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ステップと動画で学ぶ 山王病院の生殖医療
生殖医療のエキスパート集団によるART実践マニュアル最新版!
監 著 | 堤 治 |
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編 著 | 久須美 真紀 / 猪鼻 達仁 |
定 価 | 9,680円 (8,800円+税) |
発行日 | 2024/04/22 |
ISBN | 978-4-307-30149-7 |
B5判・336頁・図数:122枚・カラー図数:40枚
在庫状況 | あり |
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山王病院リプロで実際に行われている一般不妊治療、生殖補助医療(ART)をステップ形式で具体的に紹介。注意点やコツも併せて解説しているため、手技のポイントが一目でわかる。PGT-AやTh1/Th2、ERA、EMMA、ALICEなどの新たな検査方法や、PRP療法、社会的卵子凍結といった最新のトピックも取り扱う。不妊診療に携わる医師、看護師、胚培養士はぜひマスターしたい一冊。書籍内のQRコードから手技の動画を視聴できる。
初版「山王病院 不妊診療メソッド」からタイトルを変更した。
初版「山王病院 不妊診療メソッド」からタイトルを変更した。
執筆者一覧
はじめに
はじめに(旧版)
改訂にあたって ─ ART保険適用でできること・できないこと ─
◆第1章 総論
1.ヒトの排卵と月経周期
2.不妊症とは
3.不妊症に対する検査、治療の進め方
4.不妊治療および腹腔鏡手術のインフォームド・コンセント
◆第2章 不妊症に対するスクリーニング
1.問診
2.超音波検査
3.卵巣機能評価
4.黄体機能不全、その他の内分泌・代謝検査
5.子宮卵管造影検査
6.感染症検査
7.男性の不妊検査
8.フーナーテスト・Miller-Kurzrokテスト
9.子宮鏡検査(ヒステロファイバースコープ)
10.不育症に対するスクリーニング
◆第3章 不妊治療の基本
1.タイミング療法
2.人工授精
3.排卵誘発・卵巣刺激
4.多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の診療
◆第4章 山王病院におけるARTの実際
1.概論
2.排卵誘発法
3.麻酔方法
4.採卵手技
5.精子調製、凍結・融解(→ 動画1)
6.男性不妊症に対する治療の進め方
7.無精子症 c-TESE/micro TESE
8.精索静脈瘤の診断と治療の進め方
9.検卵(→ 動画2)
10.卵子、胚質評価法
11.体外受精(C-IVF)
12.Piezo-ICSI(卵細胞質内精子注入法)の実際(→ 動画3,4,5)
13.卵子、胚の培養法
14.胚移植 ― 医師の立場から
15.胚移植 ― 胚培養士の立場から
16.受精卵の凍結
17.凍結胚移植プロトコール
18.胚の凍結融解
19.早発卵巣不全・卵巣機能不全の診療(下垂体ゴナドトロピン調節療法)
20.PGT-A/PGT-SR(着床前胚染色体異数性/構造異常検査)
21.Biopsy(→ 動画6)
22.着床障害
23.免疫学的検査 ― Th1/Th2
24.PRP(多血小板血漿)療法 ― 医師の立場から(→ 動画7)
25.PRP(多血小板血漿)療法 ― 胚培養士の立場から(→ 動画8)
26.未受精卵子の凍結
27.未受精卵子の凍結融解
◆第5章 不妊治療と内視鏡手術
1.原因不明不妊に対する腹腔鏡手術
2.子宮内膜症
3.FT(卵管鏡下卵管形成術)
4.卵管留水症
5.子宮鏡手術の適応と術式の決定
6.子宮鏡手術の基本手技
7.子宮鏡手術の実際
8.電気デバイスを使用しない子宮鏡手術(→ 動画9,10)
◆第6章 培養室の管理とリスクマネジメント
1.培養環境の維持管理
2.リスクマネジメント
