耳鳴診療ガイドライン 2019年版

日本の耳鳴診療におけるガイドライン、初登場!

編 集 日本聴覚医学会
定 価 2,700円
(2,500円+税)
発行日 2019/05/10
ISBN 978-4-307-37124-7

B5判・96頁・図数:14枚

在庫状況 あり

耳鳴診療における日本で初めての診療ガイドライン。詳細なシステマティックレビューに基づいて作成され、疫学、検査、治療に関する解説と、10のCQにより構成される。また、教育的カウンセリングのポイントについても簡潔に紹介している。充実した解説事項により、耳鳴診療の教科書的な性格も帯びたガイドラインとなっている。潜在的には約300万人にも上るといわれる日本の耳鳴患者への対応に必携の1冊。
I 序論
1 作成の目的
2 作成手順および経緯
3 エビデンスレベル、推奨の記載
4 研究費および利益相反
5 耳鳴の診断と治療に関するシステマティックレビュー
6 耳鳴SCOPE


II 総論
1 耳鳴とは(随伴症状である聴覚過敏など聴覚異常感も含めて)
 1−1.耳鳴の定義・分類および慢性耳鳴の定義
 1−2.聴覚異常感
 1−3.耳鳴
 1−4.補充現象
 1−5.聴覚過敏
 1−6.結語
2 耳鳴の疫学調査
 2−1.背景
 2−2.日本語版TSCHQによる疫学調査
 2−3.考察


III 耳鳴の診断
1 疾患概要
 1−1.疾患概念と本ガイドラインの対象
 1−2.慢性耳鳴の定義
 1−3.診断に必要な項目
 1−4.重症度分類
 1−5.その他の検査
 1−6.治療効果判定基準
2 疾患特異的検査:耳鳴検査とその表示法
 2−1.自覚的表現による耳鳴検査
 2−2.客観的耳鳴検査
 2−3.背景因子の検査
 2−4.耳鳴検査とその表示法
3 耳鳴をきたす疾患
4 耳鳴の診断アルゴリズム
 4−1.診断アルゴリズム
 4−2.拍動性耳鳴の病態と治療


IV 耳鳴の治療
1 治療の概説
2 耳鳴の(教育的)カウンセリング
3 薬物療法
 3−1.薬物療法の概説
 3−2.システマティックレビュー
 3−3.分析詳細
 3−4.耳鳴に併存する疾患の薬物療法
4 音響療法
 4−1.マスカー療法
 4−2.Tinnitus Retraining Therapy:TRT
 4−3.補聴器
5 心理療法(精神療法)
 5−1.認知行動療法
 5−2.バイオフィードバック法
6 手術療法
7 経頭蓋磁気刺激(transcranial magnetic stimulation:TMS)
8 レーザー治療


V クリニカルクエスチョン(CQ)
CQ1 耳鳴の診断に必要な検査は何か?
CQ2 耳鳴の治療でQOLの改善を認めるか?
CQ3 薬物療法、TRT・補聴器・音響療法、認知行動療法、手術において、それぞれの治療の長所と短所は何か?
CQ4 耳鳴が難治化する要因は何か?
CQ5 耳鳴の機序の説明を含む(教育的)カウンセリングは耳鳴に効果があるか?
CQ6 薬物療法(漢方含む)は耳鳴に効果があるか?
CQ7 補聴器やサウンドジェネレーターを使用する音響療法は耳鳴に対する効果を認めるか?
CQ8 認知行動療法を含む心理療法は耳鳴に対する効果があるか?
CQ9 手術は耳鳴に対する効果があるか?
CQ10 耳鳴に対する代替治療の効果はあるか?

