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子宮体癌取扱い規約 病理編 第5版
WHO 2020分類に基づき病理学的な取扱いを改訂!
編 集 | 日本産科婦人科学会 / 日本病理学会 |
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定 価 | 4,950円 (4,500円+税) |
発行日 | 2022/12/26 |
ISBN | 978-4-307-30151-0 |
B5判・112頁・図数:6枚・カラー図数:110枚
在庫状況 | あり |
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WHO組織分類(2020年)に基づき病理学的な取扱いを一新。これまでの組織学的予後因子に加えて分子遺伝学的予後因子が登場し、治療効果判定(ホルモン療法)、リンパ節転移の扱いや術中迅速組織診断についても適宜アップデートされた。巻末には精選された110枚の組織図譜や、付録として免疫組織化学に用いる抗体/マーカーの一覧表が収載されている。
1.改訂の要点と留意事項
2.病理診断報告書の記載法
a.肉眼分類
b.組織学的予後因子
c.組織学的異型度(Grade)
d.分子遺伝学的予後因子
e.リンパ節転移の扱い
3.切除・摘出検体の取扱い
a.生検検体
b.子宮摘出検体
4.ホルモン療法の効果判定
5.術中迅速組織診断
6.進行期分類
a.子宮内膜癌
b.子宮体部肉腫
c.リンパ節の部位と名称
7.組織学的分類
a.はじめに
b.組織学的分類およびICD-Oコード
c.組織学的分類の説明
I.上皮性腫瘍および前駆病変 Epithelial tumors and precursors
A.前駆病変 Precursors
B.子宮内膜癌 Endometrial carcinomas
C.その他の上皮性腫瘍 Other epithelial tumors
D.類腫瘍病変 Tumor-like lesions
II.神経内分泌腫瘍 Neuroendocrine neoplasia
A.神経内分泌腫瘍 Neuroendocrine tumor(NET)
B.神経内分泌癌 Neuroendocrine carcinoma(NEC)
C.混合型神経内分泌癌 Combined neuroendocrine carcinoma
III.間葉性腫瘍 Mesenchymal tumors
A.平滑筋腫 Leiomyoma
B.悪性度不明な平滑筋腫瘍 Smooth muscle tumor of uncertain malignant potential(STUMP)
C.平滑筋肉腫 Leiomyosarcoma
D.子宮内膜間質腫瘍と関連病変 Endometrial stromal and related tumors
E.その他の間葉性腫瘍 Miscellaneous mesenchymal tumors
IV.上皮性・間葉性混合腫瘍 Mixed epithelial and mesenchymal tumors
A.腺筋腫 Adenomyoma
B.異型ポリープ状腺筋腫 Atypical polypoid adenomyoma
C.腺肉腫 Adenosarcoma
V.その他の腫瘍 Miscellaneous tumors
A.アデノマトイド腫瘍 Adenomatoid tumor
B.原始神経外胚葉性腫瘍 Primitive neuroectodermal tumors
C.胚細胞腫瘍 Germ cell tumors
8.図譜
9.これまでの既刊の序
付 子宮体癌の診断に用いられる免疫組織化学
索引
2.病理診断報告書の記載法
a.肉眼分類
b.組織学的予後因子
c.組織学的異型度(Grade)
d.分子遺伝学的予後因子
e.リンパ節転移の扱い
3.切除・摘出検体の取扱い
a.生検検体
b.子宮摘出検体
4.ホルモン療法の効果判定
5.術中迅速組織診断
6.進行期分類
a.子宮内膜癌
b.子宮体部肉腫
c.リンパ節の部位と名称
7.組織学的分類
a.はじめに
b.組織学的分類およびICD-Oコード
c.組織学的分類の説明
I.上皮性腫瘍および前駆病変 Epithelial tumors and precursors
A.前駆病変 Precursors
B.子宮内膜癌 Endometrial carcinomas
C.その他の上皮性腫瘍 Other epithelial tumors
D.類腫瘍病変 Tumor-like lesions
II.神経内分泌腫瘍 Neuroendocrine neoplasia
A.神経内分泌腫瘍 Neuroendocrine tumor(NET)
B.神経内分泌癌 Neuroendocrine carcinoma(NEC)
C.混合型神経内分泌癌 Combined neuroendocrine carcinoma
III.間葉性腫瘍 Mesenchymal tumors
