患者・市民のための膵がん診療ガイド 2026年版 第5版

膵がんを知る・理解するためのやさしい解説書、パワーアップして登場!

編 集 日本膵臓学会 膵癌診療ガイドライン改訂委員会
定 価 2,750円
(2,500円+税)
発行日 2026/09/28
ISBN 978-4-307-20504-7

B5判・264頁

在庫状況 なし

“膵がんガイド”がパワーアップして帰ってきた ! 膵がん患者さんとそのご家族の方から寄せられる疑問にお答えするとともに、検査や治療などの際に参照していただけるよう、イラストや画像を交えてやさしく解説しています。診断に用いられる検査や分子標的薬・免疫チェックポイント阻害薬の動向など、膵がん診療における最新情報もアップデート。お家や病院など、様々な場面にお使いいただける一冊です。
・本書のご利用にあたって

◆膵がん診療の流れ(アルゴリズム)
膵がん診断の流れ(アルゴリズム)
膵がん治療の流れ(アルゴリズム)
膵がん薬物療法の流れ(アルゴリズム)
膵がんプレシジョンメディスン(個別化医療)の流れ(アルゴリズム)

◆第1章:膵がんと診断されたら(膵がんについて)
Q1-1 膵がんとはどのような病気なのでしょうか?
Q1-2 膵がんになるとどんな症状が現れますか?
Q1-3 膵がんは遺伝するのでしょうか?

◆第2章:膵がんがわかるまで(膵がんの診断に必要な検査)
Q2-1 人間ドックや検診で膵臓を調べることはできますか? また異常がみつかったら、どうしたらよいでしょうか?
Q2-2 膵がんかどうか調べるための検査について教えてください。
Q2-3 膵がんの検査は安全ですか? リスクはありませんか?
Q2-4 検査の結果「経過観察」と言われました。どうしたらよいでしょうか?
Q2-5 ゲノム診断、遺伝子パネル、ゲノム医療という言葉を耳にします。膵がんとどう関係がありますか?
コラム1 病院と診療所の連携を生かした「膵がん早期診断プロジェクト」
コラム2 家族性膵がんについて

◆第3章:膵がんと診断されたときによくある質問
Q3-1 膵がんといわれました。何から考えてよいかわかりません。どうしたらよいでしょうか?
Q3-2 良い病院、良い担当医の選び方を教えてください。
Q3-3 担当の先生と話し合うとき、準備しておくことはありますか?
Q3-4 これから受ける検査や治療が不安です。別の病院に相談に行きたいのですが、どうすればよいでしょうか?
Q3-5 治療に関する費用や仕事のことが心配です。どこに相談すればよいでしょうか?
Q3-6 膵がんに関する情報はどこで入手できますか?
Q3-7 喫煙や飲酒、食事はどのようにすればいいのでしょうか?
Q3-8 病気やこれからの生活・治療について家族や医療者に相談したいのですが、どうすればよいでしょうか?
Q3-9 緩和ケアとはどういうものですか? いつから始めるのがよいでしょうか?
Q3-10 心のつらさについて相談したいのですが、どうしたらよいでしょうか?
コラム3 標準治療について
コラム4 臨床試験について

◆第4章:膵がんの治療
【I.概論】
Q4-1 膵がんの進行の状況はどのように知ることができますか?
Q4-2 膵がんにはどんな種類の治療があるのでしょうか?
Q4-3 高齢者の場合、年齢により治療法を考慮する場合はありますか?
Q4-4 治療はいつまで続けるのでしょうか? 効果がなくなったときや、再発・再燃したときはどうなりますか?

【II.外科的治療法】
Q4-5 根治を目指した外科治療の流れを教えてください。
Q4-6 切除可能膵がんと診断された場合の補助療法(化学療法)について教えてください。
Q4-7 切除可能境界膵がんと診断された場合の補助療法(化学療法)について教えてください。
Q4-8 外科手術の種類はどのようなものがありますか?
Q4-9 外科治療をする場合の入院期間、合併症、費用などを教えてください。
Q4-10 外科手術後に血糖値の調節が必要ですか?
Q4-11 外科治療後の日常生活、通院などについて教えてください。

【III.放射線療法】
Q4-12 放射線療法とはどのような治療法ですか? どのような種類がありますか?
Q4-13 放射線療法の線量について教えてください。
Q4-14 ハイパーサーミア(温熱療法)とは何ですか? 膵がんにも効果はあるのでしょうか?

