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日常臨床に役立つ めまいと平衡障害
めまいの知識をアップデートし、日常臨床に活かすための最適の1冊!!

平衡機能の主要な神経機構は前庭神経核で、この核への入力は三半規管と耳石器からの他、視覚や頸筋からもあり、中枢内で小脳・脳幹・脊髄・対側前庭神経核と密に連絡している。同核の出力は眼運動系・脊髄運動系・小脳・自律神経系・視床大脳皮質系などである。これらの入出力機構は体や頭が動いた時でも網膜上に視覚情報を捉え、その情報を正確に中枢に伝える役割と同時に、姿勢調節・姿勢変化に伴う自律系の調節・平衡感覚の発現にも関与している。これらの神経機構のどこかに異常がみられると、「めまい・平衡障害」を発症し、耳鼻咽喉科の他、神経内科・脳神経外科・整形外科・眼科・リハビリテーション科・精神神経科等の臨床科目に訪れることになる。そのため多くの臨床科目にかかわる「めまい・平衡障害」の病態とそれへの対応に役立つモノグラフを出版することにした。
第25回バラニー学会のサテライト・シンポジウムとして「Neural Mechanisms in Control of Eye, Head and Limb Movements」が、2008/03/30から2日間、篠田義一教授の定年退職を記念する形で、大津にて開催された。終日このシンポジウムに出席していた私どもは、シンポジウムの発表内容のすばらしさに圧倒されたが、中でも同教授グループの長年の研究成果と最新のsaccadic eye movementsのメカニズムに関する研究成果には目を見張はるものがあった。このことは、参加した多くの研究者間の意見交換からも疑う余地はなかった。そこで、内野と東大脳研究所生理学部門(島津研)の同門であり同シンポジウムの参加者でもあった古屋とが相談の結果、同シンポジウムにおける発表内容に臨床上重要なテーマを加えることによって、日々多くの患者さんの治療にあたる臨床家にも有用な書物にしようとの結論となり、著書名を『日常臨床に役立つめまいと平衡障害』とし2009年上旬の出版を目指し執筆と編集を開始した。
目次に掲げた重要な臨床テーマに関しては、それぞれのテーマに精通し第一線で活躍されている先生方に分担執筆をお願いした。総ページ数の関係で、各執筆者に必ずしも充分な紙面の提供が行えなかったが、基礎科学から臨床分野を縦断する形で編集した本書が、読者の皆様の臨床・研究における一助となれば幸いである。
(「序」より)
第25回バラニー学会のサテライト・シンポジウムとして「Neural Mechanisms in Control of Eye, Head and Limb Movements」が、2008/03/30から2日間、篠田義一教授の定年退職を記念する形で、大津にて開催された。終日このシンポジウムに出席していた私どもは、シンポジウムの発表内容のすばらしさに圧倒されたが、中でも同教授グループの長年の研究成果と最新のsaccadic eye movementsのメカニズムに関する研究成果には目を見張はるものがあった。このことは、参加した多くの研究者間の意見交換からも疑う余地はなかった。そこで、内野と東大脳研究所生理学部門(島津研)の同門であり同シンポジウムの参加者でもあった古屋とが相談の結果、同シンポジウムにおける発表内容に臨床上重要なテーマを加えることによって、日々多くの患者さんの治療にあたる臨床家にも有用な書物にしようとの結論となり、著書名を『日常臨床に役立つめまいと平衡障害』とし2009年上旬の出版を目指し執筆と編集を開始した。
目次に掲げた重要な臨床テーマに関しては、それぞれのテーマに精通し第一線で活躍されている先生方に分担執筆をお願いした。総ページ数の関係で、各執筆者に必ずしも充分な紙面の提供が行えなかったが、基礎科学から臨床分野を縦断する形で編集した本書が、読者の皆様の臨床・研究における一助となれば幸いである。
(「序」より)
1 迷路・前庭神経・前庭神経核の構造と機能
a 迷路の構造と機能
b 有毛細胞
c 前庭一次求心性線維の投射と前庭神経核
d 前庭神経核
e 遠心性線維
2 前庭神経系の反射機構
a 半規管系前庭動眼反射と前庭頸反射
b 耳石器系前庭動眼反射と前庭頸反射
c 半規管と耳石器の収束
d 脊髄から前庭神経核へ
e 水平眼球運動系への入力とその全貌
f 直線加速度感受性増強のメカニズムと前庭脊髄反射
3 Velocity storage integrator(VSI)
