動画で学ぶ嚥下内視鏡検査(VE) ―スコア評価と活用法―

兵頭スコアの開発者自らが解説! とっておきのVEマニュアル登場!

著 者 兵頭 政光
定 価 6,600円
(6,000円+税)
発行日 2020/05/15
ISBN 978-4-307-37127-8

B5判・96頁・カラー図数:79枚

在庫状況 あり

嚥下内視鏡検査(VE)は、『嚥下障害診療ガイドライン2018年版』で、評価・診断において必須の検査と位置づけられている。
本書は、著者が開発したスコア評価法を軸に、VEを具体的にどのように実施し、所見をどのように評価し、その結果をもとに嚥下障害患者さんにどのように対応すればよいか、一連の流れを詳説する。
また、鮮明で異常所見がわかりやすい動画をWebサイトに掲載、QRコードから接続して動画で学ぶことができる。
第1章 嚥下器官の解剖と嚥下のしくみ
1.嚥下器官の解剖
 1)口腔
 2)咽頭
 3)喉頭
2.嚥下運動と神経調節機構
 1)嚥下の4期モデル
 2)咽頭期の嚥下運動
 3)嚥下運動の神経制御機構
3.咽頭収縮筋の生理学的・解剖学的特性
4.咀嚼嚥下(プロセスモデル)

第2章 嚥下障害診療の流れ
1.問診
 1)症状
 2)嚥下障害の要因・原因
 3)嚥下障害への対応状況
2.精神・身体機能の評価
3.口腔・咽頭・喉頭などの観察
4.嚥下機能検査
 1)簡易検査
 2)嚥下内視鏡検査(VE 検査)
 3)嚥下造影検査(VF 検査)
5.治療
 1)口腔ケア
 2)嚥下指導・嚥下訓練(リハビリテーション)
 3)外科的治療
6.嚥下障害診療の特殊性とガイドラインの位置付け

第3章 嚥下内視鏡検査の実際と役割
1.嚥下内視鏡検査の歴史
2.VE 検査の実際
 1)検査機器
 2)検査食
 3)内視鏡の挿入法
 4)VE 検査の手順

第4章 嚥下内視鏡検査の評価法
1.VE 検査スコア評価法作成の意義
2.VE 検査スコア評価法の概要
3.VE 検査所見の具体例
 1)喉頭蓋谷・梨状陥凹の唾液貯留
 2)声門閉鎖反射・咳反射の惹起性
 3)嚥下反射の惹起性
 4)咽頭クリアランス
4.VE 検査スコア評価法の客観性と信頼性
 1)客観性
 2)VF 検査との相関
 3)誤嚥の程度との相関
 4)経口摂取状況との相関
5.随伴所見
 1)鼻咽腔閉鎖不全
 2)咽頭麻痺
 3)喉頭麻痺
 4)早期咽頭流入
 5)ホワイトアウト不全
 6)器質的病変
6.有用性と適用困難例
 1)臨床現場における有用性
 2)スコア評価法の適用困難例
7.補足
 1)検査食として着色水を用いる理由
 2)4段階のスコア評価とした理由

第5章 嚥下内視鏡検査の代表例
症例1
症例2
症例3
症例4
症例5
症例6
症例7
症例8
症例9
症例10
症例11
症例12

第6章 嚥下内視鏡検査のピットフォール
1.VE 検査の限界
 1)口腔準備期・口腔期
 2)咽頭期
 3)食道期
2.VE 検査による診断困難例
症例1
症例2
症例3
症例4

第7章 嚥下内視鏡検査の結果に基づく対応
1.嚥下リハビリテーション
症例1
症例2
症例3
2.外科的治療
 1)嚥下機能改善手術
 2)誤嚥防止手術
 私たち人間にとって、食事は生命維持のために不可欠な生理的活動ですが、栄養摂取の手段にとどまらず食事を通して家族や友人と団欒の時間を持ったり、美味しいものを食べることで一日の疲れを癒やし、明日への活力を養ったりします。すなわち、“食べる”ことは人間として豊かな生活を行う上で大きな役割を持っています。
 しかし近年、医療や介護の現場で嚥下障害が大きな問題となっています。その背景として、社会の超高齢化により嚥下障害を有する高齢者が急速に増加していることが挙げられます。嚥下障害により食事中の窒息や誤嚥性肺炎を発症することも稀ではありません。このため、嚥下障害を有する患者さんの診療に際しては、なぜ誤嚥するのか、食事は食べさせてもよいか、安全に食べるためにはどのようにすればよいか、などを私たちは判断しなければなりません。
 嚥下障害の様式や程度を客観的に捉える方法としては、嚥下内視鏡検査と嚥下造影検査が臨床的に多く用いられています。このうち、嚥下造影検査は“いつでも、どこでも、何度でも”行える検査ではないという問題があります。嚥下内視鏡検査は1980年台後半より行われるようになった検査ですが、内視鏡機器の進歩に伴って非常に精細な画像が得られるようになり、現在では耳鼻咽喉科医を中心に広く普及してきました。筆者らが中心となって作成した日本耳鼻咽喉科学会編「嚥下障害診療ガイドライン」においても、嚥下障害の評価・診断において必須の検査と位置づけています。しかしこれまで、嚥下内視鏡検査所見をどのように評価し、その結果をもとにして嚥下障害患者さんにどのように対応すればよいか、を述べた解説書はほとんどありませんでした。
 本書はこのような現状を踏まえ、嚥下内視鏡検査を具体的にどのように実施し、どのように評価すればよいかを示すことを目指しました。そのため、筆者自らが行った検査所見のライブラリの中から、なるべく鮮明で異常所見がわかりやすい動画を選定しました。その動画所見は本書中に記載されているQRコードを読み取ることで、スマートホンやタブレット、あるいはPCなどで簡単に視聴できるようにしています。評価方法としては筆者らが提唱した「嚥下内視鏡検査スコア評価法」を用い、そのコンセプトや具体的な評価のポイントを解説しました。あわせて、実際の症例を数多く提示しています。これらをご覧いただくことで嚥下内視鏡検査を嚥下障害診療にどのように活用すればよいか、ご理解いただけるものと思います。
 また、嚥下内視鏡検査を実際に行う医師ばかりでなく、嚥下障害診療に関わる歯科医師、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士、看護師、管理栄養士などの方々にとっても、嚥下障害の病態に応じてどのように対応するのか、そのプロセスをご理解いただけると思います。
 嚥下障害患者さんが今後もさらに増えることは間違いなく、医療者としては一人一人の患者さんの病態に即して適切に対応しなければなりません。嚥下内視鏡検査はその病態を評価する重要なツールですので、本書がその診療の一助になることを願っています。
 最後に、本書の刊行にあたって金原出版の編集担当者には、企画段階から格別のご協力・ご高配をいただきました。あらためて深謝申し上げます。

2020年4月
兵頭 政光