A.平滑筋腫 Leiomyoma
B.悪性度不明な平滑筋腫瘍 Smooth muscle tumor of uncertain malignant potential(STUMP)
C.平滑筋肉腫 Leiomyosarcoma
D.子宮内膜間質腫瘍と関連病変 Endometrial stromal and related tumors
E.その他の間葉性腫瘍 Miscellaneous mesenchymal tumors
IV.上皮性・間葉性混合腫瘍 Mixed epithelial and mesenchymal tumors
A.腺筋腫 Adenomyoma
B.異型ポリープ状腺筋腫 Atypical polypoid adenomyoma
C.腺肉腫 Adenosarcoma
V.その他の腫瘍 Miscellaneous tumors
A.アデノマトイド腫瘍 Adenomatoid tumor
B.原始神経外胚葉性腫瘍 Primitive neuroectodermal tumors
C.胚細胞腫瘍 Germ cell tumors
8.図譜
9.これまでの既刊の序
付 子宮体癌の診断に用いられる免疫組織化学
索引
がんの診断学の礎となるWHO(World Health Organization、世界保健機関)分類は、常に我が国における癌取扱い規約(以下規約)の規範であり、これまでの婦人科領域を含めたあらゆる規約がWHO分類の読みほぐしから抽出されたエッセンスを基に編纂がなされてきた。然るに、WHO分類 第5版(2020年)の編集・改定においては、小西郁生京都大学名誉教授、片渕秀隆熊本大学名誉教授、清川貴子東京慈恵会医科大学教授、三上芳喜熊本大学教授、加えて幾人かの婦人科医や病理医が、執筆者に名を連ねた。婦人科領域の規約がWHOとほぼ同次元の基盤で編まれる時代を迎えたとも言える。実際には、その前のWHO分類 第4版(2014年)の改定時にも上記のエキスパートらが携わっており、WHO分類 第5版への参画の布石となった。
『子宮体癌取扱い規約』(以下体癌規約)は1987年10月に初版(野田起一郎委員長、高橋正宜病理系委員長)が誕生した。その後、1994年にはWHO分類 第2版が公表され、直ぐさま1996年3月に体癌規約 第2版(杉森 甫委員長、坂本穆彦病理系委員長)が刊行された。続いて2003年にはWHO分類 第3版が登場するが、これに連鎖する体癌規約 第3版(嘉村敏治委員長、坂本穆彦病理系委員長)の改訂は2012年まで行われなかった。その間、2008年には子宮体癌領域のFIGO進行期分類が20年ぶりに大幅に刷新されている。体癌規約 第3版の刊行からわずか2年後の2014年にはWHO分類 第4版が提示され、なかでも卵巣腫瘍において革新的な組織発生論が台頭した。これを受けて、まずは『卵巣腫瘍・卵管癌・腹膜癌取扱い規約 病理編 第1版』の改訂作業に着手された(杉山 徹委員長、安田政実病理系委員長)。この刊行に目途がつくやいなや、体癌規約 病理編(片渕秀隆委員長、安田政実病理系委員長)ならびに『子宮頸癌取扱い規約 病理編』(片渕秀隆委員長、三上芳喜病理系委員長)の策定が我が国の諸事情に鑑みて同時に進行し、2017年に双方が第4版として刊行されるに至る。そして今回、これらの規約改訂からは3年後の2020年にWHO分類 第5版が登場し、子宮頸部、子宮体部、卵巣、それぞれの分野の腫瘍学/病理診断学が新局面へと導かれた。満を持して3つの規約改訂小委員会が足並みを揃えて立ち上がり、一つのプロジェクトのごとくに作業が始動した。
がんの医療は形態診断を土台に、分子遺伝学的プロファイルに基づいた層別化が着実に浸透してきている。我が国でもこの大きな潮流に現場のがんゲノム医療/パネル検査が併走し、昨今は定着の兆しがはっきりと輪郭を表すようになってきた。子宮体癌/ 内膜癌の大半を占める類内膜癌は、The Cancer Genome Atlas projectによって分子遺伝学的に4つのカテゴリーに区分けされたことで、これまで連綿と受け継がれてきた分類体系が大きく揺さぶられることになる。各現場での対応如何により、婦人科領域以外にも影響を与える腫瘍診断学のモデルと化すものと期待される。一方で、新たな組織型として登場した中腎様腺癌 mesonephric-like adenocarcinoma は稀ながらも、分子遺伝学的着想に凝り固まることなく、形態学的洞察の中からも未発掘の腫瘍(既存の分類に当てはめることに難渋してきた一群)が芽を吹くことを気づかせてくれた。
本書の体裁は第4版を概ね踏襲しながら、3つの規約の共有性・統一性も重視し冒頭に「改訂の要点と留意事項」を取り上げた。これまでの組織学的予後因子に加えて、上記の分子遺伝学的予後因子を登場させ、治療効果判定(ホルモン療法)、リンパ節転移の扱いや術中迅速組織診断についても適宜、追記を行った。とりわけ、適切な検体の処理においては、将来、がんゲノム医療に供する可能性も踏まえて、品質管理の行き届いたパラフィンブロックの作製に可及的に対応する必要がある。第一義とされる切除から固定までの迅速性は、関与する医療従事者の自覚と組織だった連携によって担保される。
