実践皮膚病理診断

皮膚病理診断学の新たなバイブル!皮膚科医・病理医に贈る渾身の1冊

著 者 新井 栄一 / 土田 哲也
定 価 16,200円
(15,000円+税)
発行日 2017/06/05
ISBN 978-4-307-40056-5

B5判・404頁・カラー図数:1191枚

在庫状況 あり

皮膚疾患は多彩で、その診断には幅広い知識が必要となる。本書は皮膚科医・病理医の双方にとって必要にして十分な知識が記載されており、実践で役立つ内容となっている。代表的疾患には臨床写真・ダーモスコピー写真をできる限り添付し、病理組織所見と対応できるよう配慮した。皮膚科医・病理医がお互いに理解しうる表現を選んで記載しており、適切に診断するためのエッセンスが詰まった渾身の1冊である。
1章 皮膚病理に必要な基本的知識
 1.表皮の発生と構造
 2.皮膚の構造とClark のレベル分類
 3.身体の各部位別の皮膚構築の違い
 4.毛包の構造と疾患との関連
 5.汗腺の構造と汗腺系への分化
 6.Toker cell
 7.腫瘍性皮膚疾患の鏡検の順序
 8.皮膚材料の切り出し方

2章 皮膚病理に必要な特殊染色
 1.PAS 染色
 2.グロコット染色
 3.Alcian-blue 染色
 4.Masson-Fontana 染色
 5.Elastica van Gieson(EVG)染色

3章 皮膚病理に必要な免疫組織染色
 1.表皮系腫瘍
 2.汗腺系腫瘍
 3.脂腺系腫瘍
 4.毛包系腫瘍
 5.神経内分泌系腫瘍
 6.メラノサイト系腫瘍
 7.間葉系(線維/筋線維、線維組織球、筋肉、血管)、神経系腫瘍
 8.リンパ系腫瘍
 9.転移性腫瘍
 10.組織球マーカーの役立つ疾患(線維組織球性腫瘍は除く)

4章 重要な皮膚病理のサイン
 1.角質層のサイン
 2.顆粒層のサイン
 3.有棘層のサイン
 4.真皮乳頭から真皮表層にみられるサイン
 5.表皮・真皮境界にみられるサイン

5章 炎症性疾患における基本的組織反応パターン分類(総論)
 1.海綿状パターン
 2.乾癬様パターン
 3.結合境界パターン
 4.水疱性パターン
 5.表層血管周囲性パターン
 6.表層・深部血管周囲性パターン
 7.結節性・びまん性パターン
 8.間隙性パターン
 9.線維状パターン
 10.血管症性パターン
 11.毛包傷害性・毛包周囲性パターン
 12.汗腺傷害性パターン
 13.脂肪織炎
 14.炎症性疾患のハイブリッド診断のやり方

6章 炎症性疾患の組織反応パターン(各論)
 1.海綿状パターン
 2.乾癬様パターン
 3.結合境界パターン
 4.水疱性パターン
 5.表層血管周囲性および表層・深部血管周囲性パターン
 6.結節性・びまん性パターン
 7.結節性・びまん性パターンの炎症細胞の種類による亜分類
 8.間隙性パターン
 9.線維状パターン
 10.血管症性パターン
 11.毛包傷害性・毛包周囲性パターン(脱毛症を含む)、汗腺傷害性パターン
 12.脂肪織炎

7章 沈着症
 1.ムチン沈着症
 2.ムチン貯留性疾患
 3.皮膚アミロイドーシス

8章 よくみる皮膚感染症
 1.皮膚組織にて確認される感染体

9章 表皮系腫瘍
 1.表皮系腫瘍の分類
 2.個々の表皮系腫瘍
 3.棘細胞腫(表皮肥厚腫)
 4.表皮異形成
 5.ケラトアカントーマ
 6.表皮内癌
 7.浸潤癌

10章 毛包系腫瘍
 1.毛包系の良性腫瘍
 2.悪性〜境界領域の毛包系腫瘍

11章 脂腺系腫瘍
 1.脂腺系腫瘍(良性の腫瘤形成性疾患を含む)

12章 汗腺系腫瘍
 1.古典的分類とWHO分類(2006)
 2.良性アポクリン系腫瘍
 3.良性エクリン系腫瘍の分類
 4.汗腺系の悪性腫瘍

13章 嚢腫
 1.嚢腫の分類
 2.付属器系嚢腫
 3.発達性嚢腫
 4.その他の嚢腫

14章 間葉系・神経系腫瘍
 1.良性の皮膚線維芽細胞・筋線維芽細胞系腫瘍および腫瘍類似病変
 2.中間悪性以上の皮膚線維芽細胞・筋線維芽細胞系腫瘍の分類(総論)
 3.中間悪性以上の皮膚線維芽細胞・筋線維芽細胞系腫瘍(各論)
 4.皮膚線維・組織球系腫瘍
 5.脂肪系腫瘍
 6.平滑筋と横紋筋腫瘍および周皮細胞性腫瘍
 7.血管系腫瘍の分類
 8.神経および神経内分泌系腫瘍
 9.骨軟骨系腫瘍で皮膚科的に重要なもの
 10.分類不明の軟部腫瘍で皮膚科的に重要なもの

15章 メラノサイト系病変
 1.メラノーシス
 2.黒子
 3.色素細胞母斑
 4.真皮メラノサイト系母斑
 5.悪性黒色腫

16章 皮膚の血液系疾患
 1.皮膚B細胞偽リンパ腫
 2.皮膚Bリンパ腫
 3.皮膚T細胞偽リンパ腫
 4.皮膚T細胞リンパ腫
 5.組織球性腫瘍
 6.皮膚白血病
 7.Hodgkin リンパ腫の皮膚浸潤

17章 皮膚転移性腫瘍
 1.細胞質が豊富で好酸性を示す悪性腫瘍の皮膚転移
 2.腺癌の皮膚転移
 3.その他の癌の皮膚転移

索引
 皮膚疾患の診断には、病理診断が欠かせないものである。非腫瘍性疾患では生検がされやすい臓器であり、最終診断は病理診断に委ねられることが多い。また、腫瘍性疾患でも切除となる頻度は高く、病理診断が最終診断である。
 皮膚疾患は多彩であり、その診断には幅広い知識が必要となる。皮膚疾患の診断に際し、皮膚病理を重要視している臨床医、および皮膚病理診断に携わっている診断病理医の双方にとって必要な広範囲の知識をこの1冊はカバーし、実践で役に立つ内容となっている。
 本書では、1枚の組織標本をブラインドで見た際に考える筋道に沿って内容が記載されている。すなわち、病理組織所見のみでは診断が困難なことが多い非腫瘍性疾患、とくに炎症性疾患では、標本を見て、そこに見出される病理組織所見を拾って、組み合わせていくこと、すなわちハイブリッド診断を行うことにより、疾患をしぼり、病理学的に逆鑑別診断を挙げることが診断への道筋となる。一方、腫瘍性疾患では、病理組織所見が診断に直結するため、疾患ごとに病理学的な見方と要点が記載されている。代表的疾患には、できる限り臨床写真とダーモスコピー写真を添付して、病理組織所見との対応ができるように配慮した。
 皮膚病理の分野では、臨床医と病理医との間には、お互いの理解がおよびきらないニュアンス・感覚の相違から、しっくりといかない雰囲気があるように思われる。本書は皮膚病理を主眼に、病理医と皮膚科医がお互いに理解しうる表現を選んで記載しており、双方が理解し合うためのひとつの架け橋となることを期待している。

平成29年6月
新井 栄一
土田 哲也