脳卒中上肢機能評価 ARATパーフェクトマニュアル

世界標準の上肢機能評価「ARAT」のすべてがわかる一冊!

監 修 安保 雅博
編 集 中野枝里子 / 田中智子
定 価 3,850円
(3,500円+税)
発行日 2015/06/01
ISBN 978-4-307-75046-2

B5判・120頁

在庫状況 あり

世界標準の上肢機能評価「Action Research Arm Test(ARAT)」の実施・採点方法を、わかりやすく解説したDVD付マニュアル。DVDと連動したARATそのものの解説パートに加え、Fugl-Meyer Assessment(FMA)や簡易上肢機能検査(STEF)との比較から明らかになるその有用性、症例に応じた機能評価の使い分けなど、機能評価全般の理解を深める総論的なエッセンスも加味される。
略語一覧

Part 1.脳卒中リハビリテ−ションと機能評価
 1−1 機能評価の重要性
 1−2 上肢機能評価の現状
 1−3 上肢機能評価の有用性
 Column 1:天井効果と床効果

Part 2.ARATによる上肢機能評価の実際
 2−1 ARATの特徴
 2−2 ARATの採点方法
 2−3 各サブテストの実施方法
 □サブテストA:Grasp(つかみ)
 □サブテストB:Grip(握り)
 □サブテストC:Pinch(つまみ)
 □サブテストD:Gross Movement(粗大運動)
 2−4 各サブテストで用いる物品
 Column 2:妥当性と信頼性の評価

Part 3.上肢機能評価とリハビリテ−ション
 3−1 症例編
 □Case 1
 上肢機能訓練と生活指導により、生活負担軽減と趣味復帰を達成した症例
 □Case 2
 1人暮らし再開に向けて家事動作訓練を行った症例
 □Case 3
 NEUROにより、物品把持可能から包丁動作獲得に至った症例
 □Case 4
 2回のNEUROにより、麻痺側上肢機能に段階的な改善を認めた症例
 □Case 5
 NEUROの適応により、ゲ−ム機の操作が可能となった重症例
 □Case 6
 NEUROの結果、上肢機能改善に加え、趣味活動の再獲得に至った症例
 □Case 7
 感覚障害と軽度麻痺に対するNEUROにより、調理動作における麻痺側上肢参加が向上した症例
 □Case 8
 肩関節の機能向上に焦点を当てたボツリヌス療法と作業療法の併用により、補助手の獲得に至った症例
 3−2 どの評価法が有効なのか
 Column 3:NEUROおよびrTMSの今後
 3−3 今後の課題と展望

Supplement
 ARAT評価シ−ト
 FMA評価シ−ト
 STEF評価シ−ト

Index
はじめに
 上肢および手のリハビリテ−ションは、中枢神経系損傷後の神経リハビリテ−ションのなかで重要な役割を担っており、社会復帰を望む患者さんにとってその機能回復は欠かせないものです。
 ここ数年で治療概念はかなり変化し、課題指向型反復訓練、ボツリヌス毒素の導入、CI療法、最近ではロボット支援型訓練や経頭蓋磁気刺激(TMS)なども盛んに行われるようになりました。また、臨床研究の必要性の高まりとともに、エビデンスに基づく医療(EBM)の枠内で、患者さんにとって最善の治療コンセプトをみつけることができるようになりました。そして、妥当性と信頼性を伴った適切な機能評価についても、重要な位置付けがなされてきています。それに伴い、臨床ではアクティブ・ベ−スのテストが必要となり、現在、世界では本書で解説する「Action Research Arm Test(ARAT)」がますます選択されるようになってきています。
 さて、ARATは、1965年発表のDr. Carollの上肢機能テスト(UEFT)に基づいていますが、複雑な上肢運動をいくつかのパタ−ンに限定する基本的な考え方のもと、最終的には1981年にDr. Ronald Lyleによって開発されました。そのテストで得られるスコアは機能的ADL尺度と相関し、テストの妥当性と信頼性は検証済みです。
 その後、2005年にDr. Thomas Platzらが上肢の評価法の解説書として書籍『ARM−Arm Rehabilitation Measurement』を出版し、そのなかでARATを解説しています。現在、ARATは上肢の標準評価としてヨ−ロッパを中心に全世界で使用されていますが、残念ながら日本ではまだスタンダ−ドの評価法として使用されていないのが現状です。
 そこで、簡単かつ有効に上肢の機能評価ができるこのARATを、日本においても広めたいと考え、DVD付きのマニュアルを出版することにいたしました。本マニュアルのARATに関する解説は、前述のPlatzらの書籍の記載に基づきますが、出版社からはその版権を取得し、日本語に訳出する許可を得て今に至っています。また、ベルリン医科大学神経リハビリテ−ション科教授のDr. Stefan Hesseからは、今回のマニュアルの出版に対し、多大な賞賛と期待、そして応援のメッセ−ジが送られてきており、それに応えるべく、詳細で具体的な充実した内容で構成いたしました。
 この非常に役立つDVD付きマニュアルを手にした皆さんが、ぜひとも「ARAT」という素晴らしい上肢機能評価を日本に広めていただき、患者さんのためにベストの治療を見出され、日常の診療に大いに役立てていただけることを切に祈念いたします。
 
 2015年4月
  安保 雅博