PTのための臨床知識―臨床実習までに備えたい要点―

臨床実習までに習得しておくべき知識をこの一冊で網羅!

監 修 日本保健衛生教育学会 / 全国リハビリテーション学校協会
編 集 金田 嘉清 / 西田 裕介 / 櫻井 宏明 / 田辺 茂雄
河野 健一
小山 総市朗
定 価 4,950円
(4,500円+税)
発行日 2026/04/01
ISBN 978-4-307-75072-1

B5判・432頁

在庫状況 なし

PT養成教育で行われる臨床実習までに習得しておくべき臨床知識をまとめたテキスト。理学療法学教育モデル・コア・カリキュラムに準拠したうえで、将来的に導入することが検討されている共用試験(CBT)の出題範囲も網羅しており、CBT対策として活用することも見据えた内容になっている。総論編・各論編に構成を分け、総論では健康・社会保障制度・疾病などの基礎知識および基礎医学・臨床医学の要点を、各論では理学療法の概論・評価・臨床推論および理学療法技術について解説した。
はじめに
執筆者一覧

◆総論
第1章 社会と理学療法 /作業療法
 1.健康の概念
  A 健康の概念ならびに健康寿命
  B 健康と社会・環境
  C 人的環境(専門職・非専門職)と生活ならびに健康との関連
  D ライフスタイルと健康との関連
  E 自然災害と生活ならびに健康との関連
 2.社会保障制度
  A 社会保障制度の種類と歴史
  B 社会保障制度について理解する
  C 保健・医療・福祉の動向と施策
  D 生活環境に関わる制度
 3.疾病予防と健康管理
  A 予防の概念について理解する
  B ストレスの原因と健康管理について理解する
  C 各ライフスタイル評価と行動変容について理解する
  D 個別指導と集団指導について理解する
  E 理学療法と関連法規:理学療法士及び作業療法士法について理解する
  F 医療法ならびに関連職種の資格法について理解する
  G 個人情報保護法について理解する
  H コンプライアンス(法令遵守)について理解する
  I 国際化と健康との関連
 4.疫学・保健医療統計・研究
  A 疫学統計について理解する
  B 医療統計について理解する
  C エビデンス(根拠)に基づく理学療法・作業療法について理解する
  D 研究倫理について理解する
  E 研究方法について理解する

第2章 基礎医学
 1.生物としての人間理解
  A 細胞の構造と機能について理解する
  B 三大分子の構造と機能について理解する
  C 身体を構成する組織と器官の構造と機能について理解する
 2.活動体としての人間理解
  A 関節運動のメカニズムについて理解する
  B 基本動作のメカニズムについて理解する
  C 活動(運動)を実行するメカニズムについて理解する
  D 活動(運動)を継続するメカニズムについて理解する
  E 摂食嚥下のメカニズムについて理解する
  F 活動(行動)を営む上での精神・心理機能について理解する
 3.各ライフステージの人間関係
  A 胎生期における発達過程について理解する
  B 乳・幼児期における発達過程について理解する
  C 小児期における発達過程について理解する
  D 青年期における発達過程について理解する
  E 成人期における発達過程について理解する
  F 老年期における発達過程について理解する
  G 人間発達過程における性差について理解する
 4. 人間の生活に影響する疾病・障害の理解
  A 細胞・組織損傷(修復・再生も含む)について理解する
  B 炎症について理解する
  C 感染について理解する
  D 呼吸器障害について理解する
  E 循環障害について理解する
  F 栄養・代謝障害について理解する
  G 腫瘍について理解する
  H 廃用症候群について理解する
  I 老年症候群について理解する
  J 薬物の基本的事項について理解する
  K 対象疾患に対する薬物療法について理解する
  L 薬物の副作用と多剤服用(ポリファーマシー)症状について理解する