a 前庭動眼反射と神経積分器
b velocity storage integrator
c off-vertical axis rotation(OVAR)
d habituationとdishabituation
e VSIの三次元的性質
f motion sicknessとVSI
g VSIの解剖学的知見
h VSI研究のこれから
3 眼振のメカニズム
a 眼振nystagmusとは
b 眼振の神経機構
5 サッケードのメカニズム
1 サッケード発現の脳幹神経機構
a 運動ニューロン
b 水平系サッケード関連ニューロン
c 水平系サッケードジェネレータ
d 垂直系眼球運動関連ニューロン
e 垂直系サッケードジェネレータ
2 サッケード発現のメカニズム −上丘出力細胞について−
a 上丘の機能地図
b 上丘の出力系
c 上丘の交連性結合の機能
3 前頭眼野frontal eye field(FEF)
a FEFとサッケードの発現
b FEFによるサッケードの抑制と注視
6 Smooth pursuitのメカニズム
a smooth pursuitの特性
b smooth pursuitに関わる神経回路
c smooth pursuitに応答するニューロンの発火特性
d smooth pursuitの運動学習メカニズム
7 前庭系と小脳
a 小脳の区分
b 小脳皮質の神経回路とシナプス伝達
c 小脳皮質-核-複合体
d 運動学習と小脳
8 平衡感覚と視床ならびに前庭皮質
1 平衡感覚と視床
2 平衡感覚と前庭皮質
a サルの前庭皮質
b MSTの役割
c ヒトの前庭皮質
9 めまいと前庭皮質
a 前庭皮質とは
b 内耳から前庭野までの神経伝達
c 突発性めまい
d 高齢者の慢性めまい感
10 前庭系と自律神経系
a 脳幹網様体の役割
b 眼球運動と脳幹網様体
c 前庭神経核からの投射
d 小脳の関わり
e 大脳の関わり
11 前庭誘発筋電位に関する基礎的神経機構
a 各種前庭誘発筋電位
b 前庭誘発頸筋電位(c-VEMP)は球形嚢由来の反応か?
c 各種前庭誘発筋電図とその神経経路
d 前庭誘発筋電位の波形
12 前庭誘発筋電位の臨床
a 頸筋で記録される筋電位(cVEMP)
b 眼周囲で記録される筋電位(oVEMP)
13 半規管機能と眼球運動 −その評価と臨床応用−
a 半規管由来の眼球運動の回転軸
b ヒトの半規管 −眼反射とビデオ画像を用いた眼球運動解析の検証
c 末梢性めまいにみられる眼振の解析と病巣局在
14 耳石機能の評価と臨床応用
a 直線加速度負荷
b 偏中心性回転(ER)
c 偏垂直軸回転(OVAR)
15 コリオリ刺激とめまい −能動と受動の違いはなぜ生まれるか−
a 前庭器の進化と短所
b コリオリ刺激実験
c 実験結果の解釈と応用
16 BPPVの基礎と臨床
a 疾患概念
b 基礎的所見
c 分類
d 診断
e 治療
17 外傷による恒常性の破綻と内耳機能障害
a 外傷後の内耳機能障害総論
b 外リンパ瘻
c 外リンパ瘻の動物モデルから考える
18 内耳水チャネルとメニエール病
a ストレスとメニエール病
b VPと内リンパ水腫
c メニエール病の発病とVP
d メニエール病の治療と水チャネル(VP-AQP2システムを中心に)
19 前庭系の代償
a 前庭代償とは?
b 前庭代償の神経メカニズム
c 前庭神経核間の交連線維抑制系と前庭代償
d 前庭小脳-前庭神経核抑制系と前庭代償
e 前庭代償に関与する前庭小脳-前庭神経核抑制系の神経伝達物質
f 前庭代償に関与する前庭小脳プルキンエ細胞における細胞内シグナル伝達
g 静的前庭代償の後期過程
h 動的前庭代償
20 内耳ドラッグデリバリーと薬物療法
a 経正円窓的アプローチ
21 高齢者の前庭系・眼運動系
a 高齢者の前庭系
b 高齢者の中枢前庭代償
22 前庭系のリハビリテーション
a 前庭障害に対するリハビリテーションの意義
b 対象疾患
c 訓練の実際
d 症例
23 乗物酔における視覚の役割
a 乗物酔の原因
b 乗物酔における視界の影響
c 視覚-前庭感覚の相互作用
d 視覚性動揺病
e シミュレータ酔・VR酔
f 車載ディスプレイ
24 宇宙と前庭系
a 宇宙酔いと前庭系
b 宇宙酔いの発症機序
索引
a 迷路の構造と機能
b 有毛細胞
c 前庭一次求心性線維の投射と前庭神経核
d 前庭神経核
e 遠心性線維
2 前庭神経系の反射機構
a 半規管系前庭動眼反射と前庭頸反射
b 耳石器系前庭動眼反射と前庭頸反射