【IV.化学療法】
Q4-15 化学療法とはどのような治療法ですか? どのような種類がありますか?
Q4-16 切除不能膵がんの一次化学療法について教えてください。
Q4-17 切除不能膵がんの二次化学療法について教えてください。
コラム5 分子標的薬・免疫チェックポイント阻害薬について
コラム6 次世代の治療法(研究段階の治療)

◆第5章:支持緩和療法1 ステント治療
Q5-1 “ステント治療” が必要と言われました。どのような治療法なのでしょうか?
Q5-2 ステント治療を行っても、安全に化学療法や放射線療法は受けられますか?

◆第6章:支持緩和療法2 その他の症状や副作用の治療
Q6-1 痛みがありますが、とれますか?
Q6-2 痛み以外の症状とその対処法を教えてください。
Q6-3 化学療法の副作用とその対処法を教えてください。

◆第7章:治療の終了について
Q7-1 「もう治療法がない」と言われました。心が揺れ動くときにどうすればよいでしょうか?
Q7-2 ホスピスや緩和ケア病棟はどのように探していけばよいでしょうか。

◆第8章:生活上のアドバイス
Q8-1 運動療法やリハビリテーションを行うことがあると聞きました。どのような場合に行うのでしょうか?
Q8-2 補完代替療法(サプリメント、漢方など)について教えてください。
Q8-3 家族はどのように支えていけばよいのでしょうか?

・用語集
・主な薬剤一覧
・おわりに
・索引
はじめに

 私が医師になった1990年、初めて担当した患者さんは、膵がんの患者さんでした。すでに手術ができない状態であり、当時は有効な薬物療法も十分に確立されていませんでした。医師になったばかりの私は、患者さんとご家族の不安や苦悩に寄り添うことしかできなかったことを、今でも鮮明に覚えています。
 それから36年、膵がんを取り巻く環境は少しずつ変化してきました。年間の膵がん患者数は当時の約15,000人から45,000人を超えるまでに増加し、がんによる年間死亡者数でも、2021年には肝がん、2023年には胃がんを上回り、3番目となりました。膵がんは、今なお早期発見が難しく、治療にも多くの課題が残されているがんの一つです。一方で、診断技術や薬物療法の選択肢は徐々に広がり、がんゲノム医療など新たな取り組みも進められています。
 日本膵臓学会は、わが国における膵がん診療の質を高め、患者さんの治療成績の向上につなげることを目指し、2006年に初めて医療従事者向けの『膵癌診療ガイドライン』を刊行しました。その後も改訂を重ね、2025年版では、早期診断、がんゲノム医療をはじめとする個別化医療、高齢者への対応、低侵襲治療、支持療法など、最近の知見を取り入れています。また、患者・市民の皆さんがガイドラインの作成過程に参画する取り組みも進み、2025年版では、患者・市民グループから寄せられた疑問が正式なClinical Questionとして採用されました。
 私たちは、一般の方々に膵がんについて正しく知っていただくことも重要な使命の一つと考えています。このたび、『膵癌診療ガイドライン 2025年版』をもとに、『患者・市民のための膵がん診療ガイド』を3年ぶりに改訂しました。本書では、最近の知見をふまえ、膵がんとはどのような病気なのか、どのような検査や治療が行われるのか、そして治療後の生活をどのように考えていけばよいのかを、できるだけわかりやすくまとめています。
 膵がんについて知ることは、病気への理解を深め、医療者と相談しながら、ご自身にとって大切なことを考え、治療を選択していくための第一歩となります。本書が、患者さんとご家族が膵がんをよく知り、病気と向き合っていくための一助となれば幸いです。
 最後に、本書の改訂にあたり、多大なるご尽力をいただいた作成委員の先生方をはじめ、関係者の方々に、心より御礼申し上げます。

2026年9月
一般社団法人 日本膵臓学会 理事長
正宗 淳