摂食・嚥下障害のグループゲーム集

“楽しく”かつ“わかりやすい”『グループゲーム集』第3弾!

著 者 大塚 裕一 / 宮本 恵美
定 価 3,740円
(3,400円+税)
発行日 2011/10/20
ISBN 978-4-307-75027-1

B5判・150頁

在庫状況 あり

施設や病院で楽しみながら実施可能なグループゲームを50項目、また個人訓練を楽しくするためのゲームを5項目、イラストを使ってわかりやすく紹介。ゲームの目的、材料用具、進行方法、口頭説明文、実施上の注意などを細かく解説していますので、明日からすぐに導入できる実践的な内容になっています。わが国の高齢者のうち約80万人は摂食・嚥下障害だと報告されています。楽しく嚥下障害の予防と機能改善を図るために、是非このグループゲーム集をご利用下さい。

『序』より
われわれは食べるという行為を日頃なにげなく行っています。それは生きていくうえにおいて必要なエネルギーを補給するための大切な行為です。その機能が障害される摂食・嚥下障害は、病院のみならず、施設、在宅でも介護をするうえで大きな問題となっています。最近では各食品メーカーから販売される摂食・嚥下食、栄養補助食も日々改善され進歩しています。また各施設の栄養士の先生方も様々な工夫をされ、各メーカー、病院、施設独自の摂食・嚥下障害者に適した食形態の食事や栄養補助食、栄養補給方法が報告されるようになりました。
具体的には、味の工夫がなされた様々な食形態で、噛むことが難しい患者さんにはミキサー食、食事でむせる患者さんにはゼリー食、ペースト食、それでも食べ物が気管に入り、どうしても経口摂取が難しい患者さんには、チューブを鼻や口、あるいは直接胃などに通しての栄養補給方法などです。当然、チューブの材質やチューブを経由して摂取する栄養補給食も多くの種類があり、患者さんの状態に応じての選択が可能となりました。
しかし、これらをQOLの視点からみるとどうでしょうか?やはり、摂食・嚥下障害の患者さんもチューブでの栄養補給よりは、口を動かし、ゼリーやペースト食でもよいから食べたいと思われるでしょう。さらに、ゼリーやペースト食を食べられるようになった方は、次は食物のもともとの形がわかるものを食べたいと望まれるのは当然のことと思います。
障害者や高齢者にQOLを維持し、安全に、かつ楽しみながら食べるという行為を続けていただくことは、リハビリテーション医療に携わるものにとって大きなテーマの一つであるといえます。当院でも、摂食・嚥下障害により思うように食事が摂れない方が多数おられ、その対応は日常業務の中でも大きなウエイトを占めています。
食べるという行為は生きるための基本的、日常的な営みであることから保健・医療領域が密接に関わっているのは周知の事実です。介護保険下でも、摂食・嚥下障害に関わることとして、介護予防項目の中に口腔ケア、栄養改善という項目が位置づけられました。このことは、摂食・嚥下障害が身近な高齢者の問題として社会からも認知されたことを意味すると考えます。
以上のような社会情勢から、今回のゲーム集は摂食・嚥下障害の予防的な視点を中心に置き、そこから構想を広げました。
はじめに
本書の特徴

第1部 摂食・嚥下障害の知識
 1.摂食・嚥下障害を知ろう
  1)摂食・嚥下障害ってなんだろう?
  2)身体のどこを使って食べるの?
  3)食べるときの動きはどうなっているの?
  4)摂食・嚥下障害があるとどうなるの?
  5)摂食・嚥下障害が疑われる症状は?
  6)摂食・嚥下障害の原因は?
  7)どんな検査をするの?
  8)どうやって栄養補給するの?
  9)訓練ってどうやるの?
  10)摂食・嚥下障害の代表的な手術は?
  11)嚥下と歯の関係は?
  12)口腔ケアの方法は?
 2.摂食・嚥下障害者の食事環境を知ろう
  1)摂食時の姿勢は?
  2)食べやすいものは?
  3)安全な食べさせ方は?
  4)食事の用具は?
  5)つまった時の対処法
 3.嚥下食を工夫しよう
  1)基本的な考え方
  2)食品別の調理のポイント
  3)安全に飲み込みやすくする工夫
  4)あると便利な器具

第2部 摂食・嚥下障害のグループゲーム訓練
 A.食物取り込み機能(舌を主に)
  1.表情あて
  2.ぱぱぱぱ・たし算
 B.咀嚼機能(下顎を主に)
  3.うちわバレー
  4.ボールバランス
  5.輪ゴム移し
  6.じゃんけんボール回し
  7.ペットボトル倒し選手権
  8.紙風船つぶし競争
  9.顎はさみ
  10.的リレー
  11.割り箸伝達
  12.つりゲーム
  13.起き上がりボトル
  14.割り箸迷路ゲーム
 C.食塊形成&送り込み機能(舌を主に)
  15.左右舌タイムレース
  16.リズムあて・舌編
  17.楽器あて・舌編
  18.舌チャー伝達
  19.数字あて計算
  20.舌型はめ
  21.かたぱら
  22.カ化け
  23.舌競争
  24.舌バタ信号
  25.ラ・ラ・ラ
  26.ぐるぐる

 D.食物逆流防止&咽頭圧上昇機能(軟口蓋を主に)
  27.スースー4並べ
  28.宣言!ビンゴゲーム
  29.陣地取り
  30.スースー地名探し
  31.ふたころがし
  32.橋渡り
  33.“カ”吹き
  34.吹き吹きボーリング
  35.すごろくボトル
  36.漢字作り
  37.型抜き早抜けバトル
  38.フーフー輪投げ
  39.文字はずし
  40.今何時?
  41.単語競争
  42.フーフー伝達
  43.しわけ
  44.フーフーすごろく

 E.誤嚥防止機能(呼吸筋を主に)
  45.ストローゴルフ
  46.水減らし競争
  47.風船ふくらまし
  48.歌唱リレー
  49.ストローサッカー
  50.ストローダーツ
  コラム:家庭や施設でできるアイスマッサージ棒の作り方

第3部 個別訓練のちょっとした工夫
 1.頭部挙上計算ゲーム(頭部挙上訓練法の工夫)
 2.手袋風船ふくらまし(口すぼめ呼吸の工夫)
 3.音出し運動(構音器官運動練習の工夫)
 4.オシクラエクササイズ(プッシングエクササイズの工夫)
 5.嚥下体操

参考文献
おわりに