどのようにすればよいか。
  CQ 1-6 静脈注射から経口投与への切り替えの際、測定のタイミングはいつか。
 4 目標血中濃度
  CQ 1-7 目標血中濃度はどれくらいか。
 5 投与設計
  CQ 1-8 経口投与の場合、投与法はどうすればよいか。
  CQ 1-9 静脈注射の場合、投与法はどうすればよいか。
  CQ 1-10 静脈注射と経口投与の切り替えの際、投与量(1日量)の換算はどうするのか。
  CQ 1-11 タクロリムスとシクロスポリンを切り替える際、投与量の換算はどうするのか。
  CQ 1-12 内服は食前か食後か空腹時か。
 6 特定の背景を有する患者など
  CQ 1-13 腎機能障害患者・透析患者へはどう対応すればよいか。
  CQ 1-14 肝機能障害患者へはどう対応すればよいか。
  CQ 1-15 小児への投与はどう対応すればよいか。
  CQ 1-16 高齢者への投与はどう対応すればよいか。
  CQ 1-17 妊婦・授乳婦への投与はどう対応すればよいか。
  CQ 1-18 下痢の影響はあるのか。
  CQ 1-19 胆汁ドレーン抜去の影響はあるのか。
  CQ 1-20 タクロリムス徐放性製剤(1日1回投与)を使用する場合の用量調節はどうするのか。
  CQ 1-21 注射製剤を投与する場合、ポンプの選択に注意点はあるか。
  CQ 1-22 エベロリムス併用時のタクロリムス、シクロスポリンの目標血中濃度はどれくらいか。
 7 薬物相互作用
  CQ 1-23 カルシニューリン阻害薬の血中濃度に影響を与える薬物相互作用について注意を要する薬物などは何か。
  CQ 1-24 薬物相互作用で特に注意すべき併用薬は何か。
 8 測定法
  CQ 1-25 どのような測定機器(方法)があるか。
  CQ 1-26 測定法ごとに精度の違いがあるか。
  CQ 1-27 移植施設のサマリーに退院時の投与量と血中濃度が記載されていたが、自施設でフォローする際に必要な注意点は何か。
 9 遺伝子多型
  CQ 1-28 遺伝子多型の診断は必要か。
 10 医療材料の影響
  CQ 1-29 どんな材質の点滴チューブを使用すべきか。
 11 その他
  CQ 1-30 思いがけず高値、低値が出た場合はどう対応すべきか。
  CQ 1-31 後発医薬品に切り替える場合、血中濃度測定のタイミングや目標血中濃度域を調節する必要があるか。(タクロリムス、シクロスポリン、ミコフェノール酸モフェチル)

[2]ミコフェノール酸
 1 TDMの適応
 2 PKパラメータ
 3 TDMの方法(採血ポイントなど)
  a.測定試料
  CQ 2-1 測定試料は何を用いるか。
  CQ 2-2 どの採血管を使用するのか。
  CQ 2-3 検体の保存はどうすればよいか。
  b.採血ポイント(タイミング)
  CQ 2-4 採血はどのタイミングで行うべきか。
  CQ 2-5 最初に測定するタイミングは投与開始何日目か。
  c.測定頻度
  CQ 2-6 測定の頻度はどのようにすればよいか。
  CQ 2-7 投与量変更後何日目に測定するのか。
  CQ 2-8 測定すべきイベントはどのような場合か。
  CQ 2-9 採血時間のずれはどの程度が許容範囲か。
 4 目標血中濃度
  CQ 2-10 目標血中濃度はどれくらいか。
 5 投与設計
  CQ 2-11 内服は食前か食後か空腹時か。
 6 特定の背景を有する患者など
  CQ 2-12 腎機能はミコフェノール酸の体内動態に影響を及ぼすか。
  CQ 2-13 男性の性機能に対してミコフェノール酸モフェチルは影響するか。
  CQ 2-14 腹膜透析はミコフェノール酸の体内動態に影響を及ぼすか。
  CQ 2-15 血液透析患者にはどう対応すればよいか。
  CQ 2-16 肝機能はミコフェノール酸の体内動態に影響を及ぼすか。
  CQ 2-17 低アルブミン血症の患者において注意すべき点は何があるか。
  CQ 2-18 小児ではミコフェノール酸の体内動態に影響があるか。
  CQ 2-19 高齢者ではミコフェノール酸の体内動態に影響があるか。
  CQ 2-20 妊婦・授乳婦ではミコフェノール酸の体内動態に影響があるか。
  CQ 2-21 糖尿病患者において注意すべき点は何があるか。
 7 薬物相互作用
  CQ 2-22 血中濃度の上昇を引き起こす併用薬にはどのようなものがあるか。
  CQ 2-23 血中濃度の低下を引き起こす併用薬にはどのようなものがあるか。
  CQ 2-24 カルシニューリン阻害薬をタクロリムスからシクロスポリン、またはシクロスポリンからタクロリムスへ切り替える際、ミコフェノール酸の血中濃度確認は必要か。
  CQ 2-25 マグネシウムおよびアルミニウム含有制酸薬の併用有無が変わる場合、血中濃度確認は必要か。
  CQ 2-26 リファンピシンの併用有無が変わる場合、血中濃度確認は必要か。
  CQ 2-27 プロトンポンプ阻害薬の併用有無が変わる場合、血中濃度確認は必要か。
  CQ 2-28 ステロイドの用量変更時には血中濃度確認は必要か。
  CQ 2-29 シプロフロキサシンまたはアモキシシリン・クラブラン酸の併用有無が変わる場合、血中濃度確認は必要か。
 8 測定法
  CQ 2-30 どのような測定機器(方法)があるか。
  CQ 2-31 測定法ごとに精度に違いがあるか。
 9 遺伝子多型
  CQ 2-32 遺伝子多型の診断は必要か。
 10 その他
  CQ 2-33 シクロスポリンとタクロリムスを切り替える際のミコフェノール酸モフェチルの投与量の変更は必要か。
  CQ 2-34 ミコフェノール酸モフェチルのカプセル剤と懸濁用剤を切り替える際の投与量換算比は。
  CQ 2-35 貧血はミコフェノール酸の体内動態に影響を及ぼすか。
  CQ 2-36 後発医薬品に切り替える場合、血中濃度測定のタイミングや目標血中濃度域を調節する必要があるか。

