消化管ストーマ関連合併症の予防と治療・ケアの手引き

ストーマに関連する合併症を取り上げた待望の成書、登場!

編 集 日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会 / 日本大腸肛門病学会
定 価 7,020円
(6,500円+税)
発行日 2018/02/25
ISBN 978-4-307-70232-4

B5判・352頁・図数:64枚・カラー図数:149枚

在庫状況 あり

ストーマ造設やケアの標準化を目指したいという考えから、日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会と日本大腸肛門病学会の合同で編集した手引き書。ストーマ周囲皮膚合併症に加え、装具装着に難渋するストーマ位置不良、ストーマに関連する代謝性の問題なども含め、それらを広く「ストーマ関連合併症」として取り上げ、それをもとに新たな分類を作成し、図表を多く採用し分かりやすく提示した。ストーマ医療に携わる全ての方の必読書!
I章 ストーマ関連合併症の定義と分類
1 ストーマ関連合併症の定義と分類
1) ストーマ関連合併症の定義
2) ストーマ関連合併症の分類
3) 早期/晩期合併症
4) 重症度による分類

II章 ストーマ関連合併症の誘因・リスク因子
1 患者側のリスク因子
1) ストーマ合併症の誘因・リスク因子
2) 患者側のリスク因子
2 手術時の状況(待機手術/緊急手術)
1) 緊急手術によるストーマ造設術
2) エビデンス
3 造設腸管の種類(結腸、回腸)、ストーマの形態(単孔式/双孔式)
1) 造設腸管別にみたストーマ関連合併症(結腸と回腸の比較)
2) ストーマ形態別にみたストーマ関連合併症(単孔式と双孔式の比較)
4 外科医の専門性・経験年数・施設による違い
1) 外科医の専門性・経験年数・施設によるストーマ合併症率の違い
2) エビデンス

III章 ストーマ合併症予防のためのストーマ造設
1 ストーマサイトマーキングや術前教育による合併症予防
1) マーキングは、ストーマ合併症の予防になるか
2) マーキングによって、どのようなストーマ合併症を予防できるか
3) マーキングを行う上での留意点
4) 緊急手術でもマーキングは必要か
5) マーキングの有無とストーマ合併症は関連がない?
6) 術前教育は、ストーマ合併症の予防に寄与するか
7) 術前教育は、いつ頃どのような内容を行うか
8) 術前教育を行う上での留意点
2 ストーマ造設の基本 消化管ストーマ造設の基本
1) 単孔式結腸ストーマ
2) 単孔式回腸ストーマ
3) 双孔式回腸ストーマ
4) 双孔式結腸ストーマ
5) いいストーマであるためのチェックポイント
3 ストーマ造設を避ける工夫、早期に閉鎖する工夫
1) ストーマ造設について
2) ストーマ造設を避けるために
3) ハルトマン手術よりも一期的吻合し、一時的人工肛門を造設する
4) ストーマ閉鎖の安全性や機能不全をなくすために
5) 一時的ストーマは早く閉じる
4 腹腔鏡下手術ではストーマ合併症は少ないか?
1) 腹腔鏡下手術と開腹手術のストーマ造設の合併症の比較
2) ストーマ造設が必要とされる状況別の合併症
5 手術や管理に困難が予想されるストーマ造設
1) 緊急手術でのストーマ造設
2) 腸閉塞、腸管拡張例でのストーマ造設
3) 肥満例でのストーマ造設
6 緩和ストーマ
1) 緩和ストーマ
2) 悪性腸閉塞
3) 悪性瘻孔
4) 緩和ストーマ造設術

IV章 ストーマ合併症予防のためのストーマケア
1 周術期のストーマケアの要点
1) 手術前のストーマケアの要点
2) 手術後から退院までのストーマケアの要点
2 ストーマ外来での患者指導・ケアの要点
1) 合併症予防のためのストーマケア
2) 合併症の早期発見・対応のためのケア
3 どのような間隔でフォローを行えば合併症を減少させることができるか
1) ストーマ保有者のフォロー間隔について
2) 定期的フォローの考え方
3) ストーマ外来の受診を必要とする場合

