橈骨遠位端骨折 −進歩と治療法の選択−

治療者が知りたい情報を網羅。日常診療での治療法選択に必携。

編 者 斎藤 英彦 / 森谷 浩治
定 価 10,450円
(9,500円+税)
発行日 2010/06/30
ISBN 978-4-307-25147-1

B5判・296頁

在庫状況 なし

橈骨遠位端骨折に対する種々の治療法をそれぞれの第一人者が紹介、解説した。橈骨遠位端骨折の歴史的趨勢、分類から、治療成績評価法や最新の治療法、リハビリテーションまで、治療者が知りたい情報を網羅した。日常診療で遭遇する橈骨遠位端骨折に対する適切な治療法の選択および実施に必携。整形外科医、外科医のみならず、コメディカルにも役立つ一冊。
第I章 総論
 1.橈骨遠位端骨折治療の歴史的変遷
  a 橈骨遠位端骨折が認知されるまで
  b 多様な骨折型
  c 金属製・木製副子による古典的治療
  d RontgenによるX線の発見以降
  e Mathijsenによるギプス包帯の発明以降
  f 経皮鋼線刺入
  g 上肢への創外固定器の導入
  h ブームを引き起こしたnon-bridging型創外固定器
  i 36年前に日本で開発されたロッキングプレート
  j AOグループによる強固な内固定材の開発
  k 短命に終わった背側プレート
  l fragment specific fixation(骨片特定固定法)
  m 関節鏡視下整復術
  n 変革をもたらした掌側ロッキングプレート
  o さらなる発展への模索
 2.橈骨遠位端骨折の疫学
  a 発生率
  b 受傷背景
  c 危険因子
  d その他
 3.橈骨遠位端部の解剖学的特徴と骨折
  a 解剖学的特徴
  b X線学的解剖
  c 手関節の生体力学
 4.橈骨遠位端骨折の画像所見
  a 単純X線撮影、CT撮影の指示のポイント
  b 単純X線像読影のポイント
  c CT撮影の目的と読影のポイント
  d MRIの目的とその限界
 5.橈骨遠位端骨折の分類
  a 文献に基づく冠名骨折の定義
  b 古典的な分類法
  c 代表的な分類法
  d 関節外骨折に有用な分類法
  e 関節内骨折に有用な分類法
  f 小児の骨折の分類
  g 日常診療でどの分類法を用いるべきか
 6.合併する軟部組織損傷(TFCC損傷、SL靱帯損傷)の診断
  a 橈骨周囲の軟部組織
  b TFCC損傷
  c 舟状月状骨靱帯損傷
  d 月状三角骨靱帯損傷

第II章 治療法
 A.治療法の選択
  1 生活スタイル・年齢による治療法の選択方針
  2 骨折型別の治療法の適応
  3 橈骨遠位端開放骨折
  4 多発外傷、多発骨折に伴う橈骨遠位端骨折
 B.治療原則
 C.保存療法
  1 保存療法の適応と禁忌
  2 保存療法での整復・固定法
  3 固定肢位の考え方と実際
  4 保存療法の限界
  5 小児の橈骨遠位端骨折の治療
  6 緊急避難的治療としてのpins & plaster法
 D.観血的治療法
  1 保存的治療法の延長線上の治療法としての鋼線固定法
  2 鏡視下整復固定術
  3 創外固定
  4 プレート固定
  5 髄内釘などの新しい方法(Micronail)
  6 高齢者に対する骨セメントによるinstant bone fixation
  7 橈骨遠位端骨折に合併する三角線維軟骨複合体損傷および手根骨間靱帯損傷に対する治療

第III章 特殊な骨折型別の治療法
 1.Barton・chauffeur合併骨折
 2.AO分類C3のような高度粉砕橈骨遠位端骨折治療

第IV章 橈骨遠位端骨折のリハビリテーション
 a 必要な情報および評価
 b 患部以外の訓練
 c 浮腫への対応
 d 手関節・前腕の訓練
 e 治療成績

第V章 治療中に発生する合併症とその対策
 a 皮膚合併症
 b 腱合併症
 c 神経・血管合併症

第VI章 変形治癒例に対する治療
 a 変形治癒に対する治療法の歴史的変遷
 b 手術適応
 c 手術時期
 d 手術方法

第VII章 治療成績評価法
 a 医師側からの評価法
 b 患者側からの評価
 c 医師側からの評価法と患者側からの評価法の相関
 d X線評価と機能評価との相関
 e 評価時期
 f 2010年森谷・斎藤評価法(MS-2010)