[3]エベロリムス(心移植、腎移植、肝移植)
 1 TDMの適応
 2 PKパラメータ
 3 TDMの方法(採血ポイントなど)
  a.測定試料
  CQ 3-1 測定試料は何を用いるか。
  CQ 3-2 どの採血管を使用するのか。
  CQ 3-3 検体保存は冷所か常温か。
  b.採血ポイント(タイミング)
  CQ 3-4 採血はどのタイミングで行うべきか。
  CQ 3-5 最初に測定するタイミングは投与開始何日目か。
  c.測定頻度
  CQ 3-6 測定頻度はどのようにすればよいか。
 4 目標血中濃度
  CQ 3-7 目標血中濃度はどれくらいか。
 5 投与設計
  CQ 3-8 内服は食前か食後か空腹時か。
 6 特定の背景を有する患者など
  CQ 3-9 腎機能障害患者へはどう対応すればよいか。
  CQ 3-10 肝機能障害患者へはどう対応すればよいか。
  CQ 3-11 小児、高齢者、妊婦・授乳婦、血液透析患者へはどう対応すればよいか。
  CQ 3-12 移植術後に侵襲性の高い外科的処置の必要な場合(心移植)はどう対応すればよいか。
 7 薬物相互作用
  CQ 3-13 薬物相互作用で血中濃度が上がるものは?
  CQ 3-14 薬物相互作用で血中濃度が下がるものは?
 8 測定法
  CQ 3-15 どのような測定機器(方法)があるか。
  CQ 3-16 測定法ごとに精度に違いがあるか。
 9 遺伝子多型
  CQ 3-17 遺伝子多型(CYP3A5、CYP2C19、ABCB1など)の診断は必要か。
 10 その他
  CQ 3-18 エベロリムスとタクロリムスの併用は推奨されるか。
  CQ 3-19 タクロリムス併用時とシクロスポリン併用時で、エベロリムスの血中濃度は異なるか。
索引
はじめに

 最近の移植成績の向上は、強力な免疫抑制薬と免疫抑制療法の開発・普及によるところが大きい。しかし、免疫抑制薬の過剰投与によって腎障害・骨髄抑制・感染症などの合併症が発生する危険性や、投与不足によって拒絶反応が発生するリスクがある。また、各免疫抑制薬の薬物動態は患者間あるいは同一患者における移植後の時期によっても異なるだけでなく、患者の服薬状況にも大いに影響を受ける。このため、免疫抑制薬の薬物動態と効果・副作用のモニタリング、すなわちtherapeutic drug monitoring(TDM)が必須となる。TDMは血中の薬物およびその代謝物の濃度を測定し、患者個別の薬物投与計画に必要なパラメータを求め、これに基づいて、望ましい有効治療濃度を維持できるように合理的な投与を立案する方法論である。言い換えれば、TDMは患者個別の用量・用法を吟味・評価するための手段である。
 2014年11月、日本TDM学会と日本移植学会の共同により、移植臨床において役立てられるよう、わが国初の臓器移植における免疫抑制薬TDMガイドラインを作成した。免疫抑制薬の投与法や目標濃度は施設や患者個別によって異なっていたが、それまでの報告に沿って「標準化」したものである。幸いにして、国内の多くの医療機関で本書は活用され、一定の成果を残したと考えられる。一方、心臓、肺、膵臓などの領域においてもTDM 標準化に向けたガイドラインをまとめる必要性を当初より認識していた。この度、再び委員を募り、改訂版としてこれらの領域も含め、アップデートした内容のガイドラインを出版するに至った。
 本ガイドラインに掲載する論文は、2014年版と同様に可能なかぎりエビデンスレベルの高い論文、日本人の移植医療の実情を反映した論文を選択しているが、十分網羅されているわけではない。また、高いエビデンスレベルのTDMに関する論文が不足する薬物や、小腸移植ならびに造血幹細胞移植領域に関しては今回掲載していない。さらに、免疫抑制薬や免疫抑制療法は時代とともに変遷することから本ガイドラインは2018年版とした。
 両学会は今後も継続的に検討を続け、今回掲載しなかった移植領域を含め、さらには皆様からのご意見を頂戴しつつ、定期的に改訂を進める予定である。本ガイドラインが移植医療に関わるすべての医療者の免疫抑制薬TDM に役立つことを期待する。

 2018年9月
 両学会担当理事
  一般社団法人 日本TDM学会 谷川原 祐介、増田 智先
  一般社団法人 日本移植学会 佐藤 滋