3.データ管理
4.胚培養士の教育
◆第7章 不妊カウンセリング
1.不妊カウンセリングの考え方
2.不妊カウンセリングと一般のカウンセリングの違い
3.当院の不妊カウンセリングの流れ
◆第8章 妊娠成立後の経過
妊娠初期管理(約10週まで)について
コラム
1.医学的適応による妊孕性温存
2.社会的適応による卵子凍結
3.リプロダクション・婦人科内視鏡治療センターの渡りに船 ─ 子宮内膜菲薄化の原因と予防 ─
おわりに
略語一覧
索引
はじめに
はじめに(旧版)
改訂にあたって ─ ART保険適用でできること・できないこと ─
◆第1章 総論
1.ヒトの排卵と月経周期
2.不妊症とは
3.不妊症に対する検査、治療の進め方
4.不妊治療および腹腔鏡手術のインフォームド・コンセント
◆第2章 不妊症に対するスクリーニング
1.問診
2.超音波検査
3.卵巣機能評価
4.黄体機能不全、その他の内分泌・代謝検査
5.子宮卵管造影検査
6.感染症検査
7.男性の不妊検査
8.フーナーテスト・Miller-Kurzrokテスト
9.子宮鏡検査(ヒステロファイバースコープ)
10.不育症に対するスクリーニング
◆第3章 不妊治療の基本
1.タイミング療法
2.人工授精
3.排卵誘発・卵巣刺激
4.多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の診療
◆第4章 山王病院におけるARTの実際
1.概論
2.排卵誘発法
3.麻酔方法
4.採卵手技
5.精子調製、凍結・融解(→ 動画1)
6.男性不妊症に対する治療の進め方
7.無精子症 c-TESE/micro TESE
8.精索静脈瘤の診断と治療の進め方
9.検卵(→ 動画2)
10.卵子、胚質評価法
11.体外受精(C-IVF)
12.Piezo-ICSI(卵細胞質内精子注入法)の実際(→ 動画3,4,5)
13.卵子、胚の培養法
14.胚移植 ― 医師の立場から
15.胚移植 ― 胚培養士の立場から
16.受精卵の凍結
17.凍結胚移植プロトコール
18.胚の凍結融解
19.早発卵巣不全・卵巣機能不全の診療(下垂体ゴナドトロピン調節療法)
20.PGT-A/PGT-SR(着床前胚染色体異数性/構造異常検査)
21.Biopsy(→ 動画6)
22.着床障害
23.免疫学的検査 ― Th1/Th2
24.PRP(多血小板血漿)療法 ― 医師の立場から(→ 動画7)
25.PRP(多血小板血漿)療法 ― 胚培養士の立場から(→ 動画8)
26.未受精卵子の凍結
27.未受精卵子の凍結融解
◆第5章 不妊治療と内視鏡手術
1.原因不明不妊に対する腹腔鏡手術
2.子宮内膜症
3.FT(卵管鏡下卵管形成術)
4.卵管留水症
5.子宮鏡手術の適応と術式の決定
6.子宮鏡手術の基本手技
7.子宮鏡手術の実際
8.電気デバイスを使用しない子宮鏡手術(→ 動画9,10)
◆第6章 培養室の管理とリスクマネジメント
1.培養環境の維持管理
2.リスクマネジメント
3.データ管理
4.胚培養士の教育
◆第7章 不妊カウンセリング
1.不妊カウンセリングの考え方
2.不妊カウンセリングと一般のカウンセリングの違い
3.当院の不妊カウンセリングの流れ
◆第8章 妊娠成立後の経過
妊娠初期管理(約10週まで)について
コラム
1.医学的適応による妊孕性温存
2.社会的適応による卵子凍結
3.リプロダクション・婦人科内視鏡治療センターの渡りに船 ─ 子宮内膜菲薄化の原因と予防 ─
おわりに
略語一覧
索引
はじめに
2013年に旧版『山王病院 不妊診療メソッド』を出版してから11年、日本の生殖医療にも大きな変化がありました。旧版の「はじめに」では、「日本でもARTで生まれる子どもは全出生数の40人に1人から30人に1人に迫る勢いです」と申しましたが、最新のデータでは7万人以上の子どもが生まれ、「11人に1人」と倍以上に増加しています。
