気道食道異物摘出マニュアル(DVD付)

適切な判断で早期対応を!正しい知識・治療で患者の命を守る!

編 集 日本気管食道科学会
定 価 8,250円
(7,500円+税)
発行日 2015/11/20
ISBN 978-4-307-37112-4

B5判・224頁

在庫状況 あり

異物誤嚥・誤飲は小児・高齢者に多く、対処法も異なる。薬剤PTP・義歯・魚骨・ナッツ類、また起電力が強く短時間で壊死や重度の粘膜障害を引き起こし、その影響が長時間に及ぶ電池類は早期の摘出が必要となる。異物摘出術は術中・術後の窒息や低酸素脳症など重大な障害を来す危険性があり、関連他科との連携も必要となる。初期診療に携わる開業医から専門病院の医師まで日頃から適切な判断力・十分な知識・技量を備えるための必読書。
序 文
発刊によせて エキスパートの経験と最新の知識を網羅
発刊によせて 66年間の英知の結集
発刊によせて 異物症例に遭遇するまえに通読を

■総論
 1 気道食道異物摘出の歴史
 2 九州大学における気道食道異物摘出の歴史
 3 異物診療の変遷─時代の変化と異物症

■診断・対策
 1 気道異物摘出のリスクマネ−ジメント
 2 食道異物摘出のリスクマネ−ジメント
 3 気道異物摘出のインフォ−ムドコンセント
 4 食道異物摘出のインフォ−ムドコンセント
 5 気道異物の診断
 6 食道異物の診断
 7 気道異物摘出の併発症・偶発症とその対策
 8 食道異物摘出の併発症・偶発症とその対策
 9 小児気道異物予防の啓発
 10 高齢者気道異物の対策

■手 技
 1 気道異物摘出術の麻酔
 2 小児喉頭・下咽頭異物摘出の実際
 3 成人咽頭・喉頭異物摘出の実際
 4 小児気管・気管支異物─耳鼻咽喉科での摘出の実際
 5 小児気管・気管支異物─小児科での摘出の実際
 6 成人気管・気管支異物─呼吸器内科での摘出の実際
 7 成人気管・気管支異物─呼吸器外科での摘出の実際
 8 小児食道異物摘出の実際
 9 成人食道異物摘出の実際
 10 頸部外切開による異物摘出の実際
 11 開胸による異物摘出の実際
 12 耳鼻咽喉科診療所における異物摘出の実際