c 半規管と耳石器の収束
d 脊髄から前庭神経核へ
e 水平眼球運動系への入力とその全貌
f 直線加速度感受性増強のメカニズムと前庭脊髄反射
3 Velocity storage integrator(VSI)
a 前庭動眼反射と神経積分器
b velocity storage integrator
c off-vertical axis rotation(OVAR)
d habituationとdishabituation
e VSIの三次元的性質
f motion sicknessとVSI
g VSIの解剖学的知見
h VSI研究のこれから
3 眼振のメカニズム
a 眼振nystagmusとは
b 眼振の神経機構
5 サッケードのメカニズム
1 サッケード発現の脳幹神経機構
a 運動ニューロン
b 水平系サッケード関連ニューロン
c 水平系サッケードジェネレータ
d 垂直系眼球運動関連ニューロン
e 垂直系サッケードジェネレータ
2 サッケード発現のメカニズム −上丘出力細胞について−
a 上丘の機能地図
b 上丘の出力系
c 上丘の交連性結合の機能
3 前頭眼野frontal eye field(FEF)
a FEFとサッケードの発現
b FEFによるサッケードの抑制と注視
6 Smooth pursuitのメカニズム
a smooth pursuitの特性
b smooth pursuitに関わる神経回路
c smooth pursuitに応答するニューロンの発火特性
d smooth pursuitの運動学習メカニズム
7 前庭系と小脳
a 小脳の区分
b 小脳皮質の神経回路とシナプス伝達
c 小脳皮質-核-複合体
d 運動学習と小脳
8 平衡感覚と視床ならびに前庭皮質
1 平衡感覚と視床
2 平衡感覚と前庭皮質
a サルの前庭皮質
b MSTの役割
c ヒトの前庭皮質
9 めまいと前庭皮質
a 前庭皮質とは
b 内耳から前庭野までの神経伝達
c 突発性めまい
d 高齢者の慢性めまい感
10 前庭系と自律神経系
a 脳幹網様体の役割
b 眼球運動と脳幹網様体
c 前庭神経核からの投射
d 小脳の関わり
e 大脳の関わり
11 前庭誘発筋電位に関する基礎的神経機構
a 各種前庭誘発筋電位
b 前庭誘発頸筋電位(c-VEMP)は球形嚢由来の反応か?
c 各種前庭誘発筋電図とその神経経路
d 前庭誘発筋電位の波形
12 前庭誘発筋電位の臨床
a 頸筋で記録される筋電位(cVEMP)
b 眼周囲で記録される筋電位(oVEMP)
13 半規管機能と眼球運動 −その評価と臨床応用−
a 半規管由来の眼球運動の回転軸
b ヒトの半規管 −眼反射とビデオ画像を用いた眼球運動解析の検証
c 末梢性めまいにみられる眼振の解析と病巣局在
14 耳石機能の評価と臨床応用
a 直線加速度負荷
b 偏中心性回転(ER)
c 偏垂直軸回転(OVAR)
15 コリオリ刺激とめまい −能動と受動の違いはなぜ生まれるか−
a 前庭器の進化と短所
b コリオリ刺激実験
c 実験結果の解釈と応用
16 BPPVの基礎と臨床
a 疾患概念
b 基礎的所見
c 分類
d 診断
e 治療
17 外傷による恒常性の破綻と内耳機能障害
a 外傷後の内耳機能障害総論
b 外リンパ瘻
c 外リンパ瘻の動物モデルから考える
18 内耳水チャネルとメニエール病
a ストレスとメニエール病
b VPと内リンパ水腫
c メニエール病の発病とVP
d メニエール病の治療と水チャネル(VP-AQP2システムを中心に)
19 前庭系の代償
a 前庭代償とは?
b 前庭代償の神経メカニズム
c 前庭神経核間の交連線維抑制系と前庭代償
d 前庭小脳-前庭神経核抑制系と前庭代償
e 前庭代償に関与する前庭小脳-前庭神経核抑制系の神経伝達物質
f 前庭代償に関与する前庭小脳プルキンエ細胞における細胞内シグナル伝達
g 静的前庭代償の後期過程
h 動的前庭代償
20 内耳ドラッグデリバリーと薬物療法
a 経正円窓的アプローチ
21 高齢者の前庭系・眼運動系
a 高齢者の前庭系
b 高齢者の中枢前庭代償
22 前庭系のリハビリテーション
a 前庭障害に対するリハビリテーションの意義
b 対象疾患
c 訓練の実際
d 症例
23 乗物酔における視覚の役割
a 乗物酔の原因
b 乗物酔における視界の影響
c 視覚-前庭感覚の相互作用
d 視覚性動揺病
e シミュレータ酔・VR酔
f 車載ディスプレイ
24 宇宙と前庭系
a 宇宙酔いと前庭系
b 宇宙酔いの発症機序
索引