急性鼻副鼻腔炎に対するネブライザー療法の手引き 2016年版

安全で効果的なネブライザー療法を行うために

編 集 日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会
定 価 2,200円
(2,000円+税)
発行日 2016/05/20
ISBN 978-4-307-37114-8

B5判・56頁・図数:10枚

在庫状況 あり

耳鼻咽喉科や小児科の臨床では一般的な急性鼻副鼻腔炎のネブライザー療法について、安全かつ効果的な治療を行うためのガイドとなる1冊。ネブライザー療法には、それがごく一般的な治療法であるがゆえに、忘れてしまっていたり見過ごしてしまっていたりするような手順や知識がある。そのような状況を鑑みて、日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会が、適正なネブライザー療法の実現のために、そのノウハウをまとめた手引き書。
第1章 序論
I 目的と対象
II ネブライザー療法の歴史と概要
1 歴史
2 概要

第2章 総論
I ネブライザー療法の適応
II ネブライザーの原理
1 吸入デバイスと薬液霧化特性
2 鼻副鼻腔への薬剤局所投与
III ネブライザー療法に用いるデバイス
1 デバイスの種類
2 付属機器
3 特殊なデバイス
IV ネブライザー療法に使用する薬剤
1 薬剤の種類
2 配合の問題
3 薬液の保存・安全性・使用上の注意

第3章 各論
I 前処置
1 前処置の必要性
2 実際の方法
II 使用法
1 器具の設定
2 薬剤の選択
3 薬液の調整
4 患者への使用法の説明
5 噴霧時間
6 噴霧中の注意事項
7 終了時の処置
8 治療頻度と期間
9 留意点
III 安全・管理
1 機器の滅菌・消毒
2 ネブライザー機器の管理
3 具体的な方法

第4章 Frequently Asked Questions(よくある質問 FAQ)



 2013年8月に日本耳鼻咽喉科感染症研究会と日本医用エアロゾル研究会が合併し、新たに“日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会”が発足するに当たり、耳鼻咽喉科の日常診療において極めて重要な治療法の一つである、鼻副鼻腔炎に対するネブライザー療法の運用指針となりうる手引き書作成の発議がなされ、日本医用エアロゾル研究会のメンバーを中心として、とくに急性鼻副鼻腔炎にフォーカスした「急性鼻副鼻腔炎に対するネブライザー療法の手引き」作成委員会が組織されました。
 ここに発刊された「急性鼻副鼻腔炎に対するネブライザー療法の手引き」は、作成委員各位が足掛け2年以上の歳月をかけて作りあげた、急性鼻副鼻腔炎に対するネブライザー療法の日常臨床に即した手引き書であり、日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会が自信を持って世に送り出すものであります。多くの耳鼻咽喉科医をはじめとして、本療法を活用する医師の手引きとなることを期待しております。
 また、ここに日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会を代表して、本手引書完成にあたり、多大の御熱意と御努力を賜った作成委員各位に、敬意を表すとともに深謝申し上げます。

2016年5月
日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会
理事長 鈴木 賢二


作成にあたって

 ネブライザー療法は耳鼻咽喉科治療に欠かせぬ重要な局所療法であり、本邦では多くの医療機関や診療所で広く行われている。しかし、その実施方法や使用する薬剤、そして消毒や管理方法をエビデンスに基づき具体的に記したガイドラインや手引きなどが作成されていないため、学術雑誌や学会等で得た情報を頼りに、それぞれの医師が独自の方法で実践しているのが実情と思われる。
 そうした現状を鑑み、日本医用エアロゾル研究会においてネブライザー療法のガイドラインを作成することが決議され、2012年9月7日の第36回日本医用エアロゾル研究会開催時に第1回ガイドライン作成委員会が開催された。その議論のなかで、ネブライザー療法すべてを網羅しようとすると教科書的な内容になること、十分なエビデンスがないことなどが指摘され、疾患を急性鼻副鼻腔炎に限定し、ガイドラインではなく手引きとすることが決定された。
 また、この手引きを医師そして本療法に携わる看護師などのスタッフにも活用してもらうため、各章を要旨、キーワード、本文、ワンポイントアドバイスで構成し、随所にイラストや図を挿入して、わかりやすく解説するように工夫した。さらに、末尾には、よくある質問として18項目のFrequently Asked Questions(FAQ)を掲載し、教科書にはあまり記されていないが、たびたび問題となる種々のトラブルへの具体的な対応を記した。
 本書は当初、故石川哮先生らが編集され、1993年(平成5年)に発刊された「ネブライザー療法─上気道領域における諸問題─」の改訂版とすることも議論された。しかし、ネブライザー療法の正しい使用法を示し、本療法のさらなる普及を目指すため、より実践的な内容にすることとした。今後、本書がネブライザー療法の有用性を示唆するエビデンス構築の礎となり、本療法が上気道疾患の治療において盤石の地位を得るための一助となることを願っている。
 最後に、本手引きの作成に携わっていただいた作成委員会の各委員、本企画にご理解と多大なご支援を頂いた日本耳鼻咽喉科感染症・エアロゾル学会の鈴木理事長をはじめ理事・役員各位、そして、ネブライザー療法の発展に貢献されてきた日本医用エアロゾル研究会の運営委員各位に心より感謝申し上げます。

2016年5月
急性鼻副鼻腔炎に対するネブライザー療法の手引き作成委員会
委員長 黒野 祐一
とじ込み付録ポスターのPDFデータをダウンロードすることができます。下の画像をクリックしてください。パスワードはとじ込み付録に記載されています。ポスターはB4サイズで作成していますが、拡大・縮小印刷などして、適宜ご利用ください。


患者説明用ポスター『副鼻腔炎でネブライザー治療をされる方へ』




まちがいさがしポスター『ネブライジャー』

まちがいさがしポスター『ネブライジャー』