この間の生殖医療の進歩としては、受精卵に対して着床前診断(PGT-A:着床前胚染色体異数性検査)が臨床研究として実施され、私見では良好な成績をあげています。ブラックボックスと言われていた子宮内膜でもERA(子宮内膜受容能検査)、子宮内膜炎に関連しALICE検査、EMMA検査など新規の技術が導入され、菲薄化子宮内膜に対するPRP療法も開始されました。
山王病院では積極的に新規技術の導入に努め、成績も公開してまいりました。他施設より多くのお問合せなども頂き、ありがたいことに『山王病院 不妊診療メソッド』の改訂を期待する声も頂戴しました。そこで出版元の金原出版と相談し、新しい技術の実際を具体的に示し動画も利用した、よりわかりやすい新版『ステップと動画で学ぶ 山王病院の生殖医療』を企画いたしました。
旧版でも述べましたが、山王病院は1937年(昭和12年)開院のプライベートホスピタルで、1996年にいち早くリプロダクションセンターを開設、ARTに特化し最新で最善の生殖医療を追求してきました。また2005年に国際医療福祉大学大学院に生殖補助医療胚培養分野を創設、その実習病院として、ARTの実践のみならず、ART教育の場としての役割も果たしてきました。新版では胚培養士、メディカルスタッフの実践に役立つよう、より内容を盛り上げました。
私自身は内視鏡手術も行うラパロスコピストで、不妊治療の両輪といえば「ART」と「内視鏡手術」と言いたいところです。機器の進歩もあり、少なくとも着床を妨げる粘膜下筋腫やポリープの手術はART施設でもできるようになるべきだと考えています。卵管性不妊のFT、長期不妊や子宮内膜症の腹腔鏡は、良い妊娠成績をあげています。生殖医療に関わる医師の方にはぜひマスターして頂きたい技術ですし、ARTに携わるメディカルスタッフの方々にも基本は理解して頂きたい分野で、新版にも残しました。
2022年は日本の生殖医療にとって特別な年でした。体外受精等の基本的治療すべてに保険が適用された「ART保険適用元年」です。保険診療により治療費が3割負担になるだけでなく、従来かかっていた消費税の負担もなくなり、高額療養費制度、医療費控除も利用できるようになりました。ただし新しい制度には多少の問題点もつきもので、項を改めて検討いたします。
旧版のはじめに、日本の女性は卵子のエイジング等に対する知識が乏しいことを書きました。日本では性や生殖を教育することはタブー視されるところがあり、近年啓蒙を進める動きもありますが、性や生殖に対する知識は先進国の中では最低レベルであるのが実情です。これは教育の問題といえるでしょう。
リプロダクティブ・ヘルスあるいはリプロダクティブ・ライツは「女性は自分の産みたい時に産み、産みたくない時には産まないことが当然の権利である」(1994年カイロ宣言)ということでしょう。女性が活躍する日本の社会では、結婚、妊娠、出産が遅くなる傾向が否めず、有職率の増加は、出生率の低下さらに不妊治療の患者さんの高齢化に繋がっていると言わざるを得ません。
このような教育の問題、社会の問題のある中、プレコンセプションケアの重要性が認識され、いわゆる社会的卵子凍結が注目を集め、本書でも取り上げました。いずれにせよ生殖医療に携わる我々は患者さんのリプロダクティブ・ヘルスを守るため全力を尽くすもので、本書もその一助となることを目指しております。しかしながらARTはいわば「伝家の宝刀」であり、ARTなくしては生殖ができなくなっては、人類も絶滅危惧種になってしまいます。
教育や社会の問題を改善し、働きながら妊娠、出産、育児が安心してできる環境を整えることが少子化を乗り越えて明るい日本の未来を保証すると、生殖医療に携わる者も忘れてはならないでしょう。
2024年3月
山王病院 名誉病院長 リプロダクション・婦人科内視鏡治療センター
堤 治
