急性感音難聴診療の手引き 2018年版

急性感音難聴についてまとめた、わが国初の診療の手引きが刊行!

編 集 日本聴覚医学会
定 価 3,024円
(2,800円+税)
発行日 2018/10/20
ISBN 978-4-307-37123-0

B5判・152頁・図数:17枚

在庫状況 あり

本書は、厚労省研究班の長年の研究成果をもとに急性感音難聴についてまとめたわが国初の診療の手引きである。1)突発性難聴、2)急性低音障害型感音難聴、3)外リンパ瘻、4)ムンプス難聴、5)音響外傷を対象疾患とし、各疾患の概説、疫学、診断基準、重症度、診断フローチャート、治療、予後などについてCQを交えて記載した。急性感音難聴はいまだ診断の難しい疾患であるが、現時点で得られているエビデンスをまとめることで、標準的な診断・治療の流れを提示することを目指した。
I 序論
 1 作成の目的
 2 作成の方法
 3 作成手順
 4 エビデンスレベル、推奨グレード
 5 作成上の留意点
 6 利益相反
 
II 総論
 1 対象疾患
 2 急性感音難聴の診断の流れ
 3 診断・治療方針
 (1)問診・聴覚検査・画像検査
 (2)疾患特異的な検査
 (3)基本的な治療方針

III 各論
 1 突発性難聴
 (1)疾患概要
 (2)疫学
 (3)診断基準・重症度分類・治療効果判定基準
 (4)診断の流れ
  CQ 1-1 突発性難聴はどのような症状のときに診断されるか?
  CQ 1-2 突発性難聴の診断にどのような問診が必要か?
  CQ 1-3 急性低音障害型感音難聴やメニエール病との鑑別で注意すべき点は?
  CQ 1-4 両側発症の場合に突発性難聴と診断できるのか?
  CQ 1-5 突発性難聴の診断において平衡機能検査は有用か?
  CQ 1-6 突発性難聴の診断において画像検査は有用か?
  CQ 1-7 突発性難聴の診断において他覚的聴力検査は有用か?
 (5)治療方針
  CQ 1-8 突発性難聴にステロイド剤の全身投与は有効か?
  CQ 1-9 突発性難聴に高気圧酸素療法(HBOT)は有効か?
  CQ 1-10 突発性難聴に対するステロイド鼓室内投与のタイミングとその有効性は?
  CQ 1-11 ステロイド鼓室内投与に使用する薬剤は?
  CQ 1-12 突発性難聴にプロスタグランジンE1 製剤(PGE1)は有効か?
  CQ 1-13 突発性難聴に星状神経節ブロックは有効か?
  CQ 1-14 突発性難聴に入院・安静は必要か?
  CQ 1-15 突発性難聴に抗ウイルス薬は有効か?
  CQ 1-16 突発性難聴に早期治療は必要か?
  CQ 1-17 突発性難聴の重症度によって治療法は異なるか?
  CQ 1-18 突発性難聴の症状固定後の治療は?
 (6)予後
 2 急性低音障害型感音難聴
 (1)疾患概要
 (2)疫学
 (3)診断基準・重症度分類・治療効果判定基準
 (4)診断の流れ
 (5)治療方針
  CQ 2-1 急性低音障害型感音難聴にステロイド治療は有効か?
  CQ 2-2 急性低音障害型感音難聴に浸透圧利尿剤は有効か?
  CQ 2-3 妊娠中の急性低音障害型感音難聴患者への対応は?
 (6)予後
 3 外リンパ瘻
 (1)疾患概要
 (2)疫学
 (3)診断基準・重症度分類
 (4)診断の流れ
  CQ 3-1 外リンパ瘻を疑う臨床症状は何か?
  CQ 3-2 発症の誘因・原因がない場合も外リンパ瘻を疑うべきか?
  CQ 3-3 外リンパ瘻を疑ったときにどうやって確定診断するか?
 (5)治療方針
  CQ 3-4 外リンパ瘻の治療はどうするか?
 (6)予後
 (7)予防
 4 ムンプス難聴
 (1)疾患概要
 (2)疫学
 (3)診断基準
 (4)診断の流れ
  CQ 4-1 ムンプス難聴はどのような状態のときに診断されるか?
  CQ 4-2 ムンプス難聴の診断にウイルス抗体価測定は有用か?
 (5)治療方針
  CQ 4-3 ムンプス難聴に有効な治療法はあるか?
 (6)予後
 (7)予防
  CQ 4-4 ムンプス難聴の予防にワクチンは有用か?
 5 音響外傷
 (1)疾患概要
 (2)疫学
 (3)診断基準
 (4)診断の流れ
  CQ 5-1 音響外傷の診断に詳細な病歴聴取は必要か?
  CQ 5-2 音響外傷の診断に、オクターブオージオグラムに加え、中間周波数の純音聴力検査は必要か?
 (5)治療方針
  CQ 5-3 音響外傷にステロイド治療は有用か?
 (6)予後
 (7)予防