第3章 臨床医学
 1.臨床医学概論
  A 医学の基本
  B 疾病の概念
  C 病理学の概念
  D 疾病の診断
  E 疾病の治療
 2.リハビリテーション医療
  A 総論
  B 健康と生活機能の評価
  C リハビリテーション計画
  D リハビリテーションチームと多職種連携
 3.救急医学
  A 救急医療体制
  B 症候群
  C 一次救命処置(BLS)
  D 応急処置の方法
 4.臨床心理学
  A 基礎理論
  B 発達心理および臨床心理
 5.精神障害と臨床医学
  A 器質性精神障害(症状性を含む)
  B 精神作用物質使用による精神および行動の障害
  C 統合失調症、統合失調様障害および妄想性障害
  D 気分障害〈感情障害〉(躁うつ病、うつ病を含む)
  E 神経症性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害
  F 生理的障害および身体的要因に関連した行動症候群(摂食障害、睡眠障害を含む)
  G 成人のパーソナリティ〈人格〉および行動の障害
  H 精神遅滞(知的障害)
  I 心理的発達の障害(広汎性発達障害、特異的発達障害を含む)
  J 小児期および青年期に通常発症する行動および情動の障害(注意欠如・多動性障害など)
 6.骨関節障害と臨床医学
  A 変形性関節症
  B 人工関節置換術後
  C 骨折
  D 脱臼
  E 靱帯損傷
  F 関節リウマチ
  G スポーツ損傷
  H 腰椎椎間板ヘルニア
  I 腰部脊柱管狭窄症
  J 腰痛症
  K 切断
  L 肩関節疾患(肩関節周囲炎)
  M 肩関節疾患(腱板損傷)
  N 骨粗鬆症
  O 骨壊死性疾患
  P 先天異常、系統疾患(骨端症含む)
  Q 骨軟部腫瘍
 7.疼痛と臨床医学
  A 急性疼痛
  B 慢性疼痛
 8.中枢神経の障害と臨床医学
  A 脳血管疾患
  B 感染・炎症性疾患〔脳炎、髄膜炎、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)〕による精神障害
  C 神経変性疾患
  D 多発性硬化症(MS)
  E ギラン・バレー症候群(GBS)
  F 重症筋無力症(MG)
  G 外傷性脳損傷(TBI)
  H 脊髄損傷(SCI)
  I 脳腫瘍(BT)
  J てんかん(epilepsy)
  K 視覚障害
  L 聴覚障害
 9.末梢神経・筋の障害と臨床医学
  A 多発性ニューロパチー(CIDPなど)
  B 筋ジストロフィー
  C 外傷(絞扼性神経障害を含む)
  D 腫瘍
 10.小児の障害と臨床医学
  A 脳性麻痺
  B 水頭症(Arnold-Chiari奇形など)
  C 二分脊椎
  D 悪性腫瘍
  E 遺伝子病、染色体異常、系統疾患(先天奇形、Down症候群を含む)
  F 自閉症スペクトラム
 11.内部障害と臨床医学
  A 呼吸器疾患
  B 循環器疾患
  C 内分泌・代謝疾患
  D 消化器疾患
  E 腎・泌尿器疾患
  F 乳腺疾患
  G 生殖器疾患
  H 血液疾患
  I 自己免疫疾患
 12.がん関連障害と臨床医学
  A 肺がん
  B 消化器がん
  C 乳がん
  D 血液がん
  E 骨軟部腫瘍
  F 脳腫瘍
  G 頭頸部がん
  H 婦人科がん
  I 泌尿器がん
 13.皮膚障害と臨床医学
  A 熱傷
  B 褥瘡
 14.老年期障害と臨床医学
  A 老年症候群(サルコペニアを含む)および虚弱(フレイルを含む)
  B 認知症
  C うつ状態
  D 末梢循環障害
  E 誤嚥性肺炎
  F 骨粗鬆症、骨折
  G せん妄
  H 摂食嚥下障害
  I ターミナルケア

◆各論
第1章 理学療法専門科目
 1.基礎理学療法学
  A 理学療法(学)の概論について理解する
  B 共通する機能障害の病態やそのメカニズムを理解する
 2.理学療法管理学
  A 理学療法部門管理
  B 理学療法倫理
  C 理学療法教育

第2章 理学療法評価学
 1.理学療法評価・臨床推論
  A 理学療法評価・臨床推論の流れを理解する
 2.基本的な理学療法技術
  A 理学療法の基本的評価技術を修得する
  B 理学療法の実施に関係する画像評価を理解する

索引
 近年の医療の高度化と安全意識のさらなる高まりを受け、理学療法士(Physical Therapist:PT)の養成教育には、これまで以上に厳格な質の担保が求められている。その養成教育の中で行われる臨床実習は、学内の講義および演習で得た「形式知」を、実際の臨床現場での経験を通じて「実践知」へと昇華させる、きわめて重要な教育の課程である。
 臨床実習では、指導者の監督の下ではあるが、学生が患者の身体に触れ、評価や介入の補助を行う。この行為は、患者の理解と協力、医療安全への徹底した配慮があって初めて成立するものである。したがって、この学びの機会を維持、発展させるためには、臨床現場に立つ前に、学生の臨床知識が一定の水準を満たしていることを客観的に証明すべきである。

 こうした背景から、医学生などが臨床実習前に受ける共用試験であるComputer Based Testing(CBT)を、PTの養成教育に導入する議論が活発に行われている。この試験は、臨床に臨むための知識の準備状態を評価するのみならず、未来の医療人として患者に敬意を払い、真摯に学ぶ姿勢を社会に示すための重要な通過儀礼であると考える。
 本書は理学療法学教育モデル・コア・カリキュラムに準拠しており、今後の共用試験におけるCBTの出題範囲を網羅できるよう内容の精査を重ねた。特に、評価実習前に習得しておくべき臨床知識をまとめたテキストとなるよう焦点を合わせた上で執筆を行った。また編集にあたっては、単なる用語の羅列にとどまらず、臨床推論の基礎となる基礎医学、病態把握、評価の意義・内容などについても端的にまとめ、広範な知識の学びやすさを重視した。

 学生諸君には、本書を単なる試験対策書としてではなく、患者の生命と生活を預かる専門職としての責任を自覚するための道標として活用してほしい。また、教育に携わる教員や臨床実習指導者にとっても、学生が到達すべき臨床知識の水準を共有し、実習の質を向上させるための共通言語となれば幸いである。
 最後に、本書の刊行にあたり多大なご尽力をいただいた諸先生方に深く感謝の意を表する。本書がこれからの理学療法教育の発展に寄与し、何より患者から深く信頼される理学療法士の育成につながることを切に願っている。

2026年3月
編者一同