2013年に旧版『山王病院 不妊診療メソッド』を出版してから11年、日本の生殖医療にも大きな変化がありました。旧版の「はじめに」では、「日本でもARTで生まれる子どもは全出生数の40人に1人から30人に1人に迫る勢いです」と申しましたが、最新のデータでは7万人以上の子どもが生まれ、「11人に1人」と倍以上に増加しています。
この間の生殖医療の進歩としては、受精卵に対して着床前診断(PGT-A:着床前胚染色体異数性検査)が臨床研究として実施され、私見では良好な成績をあげています。ブラックボックスと言われていた子宮内膜でもERA(子宮内膜受容能検査)、子宮内膜炎に関連しALICE検査、EMMA検査など新規の技術が導入され、菲薄化子宮内膜に対するPRP療法も開始されました。
山王病院では積極的に新規技術の導入に努め、成績も公開してまいりました。他施設より多くのお問合せなども頂き、ありがたいことに『山王病院 不妊診療メソッド』の改訂を期待する声も頂戴しました。そこで出版元の金原出版と相談し、新しい技術の実際を具体的に示し動画も利用した、よりわかりやすい新版『ステップと動画で学ぶ 山王病院の生殖医療』を企画いたしました。
旧版でも述べましたが、山王病院は1937年(昭和12年)開院のプライベートホスピタルで、1996年にいち早くリプロダクションセンターを開設、ARTに特化し最新で最善の生殖医療を追求してきました。また2005年に国際医療福祉大学大学院に生殖補助医療胚培養分野を創設、その実習病院として、ARTの実践のみならず、ART教育の場としての役割も果たしてきました。新版では胚培養士、メディカルスタッフの実践に役立つよう、より内容を盛り上げました。
私自身は内視鏡手術も行うラパロスコピストで、不妊治療の両輪といえば「ART」と「内視鏡手術」と言いたいところです。機器の進歩もあり、少なくとも着床を妨げる粘膜下筋腫やポリープの手術はART施設でもできるようになるべきだと考えています。卵管性不妊のFT、長期不妊や子宮内膜症の腹腔鏡は、良い妊娠成績をあげています。生殖医療に関わる医師の方にはぜひマスターして頂きたい技術ですし、ARTに携わるメディカルスタッフの方々にも基本は理解して頂きたい分野で、新版にも残しました。
2022年は日本の生殖医療にとって特別な年でした。体外受精等の基本的治療すべてに保険が適用された「ART保険適用元年」です。保険診療により治療費が3割負担になるだけでなく、従来かかっていた消費税の負担もなくなり、高額療養費制度、医療費控除も利用できるようになりました。ただし新しい制度には多少の問題点もつきもので、項を改めて検討いたします。
旧版のはじめに、日本の女性は卵子のエイジング等に対する知識が乏しいことを書きました。日本では性や生殖を教育することはタブー視されるところがあり、近年啓蒙を進める動きもありますが、性や生殖に対する知識は先進国の中では最低レベルであるのが実情です。これは教育の問題といえるでしょう。
リプロダクティブ・ヘルスあるいはリプロダクティブ・ライツは「女性は自分の産みたい時に産み、産みたくない時には産まないことが当然の権利である」(1994年カイロ宣言)ということでしょう。女性が活躍する日本の社会では、結婚、妊娠、出産が遅くなる傾向が否めず、有職率の増加は、出生率の低下さらに不妊治療の患者さんの高齢化に繋がっていると言わざるを得ません。
このような教育の問題、社会の問題のある中、プレコンセプションケアの重要性が認識され、いわゆる社会的卵子凍結が注目を集め、本書でも取り上げました。いずれにせよ生殖医療に携わる我々は患者さんのリプロダクティブ・ヘルスを守るため全力を尽くすもので、本書もその一助となることを目指しております。しかしながらARTはいわば「伝家の宝刀」であり、ARTなくしては生殖ができなくなっては、人類も絶滅危惧種になってしまいます。
教育や社会の問題を改善し、働きながら妊娠、出産、育児が安心してできる環境を整えることが少子化を乗り越えて明るい日本の未来を保証すると、生殖医療に携わる者も忘れてはならないでしょう。
2024年3月
山王病院 名誉病院長 リプロダクション・婦人科内視鏡治療センター
