味覚障害診療の手引き

標準的で、効率のよい診療に不可欠のマニュアル!!

池田 稔
定 価 1,980円
(1,800円+税)
発行日 2006/09/20
ISBN 978-4-307-37082-0

B5判・56頁・図数:5枚

在庫状況 なし

 2003年の日本口腔・咽頭科学会のアンケート調査では,耳鼻咽喉科医を受診する味覚障害患者の数は年間24万人であり,1990年の調査時の約1.8倍に増加していると推測されている。特に高齢化社会が進む中で,今後も受診患者の増加が予想され,味覚障害は臨床医にとって重要な感覚器障害の一つとなっている。しかし,これまで味覚障害患者に対する診療について,ある程度標準化され,かつまとまったかたちでの情報の提供が欠如していた。
 そのような中で,本書は,味覚障害患者の診療が効率よく行われるために,情報を整理して提供することを目的に作成された。本書の対象は耳鼻咽喉科医を主体としているが,内科医など他科の医師にも十分利用可能なものである。
 本書は,味覚障害について多方面から多くの情報を提供している。本邦ではこのような書物は他に類がなく,本書が味覚障害の臨床の現場で広く利用されることを期待したい。
おもな内容
■味覚障害の疫学
■味覚障害の原因
 遺伝性味覚障害
 末梢神経障害
 中枢神経障害
 亜鉛欠乏性味覚障害
 特発性味覚障害
 薬剤性味覚障害
 全身疾患に伴う味覚障害
  腎障害/肝障害/糖尿病/消化器疾患/ビタミン欠乏症/甲状腺機能障害
 口腔・唾液腺疾患に伴う味覚障害
 放射線治療
 心因性味覚障害
 風味障害
■味覚障害の診断
 問診
 理学的所見
 一般臨床検査
 味覚機能検査
  自覚的味覚機能検査 A. 電気味覚検査 B. 濾紙ディスク検査 C. 濾紙ディスク検査による味覚障害の評価 D. 全口腔法 a. 閾値検査法 b. 閾値上検査法 E. ソルセイブによる味覚検査/他覚的味覚機能検査/味覚機能検査法の今後
■味覚障害の治療
 原因別の治療法
  末梢神経障害/中枢神経障害/亜鉛欠乏性味覚障害/特発性味覚障害/薬剤性味覚障害/全身疾患に伴う味覚障害/口腔・唾液腺疾患に伴う味覚障害/放射線治療に伴う味覚障害/心因性味覚障害/風味障害/自発性異常味覚,異味症,味覚乖離
 治療の実際
  薬物療法 A. 亜鉛 a. 硫酸亜鉛 b. ポラプレジンク c. 亜鉛補助食品 B. ビタミン C. 漢方 D. その他の内服薬 E. 局所治療薬/食事・栄養指導
 治療効果と予後
  亜鉛製剤の効果/漢方薬の効果
 味覚障害の治療とその評価に関する問題点
■耳鼻咽喉科の手術に関連した味覚障害
 中耳手術による鼓索神経障害
  鼓索神経保存例の味覚障害/鼓索神経切断例の味覚障害/中耳手術に際しての鼓索神経への対応
 口蓋扁桃摘出術後の舌咽神経障害
 ラリンゴマイクロサージェリー後の味覚障害