付 その他
1 聴覚過敏
2 教育的カウンセリングの実際

索引
<発刊にあたって>
 耳鳴は、明らかな体外音源がないにもかかわらず感じる異常な音感覚と定義される。耳鳴の有病率は人口の15〜20%、臨床的に問題となる耳鳴患者は人口の2〜3%に上るとされる。65歳以上の高齢者では30%以上が耳鳴で苦痛を感じるとされ、さらなる高齢化や社会環境の変化によるストレスにより、耳鳴患者はますます増加することが予想される。重度の耳鳴はうつ・不安・不眠などの精神障害を伴いやすく、高齢者の認知機能に影響することも指摘されており、その対応は重要な課題である。
 本邦においては日本聴覚医学会耳鳴研究会によって1984年に標準耳鳴検査法1984が作成され、1993年に改訂されたが、その後20年以上も改訂がなされていなかった。この間、耳鳴診療においてさまざまなエビデンスが出され、海外では2014年にアメリカで耳鳴診療ガイドラインが、その後、ドイツ、オランダ、スウェーデンから耳鳴診療ガイドラインが発表されている。諸外国と本邦の医療の違いから、日本独自の耳鳴診療ガイドラインの作成が強く求められており、平成28年度に国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)障害者対策総合研究開発事業「耳鳴診療ガイドラインの開発に関する研究」(代表:小川 郁)が開始された。これまでエビデンスが確立されていない診療上のテーマをクリニカルクエスチョンとして抽出してシステマティックレビューを実施し、日本における実臨床に合わせた診療ガイドライン(案)が作成され、日本聴覚医学会のガイドライン委員会および理事会での審議を経て完成した。
 耳鳴診療に関わる医師および医療関係者の多くの方々が本書により耳鳴の本質を理解して実臨床に役立てて頂き、耳鳴に悩む多くの患者の福音になれば幸いである。

2019年4月
一般社団法人 日本聴覚医学会
理事長 山岨 達也


<序>
 これまでの疫学調査から耳鳴患者は全人口の15〜20%とされ、65歳以上の高齢者では30%以上が耳鳴で苦痛を感じているといわれている。今後、さらに高齢化が進み、社会環境の変化からストレス社会も進むと考えられ、耳鳴患者はますます増加することが予想される。重度の耳鳴はうつ・不安・不眠などの精神障害を伴いやすく、高齢者の認知機能にも影響することが指摘されており、その対応は耳鼻咽喉科臨床の中でも重要な課題の一つとなっている。本邦においては日本聴覚医学会耳鳴研究会によって1984年に標準耳鳴検査法1984が作成され、1993年に改訂されたが、その後20年以上改訂はなされていない。この間、耳鳴診療においてさまざまなエビデンスが出され、2014年にはアメリカで耳鳴診療ガイドラインが作成され、その後、ドイツ、オランダ、スウェーデンから耳鳴診療ガイドラインが発表されているが、これらの国と日本の医療システムの違いもあり、日本独自の耳鳴診療ガイドラインが求められている。
 このような状況のなかで、2016年度に国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)障害者対策総合研究開発事業「耳鳴診療ガイドラインの開発に関する研究」(代表:小川 郁)が採択され、3年計画で耳鳴診療ガイドラインの開発がMindsガイドラインに従って行われてきた。研究の基本骨格は、1)集積したエビデンスを示すこと、2)耳鳴検査法に質問票を組み込むことで診療方針を決めること、3)耳鳴に対する教育的(指示的)カウンセリング(耳鳴を気にしなくするための考え、耳鳴と精神症状との関連)と耳鳴に対する治療として、最もエビデンスの高い音響療法の普及を目的とすることである。
 耳鳴診療ガイドライン作成は重要な課題であり、まず『耳鳴診療ガイドライン2019 年版』を刊行し、その後も多くの方からご意見をいただき今後の改訂版の参考にさせていただきたいと考えている。特に今回の『耳鳴診療ガイドライン2019年版』をもとに、広くエビデンスに基づいた耳鳴診療が行われることを期待したい。
 最後に、本ガイドライン作成にあたり多大なご協力をいただきました皆様に心より御礼申し上げます。

国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)
障害者対策総合研究開発事業
「耳鳴診療ガイドラインの開発に関する研究」代表 小川 郁