索 引
DVDコンテンツ
 人が生きていく上で最も基本的で重要なことは、呼吸と嚥下(食べること)である。日本気管食道科学会が扱う気管、食道、および咽頭・喉頭は、この呼吸と嚥下という生命維持活動において最も基本的で重要な役割を担っている臓器である。それ故、呼吸や嚥下に伴う気道食道異物除去の歴史は、日本気管食道科学会の歴史そのものであり、異物症の取り扱いは、気管食道科医にとって最も重要な分野の一つである。昭和24年(1949年)に発足した日本気管食道科学会は、一貫して気道食道異物症に対する治療あるいは予防の啓発を大きな使命の一つとして発展してきた。実際、ゴムホ−ズキ等危険な玩具の製造販売禁止(昭和27年総会承認の異物防止運動)、鉛筆キャップの先端穴あけを製造会社に要望、PTP薬剤包装の改良(平成6年総会承認の異物防止運動)、「異物事故─それは他人事ではない」(昭和46年制作:日本気管食道科学会編)などの映画による異物事故に対する啓発運動といった対社会的活動を積極的に推進してきた。
 すべての異物症にはそれぞれのエピソ−ドが存在する。乳幼児の気道異物はピ−ナッツなどの豆類が多く、高齢者では義歯など鉱物異物が多い。食道異物では、乳幼児はコインやボタンや電池、高齢者では義歯やPTPが多い。このように気道食道異物は病態が一様でなく、それぞれの症例毎に対処法が異なる。気道食道異物の摘出を担うすべての施設は異物症に対し責任ある最高のトレ−ニングと経験を積んだチ−ムを作るだけでなく、異物に関する広報も行うべきである。
 日本気管食道科学会が貢献してきた事業の一つに、前述の活動に加え、関連分野における「マニュアル作成」が挙げられる。すでに「外科的気道確保マニュアル」が発刊されているが、この度「気道食道異物摘出マニュアル」が完成した。各分野のエキスパ−トより様々な異物診療に関する診断法、摘出法の選択、摘出手技、合併
症とその対策など、幅広い経験を執筆頂き、お互いの知識経験を共有することにより、より良い異物診療を目指し、その診療技術を後世に伝えるとともに、加えて先達が培ってきた技を伝授することも目的として企画したものである。一方で、異物診療は確固たるエビデンスが存在しないため、ガイドラインとしてではなく各領域からのマニュアルとしてまとめることとなった。
 気道食道異物摘出に関わる診療科は、耳鼻咽喉科、食道外科、呼吸器内科、呼吸器外科、小児科、小児外科、救急外科、麻酔科など非常に多岐にわたり、各施設内で迅速かつ有機的な診療体制で臨まなければ患者は不幸な転帰を辿る可能性が高い、きわめて緊急性を要する病態である。特に気道異物の場合、乳幼児や高齢者の占める割合が高く、気道閉塞から窒息に至った場合などは、一刻の猶予もない緊急事態である。そのような事態に遭遇し治療に当たらなければならない時、各領域の経験豊富なエキスパ−トによる「気道食道異物摘出マニュアル」が手元にあればどれだけ心強いことであろう。気道食道異物診療に携わるすべての医療関係者にとって、まさに「最強の助っ人」としてのマニュアル作成を目指し、完成に至ったものである。
 具体的には、気道異物、食道異物のそれぞれに対するリスクマネ−ジメントやインフォ−ムドコンセント、診断法、特に重要である摘出手技に関しては、気道食道異物それぞれの解剖学的位置によるアプロ−チの違い、小児と成人との違いなど、病態に応じた様々な治療(摘出)法について、それぞれのエキスパ−トに解説して頂いた。各施設での症例が必ずしも多い病態ではないため、時に出現するエキスパ−トによる匠の技が一子相伝で伝えられてきた感もあり、そのため一人のエキスパ−トがいなくなった途端、異物摘出患者を受けられなくなった施設も存在する。緊急性の高い患者が迅速にしかるべき施設に搬送され適切な治療を受けられないために、尊い命が失われる程、悲しいことはない。このマニュアルはその重要性に鑑みて、読者対象は日本気管食道科学会会員だけでなく、広く異物診療に携わる医療従事者とし、これらすべての人々が活用できるものを目指した。本書が、初期診療に携わる開業医などの実地医家から、高度な診療体制を擁する専門病院の医師まで幅広く活用され、多くの患者さんの治療に大いに寄与することを、切望してやまない。

 2015年10月
日本気管食道科学会
第11代理事長 桑野 博行
群馬大学大学院医学系研究科病態総合外科学(第一外科)教授
Chapter 1 ADCTによる気管支異物の診断

Chapter 2 マスク換気下の喉頭・下咽頭・気管の観察

Chapter 3-1 機材紹介
    3-2 直視下摘出
    3-3 内視鏡下摘出
    3-4 挿入困難時

Chapter 4  PTP異物摘出

Chapter 5-1 双棘鋲異物
    5-2 40mmの釘異物
    5-3 金属ポスト付きクラウン異物

Chapter 6-1 コインの摘出
    6-2 ボタン電池の摘出

Chapter 7-1 中咽頭異物摘出術
    7-2 喉頭異物摘出術
    7-3 下咽頭異物摘出術
    7-4 下咽頭輪状後部・食道異物摘出術