IV システマティックレビュー・サマリー
 1 突発性難聴
 2 急性低音障害型感音難聴
 3 外リンパ瘻
 4 ムンプス難聴
 5 音響外傷

索引
・発刊にあたって
 本書「急性感音難聴の診療の手引き」が2018年10月に発刊する運びとなりました。急性感音難聴はいわば古くて新しい疾患です。多くの患者がいるにもかかわらず、診断・治療とも格段に進歩してきたわけでもありません。その一番の理由は、局所診断も含め正しい診断が行われてきたとは言い難いことです。標準的診断、治療法の確立が望まれるところです。平成26 年〜28 年度厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業「難治性聴覚障害に関する調査研究班」さらには平成29 〜 31 年度厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業「難治性聴覚障害に関する調査研究班」において、信州大学の宇佐美真一教授を中心に多施設共同で研究を行い、その結果の集大成が本書です。
 対象疾患は突発性難聴、急性低音障害型感音難聴、外リンパ瘻、ムンプス難聴、音響外傷等、実に多くの急性発症の感音難聴となっています。いずれの疾患もその治療に関してはエビデンスレベルが必ずしも高いとは言い難いのですが、システマティックレビューも含め、現在考えられる限りの知見に基づいた手引きとなっております。
 本書は一般社団法人 日本聴覚医学会において編集、認証され、一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会においても推薦されました。
 各執筆にご尽力いただいた諸先生方に感謝申し上げるとともに、読者諸兄にあっては、本診療の手引きを日々の診療にお役立ていただくことを切に願うものであります。

2018年9月
一般社団法人 日本聴覚医学会 理事長
原 晃


・序
 急性感音難聴は突発性難聴を始めとする急激に発症する感音難聴を総称した疾患概念である。わが国では昭和48(1973)年に厚生省特定疾患「突発性難聴調査研究班」により突発性難聴の診断基準が策定され、疾患概念が確立するとともに、鑑別疾患として特発性両側性感音難聴が定義された。このほか、急性感音難聴を来す疾患としては、急性低音障害型感音難聴、外リンパ瘻、音響外傷、ムンプス難聴をはじめ様々な疾患が知られている。
 平成26〜28年度および平成29〜31年度の厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)「難治性聴覚障害に関する調査研究班」では、指定難病である「若年発症型両側性感音難聴」、「アッシャー症候群」の2疾患のほかに、関連疾患として突発性難聴をはじめとする様々な急性感音難聴について調査研究を行ってきた。当該研究班では、急性感音難聴についてAll Japan の研究体制で症例登録レジストリを用いた大規模疫学調査を実施した結果、日本全国から合計4,000 例を超える突発性難聴、急性低音障害型感音難聴、外リンパ瘻、音響外傷、騒音性難聴、ムンプス難聴に関しての詳細な臨床データを収集することができた。症例登録レジストリに収集されたデータの分析から、突発性難聴の発症に関与する因子、重症度や治療効果に関与する因子、効果的な治療法などの貴重な情報を得ることができた。学術的成果については、既に10 編の学術論文としてまとめられActa Otolaryngologica supplement-Acute Sensorineural Hearing Loss vol.137(supplement 565)2017として出版されているので参照していただきたい。
 本診療の手引きでは、厚労省研究班の症例登録レジストリを用いた大規模疫学研究から得られた急性感音難聴に関する新知見とともに、文献レビューを行い、現時点で明らかとなっているエビデンスをまとめることで、標準的な診断・治療の流れを提示することを目的としてまとめられた。日常臨床で本書が急性感音難聴の診療に活用されることを期待している。

2018年9月
難治性聴覚障害に関する調査研究班 主任研究者
日本聴覚医学会ガイドライン委員会 委員長
宇佐美 真一