堤 治
評者:大須賀 穣(東京大学産婦人科教授、東京大学医学部附属病院副院長)
山王病院はわが国の体外受精を創世期より支え、先頭に立って牽引してきた歴史をもつ。
本書は山王病院が総力をあげて編纂された生殖医療のバイブルともいえる。監著者の堤治氏は東京大学産婦人科学講座の教授として国際的に高く評価される研究業績を数多くあげ、その後に山王病院の院長として長年にわたり多くの患者さんに良質で、かつ各個人に最適の生殖医療を実践されてきた経験をもつ名医である。編著者である久須美真紀氏、猪鼻達仁氏はともに生殖医療の領域では有名な2人であり、堤氏が率いる山王病院で堤氏の配下として同院の生殖医療を発展させてきた。
現代において最善の生殖医療には産婦人科医、泌尿器科医、麻酔科医、胚培養士、看護師等メディカルスタッフのチームワークが不可欠である。本書はこれらの医療者すべての観点が盛り込まれており、類書を見ないバランスのとれたテキストブックとして仕上がっている。まさに山王病院の優れたチームワークが如実に表れた良書といえる。
各項目は要点を絞って簡潔にまとめられており、初学者にも読みやすく構成されている。実践的手技についてはFlowChartとしてステップごとにかゆいところに手が届く記載がなされており、そのまま明日からの臨床で使用できる。
またBackgroundにおいては基本的医学知識があれば理解できる平易な解説であり、理解に苦労することがない。特に、現在は先進医療として行われている様々な治療法を短時間で理解できるので、生殖医療専門医取得前の医師や生殖医療に関わるメディカルスタッフにもお勧めできる。
また、本書の特徴としてQRコードですぐに参照できる動画が付属している。いずれも短時間でかつ無駄のない動画であり、本書の内容をきわめて効率よく補完している。
本書は通読するのも良し、必要な時に必要な箇所を参照するも良し、で読者の我がままで多様な要望に応えてくれる名著であり、生殖医療に関わる者は是非座右に置いておきたい一冊である。
山王病院はわが国の体外受精を創世期より支え、先頭に立って牽引してきた歴史をもつ。
本書は山王病院が総力をあげて編纂された生殖医療のバイブルともいえる。監著者の堤治氏は東京大学産婦人科学講座の教授として国際的に高く評価される研究業績を数多くあげ、その後に山王病院の院長として長年にわたり多くの患者さんに良質で、かつ各個人に最適の生殖医療を実践されてきた経験をもつ名医である。編著者である久須美真紀氏、猪鼻達仁氏はともに生殖医療の領域では有名な2人であり、堤氏が率いる山王病院で堤氏の配下として同院の生殖医療を発展させてきた。
現代において最善の生殖医療には産婦人科医、泌尿器科医、麻酔科医、胚培養士、看護師等メディカルスタッフのチームワークが不可欠である。本書はこれらの医療者すべての観点が盛り込まれており、類書を見ないバランスのとれたテキストブックとして仕上がっている。まさに山王病院の優れたチームワークが如実に表れた良書といえる。
各項目は要点を絞って簡潔にまとめられており、初学者にも読みやすく構成されている。実践的手技についてはFlowChartとしてステップごとにかゆいところに手が届く記載がなされており、そのまま明日からの臨床で使用できる。
またBackgroundにおいては基本的医学知識があれば理解できる平易な解説であり、理解に苦労することがない。特に、現在は先進医療として行われている様々な治療法を短時間で理解できるので、生殖医療専門医取得前の医師や生殖医療に関わるメディカルスタッフにもお勧めできる。
また、本書の特徴としてQRコードですぐに参照できる動画が付属している。いずれも短時間でかつ無駄のない動画であり、本書の内容をきわめて効率よく補完している。
本書は通読するのも良し、必要な時に必要な箇所を参照するも良し、で読者の我がままで多様な要望に応えてくれる名著であり、生殖医療に関わる者は是非座右に置いておきたい一冊である。