この度の改訂作業は2021年8月に始動し、2022年12月に終着点を迎えた。この一年もCOVID-19感染の波に日常が翻弄されながらも、幾度かのon-siteならびにon-line会議を元に推敲が繰り返された。体癌規約 病理編 第5版を世に送り出すにあたり、本規約が子宮体癌の診断と診療に携わる医師、それらを支える医療従事者にとっての伴侶であってもらいたい。そして、精度の高い病理診断、最善の実地臨床、適正な癌登録、ならびに臨床病理学的研究の発展に寄与する存在であることを祈る。
2022年12月
日本産科婦人科学会婦人科腫瘍委員会 委員長 永瀬 智
子宮体癌取扱い規約改訂小委員会 委員長 馬場 長
日本病理学会子宮体癌取扱い規約改訂病理系委員会 委員長 安田 政実
『子宮体癌取扱い規約』(以下体癌規約)は1987年10月に初版(野田起一郎委員長、高橋正宜病理系委員長)が誕生した。その後、1994年にはWHO分類 第2版が公表され、直ぐさま1996年3月に体癌規約 第2版(杉森 甫委員長、坂本穆彦病理系委員長)が刊行された。続いて2003年にはWHO分類 第3版が登場するが、これに連鎖する体癌規約 第3版(嘉村敏治委員長、坂本穆彦病理系委員長)の改訂は2012年まで行われなかった。その間、2008年には子宮体癌領域のFIGO進行期分類が20年ぶりに大幅に刷新されている。体癌規約 第3版の刊行からわずか2年後の2014年にはWHO分類 第4版が提示され、なかでも卵巣腫瘍において革新的な組織発生論が台頭した。これを受けて、まずは『卵巣腫瘍・卵管癌・腹膜癌取扱い規約 病理編 第1版』の改訂作業に着手された(杉山 徹委員長、安田政実病理系委員長)。この刊行に目途がつくやいなや、体癌規約 病理編(片渕秀隆委員長、安田政実病理系委員長)ならびに『子宮頸癌取扱い規約 病理編』(片渕秀隆委員長、三上芳喜病理系委員長)の策定が我が国の諸事情に鑑みて同時に進行し、2017年に双方が第4版として刊行されるに至る。そして今回、これらの規約改訂からは3年後の2020年にWHO分類 第5版が登場し、子宮頸部、子宮体部、卵巣、それぞれの分野の腫瘍学/病理診断学が新局面へと導かれた。満を持して3つの規約改訂小委員会が足並みを揃えて立ち上がり、一つのプロジェクトのごとくに作業が始動した。
がんの医療は形態診断を土台に、分子遺伝学的プロファイルに基づいた層別化が着実に浸透してきている。我が国でもこの大きな潮流に現場のがんゲノム医療/パネル検査が併走し、昨今は定着の兆しがはっきりと輪郭を表すようになってきた。子宮体癌/ 内膜癌の大半を占める類内膜癌は、The Cancer Genome Atlas projectによって分子遺伝学的に4つのカテゴリーに区分けされたことで、これまで連綿と受け継がれてきた分類体系が大きく揺さぶられることになる。各現場での対応如何により、婦人科領域以外にも影響を与える腫瘍診断学のモデルと化すものと期待される。一方で、新たな組織型として登場した中腎様腺癌 mesonephric-like adenocarcinoma は稀ながらも、分子遺伝学的着想に凝り固まることなく、形態学的洞察の中からも未発掘の腫瘍(既存の分類に当てはめることに難渋してきた一群)が芽を吹くことを気づかせてくれた。
本書の体裁は第4版を概ね踏襲しながら、3つの規約の共有性・統一性も重視し冒頭に「改訂の要点と留意事項」を取り上げた。これまでの組織学的予後因子に加えて、上記の分子遺伝学的予後因子を登場させ、治療効果判定(ホルモン療法)、リンパ節転移の扱いや術中迅速組織診断についても適宜、追記を行った。とりわけ、適切な検体の処理においては、将来、がんゲノム医療に供する可能性も踏まえて、品質管理の行き届いたパラフィンブロックの作製に可及的に対応する必要がある。第一義とされる切除から固定までの迅速性は、関与する医療従事者の自覚と組織だった連携によって担保される。
この度の改訂作業は2021年8月に始動し、2022年12月に終着点を迎えた。この一年もCOVID-19感染の波に日常が翻弄されながらも、幾度かのon-siteならびにon-line会議を元に推敲が繰り返された。体癌規約 病理編 第5版を世に送り出すにあたり、本規約が子宮体癌の診断と診療に携わる医師、それらを支える医療従事者にとっての伴侶であってもらいたい。そして、精度の高い病理診断、最善の実地臨床、適正な癌登録、ならびに臨床病理学的研究の発展に寄与する存在であることを祈る。
2022年12月
日本産科婦人科学会婦人科腫瘍委員会 委員長 永瀬 智
子宮体癌取扱い規約改訂小委員会 委員長 馬場 長
日本病理学会子宮体癌取扱い規約改訂病理系委員会 委員長 安田 政実
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