V章 ストーマ合併症
A 外科的合併症 Surgical Complications
a)早期合併症 Early Complication
1 粘膜皮膚離開
1) 定義・頻度、一般的事項の概説
2) 原因
3) 評価
4) 局所治療とケア
5) 粘膜皮膚離開を起こさないようにするための対策
2 ストーマ陥没・陥凹
1) 定義・頻度
2) 概説
3) 原因
4) 予防
5) ケア
6) 症例
7) 外科治療
3 ストーマ壊死・血流障害
1) 定義・頻度
2) ストーマ造設時の注意
3) 診断
4 ストーマ部感染・周囲膿瘍
1) 定義・頻度
2) 原因・誘因
3) 評価
4) ケアの実際
5) 外科的治療
6) 予防と対策
5 ストーマ閉塞
1) 用語・定義
2) 発生頻度、時期
3) 原因・危険因子
4) 診断
5) 保存的治療の実際
6) 外科的治療
7) 起こさないようにするための対策
6 ストーマ瘻孔
1) 定義・頻度
2) 原因:期合併症
3) 予防
4) ケア
5) 事例紹介
6) 治療
7 ストーマ出血
1) 定義・頻度、一般的な概説
2) 原因
3) 評価
4) ケアの実際
5) 外科的治療
6) 予防、対策
8 ストーマ外傷
1) 定義・頻度、一般的な概説
2) 原因
3) 評価
4) ケアの実際
5) 外科的治療
6) 予防、対策
b)晩期合併症 Late Complications
1 ストーマ脱出
1) 定義・頻度
2) 原因
3) 評価
4) ケアや治療の実際
5) 保存的治療とケア
6) 外科的治療
7) 予防のための対策
2 傍ストーマヘルニア
1) 定義・頻度
2) 原因
3) 評価
4) ケアの実際
5) 外科治療
6) 予防
3 ストーマ狭窄
1) 定義
2) 頻度・原因
3) 概説・分類
4) 観察・評価
5) 治療
6) 予防
4 ストーマ周囲肉芽腫
1) 定義・頻度
2) 原因
3) ケアの実際
4) 外科的治療
5) 予防、対策
5 粘膜皮膚移植
1) 定義・頻度
2) 原因
3) 評価
4) ケアの実際
5) 外科的治療
6) 予防・対策
6 粘膜侵入
1) 定義・頻度
2) 原因
3) 評価
4) ケアの実際
5) 外科的治療
6) 予防・対策
7 ストーマ腫瘤
1) 定義
2) 頻度・原因
3) 症状
4) 良性の腫瘤
5) 悪性の腫瘤
6) 診断
7) 治療
8) 予防
8 ストーマ瘻孔
1) 定義・頻度
2) 原因
3) 予防
4) ケア・治療
5) 事例紹介
9 ストーマ外傷
1) 定義・頻度、一般的な概説
2) 原因
3) 評価
4) ケアの実際
5) 外科的治療
6) 予防、対策
c)その他の合併症 Others
1 その他の合併症
1) 大ストーマ
2) 小ストーマ
3) 平坦ストーマ
4) ストーマに近接した手術創感染による変形ストーマ
B 造設部位関連合併症
Anatomical Complications(Stoma Site-related Complications)
1 ストーマ位置不良
1) 定義・概説
2) 原因
3) ケア
4) 予防
2 腹壁皺上に造設されたストーマ
1) 定義・概説
2) 原因
3) ケア
4) 予防
3 ストーマに接する深い皺
1) 定義・概説
2) 原因
3) ケア
4) 予防

VI章 ストーマ周囲皮膚合併症
1 ストーマ装具の進歩と皮膚管理概念の変遷
1) ストーマ皮膚保護を目指した皮膚保護剤の開発
2) 皮膚保護剤による皮膚保護作用と皮膚傷害作用
2 皮膚保護剤貼付に伴い皮膚が受ける影響
1) 皮膚障害のレビュー
2) 長期皮膚保護剤使用例の皮膚管理成績
3) ストーマ皮膚障害のリスクファクターと皮膚科的診断
3 ストーマ周囲皮膚障害を最小限にする予防的スキンケア
1) 臨床的ストーマのとらえ方とストーマ周囲皮膚観察部位の特徴
2) 皮膚保護剤使用における注意点
4 ストーマ周囲接触皮膚炎
1) ストーマ周囲接触皮膚炎
2) 一次刺激性接触皮膚炎
3) アレルギー性接触皮膚炎
4) 物理刺激性皮膚炎
5) 慢性乳頭腫様皮膚炎
5 感染性皮膚炎
1) 細菌感染
2) 皮膚真菌感染
6 全身疾患に関連する皮膚障害
1) 炎症性疾患に伴っておこる皮膚障害
2) 炎症性腸疾患に伴っておこるその他の皮膚病変
3) その他の皮膚疾患
7 治療関連皮膚障害
1) がん化学療法に伴う皮膚障害
2) がん放射線療法に伴う皮膚障害
8 悪性腫瘍に関連する皮膚障害
1) 皮膚癌、皮膚転移
2) その他の特殊な皮膚転移;転移性臍腫瘍
9 ストーマ周囲静脈瘤
1) 頻度
2) 原因、病態
3) 診断、側副路の確認などCT造影検査所見
4) 止血法、硬化療法、interventionの方法
5) ケアの実際

