患者さんのためのリンパ浮腫ガイドライン 2025年版

リンパ浮腫を知り、防ぎ、治療するための最新情報が満載の一冊!

編 集 日本リンパ浮腫学会
定 価 2,530円
(2,300円+税)
発行日 2025/01/01
ISBN 978-4-307-20429-3

B5判・120頁・図数:1枚・カラー図数:12枚

在庫状況 あり

医師、その他医療従事者にとっての指針である「リンパ浮腫診療ガイドライン」とタイアップした、リンパ浮腫診療のやさしい解説書。科学的根拠に基づき、リンパ浮腫とはどのような病気なのか、その予防や治療について詳しく解説しています。また、患者会から寄せられた患者さんの疑問にもお答えしました。
リンパ浮腫の患者さんはもちろん、発症リスクのある乳がんや婦人科がんなどの患者さん、ご家族の皆さんにオススメの一冊です。


【関連書籍】リンパ浮腫診療ガイドライン 2024年版
患者さんのためのリンパ浮腫ガイドラインについて

I)総論―リンパ浮腫診療の基礎知識
A:診断
 1.リンパ浮腫とは?
 2.分類と原因
 3.確定診断と鑑別診断
B:予防と治療
 1.予防〜リンパ浮腫指導管理〜
 2.治療
 3.エビデンス―プラクティスギャップ(evidence - practice gap;EPG)

II)各論―疫学・予防
Q1.セルフケアのためのリンパ浮腫指導を受けることは有用ですか?
Q2.センチネルリンパ節生検によって腋窩郭清を省略した乳がん患者にも、リンパ浮腫ケアは必要でしょうか?
Q3.生活関連因子(採血・点滴、血圧測定、空旅、感染、高温環境、日焼け)は続発性リンパ浮腫の発症、増悪の原因となりますか?
Q4.リンパ浮腫になる可能性がある腕や脚に美容的処置 (レーザー、脱毛、美容目的の脂肪吸引など)を行うことは問題ありませんか?
Q5.乳がんの手術として乳房再建術を行った場合、リンパ浮腫の発症に影響しますか?
Q6.弾性着衣は続発性リンパ浮腫の予防的治療として効果がありますか?
Q7.用手的リンパドレナージ(MLD)やシンプルリンパドレナージ(SLD)は続発性リンパ浮腫の発症予防になりますか?
Q8.(1)肥満は続発性リンパ浮腫の発症リスクですか?
   (2)体重管理は続発性リンパ浮腫の発症率を下げたり、浮腫を軽減したりしますか?
Q9.続発性リンパ浮腫の発症リスクのある患者に対して、運動(エクササイズ)はリンパ浮腫発症予防の一環として勧められますか?
Q10.放射線照射は、続発性リンパ浮腫の発症リスクになりますか?
Q11.タキサン系薬剤は続発性リンパ浮腫の発症リスクですか?

III)各論―診断・治療
Q12.続発性リンパ浮腫に対して、弾性着衣は標準治療として勧められますか?
Q13.続発性リンパ浮腫に対して、多層包帯法(MLLB)は標準治療として勧められますか?
Q14.(1)続発性リンパ浮腫に対して、用手的リンパドレナージ(MLD)は標準治療として勧められますか?
   (2)続発性リンパ浮腫に対して、シンプルリンパドレナージ(SLD)は標準治療として勧められますか?
Q15.続発性リンパ浮腫に対して、圧迫療法や用手的リンパドレナージ(MLD)に間欠的空気圧迫療法(IPC)を加えることは予防もしくは治療の一環として勧められますか?
Q16.続発性リンパ浮腫に対して、運動療法は治療として勧められますか?
Q17.続発性リンパ浮腫に対してリンパ管静脈吻合術(LVA)を行った場合、行わなかった場合と比べてリンパ浮腫は改善しますか?
Q18.続発性リンパ浮腫に対して血管柄付きリンパ節移植術(VLNT)を行った場合、リンパ浮腫は改善しますか?
Q19.続発性リンパ浮腫に対して脂肪吸引術を行った場合、リンパ浮腫は改善しますか?
Q20.続発性リンパ浮腫患者に対して漢方薬を使用した場合、使用しなかった場合と比べてリンパ浮腫は軽減しますか?
Q21.続発性リンパ浮腫患者に対して漢方以外の薬物を使用した場合、使用しなかった場合と比べてリンパ浮腫は軽減しますか?
Q22.原発性(一次性)リンパ浮腫に対して、複合的治療を行った場合、行わなかった場合と比べてリンパ浮腫は軽減しますか?
Q23.リンパ浮腫に鍼灸治療は効果がありますか?

IV)その他のQ&A

用語集
索引
ご挨拶

 日本リンパ浮腫学会では、科学的根拠に基づいた医療者向けの治療指針となる「リンパ浮腫診療ガイドライン」を編纂してまいりましたが、その内容を患者さんやご家族にもしっかり理解していただくために、このたび「患者さんのためのリンパ浮腫ガイドライン」第1版を上梓いたしました。
 本企画については、2023年度の学会事業としてすでにガイドライン委員会の有志を募り着手していたところ、2024年3月に開催された第7回日本リンパ浮腫学会総会における学会・患者会合同シンポジウム「臨床研究と患者・市民参画(PPI)」において、2019年に設立したNPO団体「リンパ浮腫ネットワークジャパン(リンネット)」の代表者と学会理事が登壇して、PPIのあるべき姿や今後の協働に向けた展開を模索する協議の機会を得ました。そのなかで、リンネットが国内の患者会を対象に行った実態調査に寄せられた質問は、患者さんたちがどんなことを知りたがっているのかを私たち医療者に教えてくれる、まさに情報の宝庫でした。こうして562個の質問リストを託され、科学的根拠に即して患者さんの質問に答えるガイドライン創出を目指して編纂に取り組みました。
 本書の構成は、「リンパ浮腫診療ガイドライン」第4版のClinical Question(CQ)に対応してQuestion(Q)として分類し、各Qに関連する質問に対して、文末にQ&Aの形で回答しています。
 本書が、リンパ浮腫の診断や治療について患者さんやそのご家族の理解を深め、発症率や重症化リスクの減少に貢献できれば、こんなに嬉しいことはありません。また医療者各位におかれましても、本書によって患者さんが日頃どのような不安や疑問を抱えて生活しているのかを把握し、よりよい信頼関係の構築にお役立ていただければ幸甚に存じます。
 本書の作成にあたりリンネットの岩澤玉青代表と山崎多賀子副代表におかれましては、患者さんの生の声である貴重な質問リストのご提供に加えて、校正作業にも携わっていただきました。前田雅子学会サポートにおかれましては、一般読者の立場から要所要所できめ細かくご意見を頂戴しました。そして、委員各位におかれましてはタイトなスケジュールにもかかわらず、レビューから執筆・校正に至るまで、繰り返し綿密な作業を重ねていただきました。本書の編纂にご尽力賜りましたすべての方々に、この場を借りて心から敬意と深謝の意を申し上げる次第です。

2025年1月吉日

日本リンパ浮腫学会ガイドライン委員会
委員長 北村 薫