VII章 代謝性合併症
1 多排泄量ストーマ(脱水、電解質異常)
1) 正常の回腸ストーマ排泄量とその推移
2) 多排泄量ストーマ High output stoma
3) 多排泄量ストーマへの対策
2 尿路結石
1) 消化管ストーマと尿路結石
2) 尿路結石の発症機序
3) 尿路結石の治療
4) 尿路結石の予防
3 胆石症
1) 胆汁の構成とその代謝
2) 胆嚢結石の形成
3) 消化管切除および回腸ストーマと胆嚢結石の発生
4) 回腸ストーマ患者に対する胆石症予防方法

VIII章 ストーマ造設・合併症とQOL
1 ストーマ合併症とQOLの変化
1) QOL概念の変遷と患者立脚アウトカム
2) 健康関連QOL尺度における包括的尺度と疾患特異的尺度
3) 消化器疾患とその症状に関する包括的QOLの指標
4) 大腸がん手術とストーマ保有者におけるQOL
5) ストーマ合併症とQOLの関係
2 ストーマ保有者のQOLに主に用いられる尺度
1) ストーマ保有者のQOLに主に用いられる尺度
2) ストーマ保有者の自己適応尺度
3) QOL尺度からみたストーマ保有者のQOL
4) QOL尺度からみたストーマ合併症によるQOLの変化

IX章 合併症予防のための在宅ケアとの連携
1 日常生活、在宅医療でどのように支えるか
1) ストーマケアに関する支援
2) 経済的問題に関する支援
3) 精神面での支援
2 ストーマ合併症予防のための支援方法の実際
1) 施設との連携症例
2) ストーマ外来での継続的支援症例
3) ストーマ装具取り扱い業者との連携症例
発刊にあたって

 消化器外科、特に大腸肛門外科の領域でストーマを造設する機会は確実に増加し、外科医であれば誰もが経験する一般的な手術となってきた。抗がん剤治療や放射線治療、腹腔鏡下手術など、医学の進歩と相まってストーマ造設を要する疾患の背景やストーマ造設の適応もより多様となってきたが、質の高いストーマ関連用品の開発・普及と並行するようにストーマケアに携わる看護師の活動の場も大きく広がった。
 ストーマ造設やケアの標準化を目指したいという考えから、日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会と日本大腸肛門病学会の合同で検討を重ね、2014年2月に「消化管ストーマ造設の手引き」を発刊したが、今回はその続編として、両学会合同で「消化管ストーマ関連合併症の予防と治療・ケアの手引き」を発刊することになった。
 これまで、ストーマの合併症はストーマ造設に関連する外科的な合併症を意味することが多かったが、国内外を問わず合併症の用語の使い方、定義の違いがあり、結果的に学会報告や論文で示される合併症の種類や頻度を示す数値の違いの一因となっていた。また、先にも述べたが、抗がん剤や放射線治療の進歩や腹腔鏡下手術の普及、高齢者医療、緩和医療、在宅医療など新たな医療が展開されるにつれ、ストーマを造設する目的や意義も多様となり、結果的に、細心の注意を払ってストーマ造設を行っているにもかかわらず、合併症の頻度は減少してはいないし、起こる合併症の種類も、時代毎にわずかながら変化してきている。
 このような背景を十分に検討し、日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会と大腸肛門病学会の委員会で編集会議を重ねたが、ストーマ合併症分類や定義の見直しを行い整理すること、これまで科学的な根拠は乏しいとされてきた合併症の誘因となる因子を整理し、合併症予防・対策を講ずること、主たる合併症について、定義、頻度、原因、予防、ケアや治療を整理し提示すること、を主なコンセプトとしている。特に、今回の手引き書では、ストーマ造設後に最も多くみられるストーマ周囲皮膚合併症に加え、装具装着に難渋するストーマ位置不良、ストーマに関連する代謝性の問題なども含め、それらを広く「ストーマ関連合併症」として取り上げ、それをもとに新たな分類を作成し提示した。RCTが行われ、ある程度の結果が出ているものはCQを設定し概説、サイドメモや図表を多く採用し分かりやすく記述している。
 ストーマに関連する合併症を専門に取り上げた成書は、これまで発刊された事はなく、ストーマ医療の新たな礎となることを願っている。ストーマ医療に携わる医師、看護師のみならず、研修医、一般消化器外科医の方々の教科書・指導書として役立てて頂ければ幸いである。
  
平成30年2月 
森田 隆幸、前田 耕太郎、幸田 圭史、赤木 由人、大村 裕子