臨床・病理 脳腫瘍取扱い規約 第5版

最新のWHO分類に準拠。下垂体腫瘍の分類を含めた大改訂!

編 集 日本脳神経外科学会 / 日本病理学会
定 価 13,200円
(12,000円+税)
発行日 2023/10/27
ISBN 978-4-307-20463-7

B5判・284頁・図数:3枚・カラー図数:240枚

在庫状況 あり

5年ぶりの改訂となる第5版では、遺伝子異常に基づく分子診断への傾向がさらに強まった2021年WHO中枢神経系腫瘍分類に準拠した。下垂体腫瘍が「下垂体神経内分泌腫瘍・下垂体NET(PitNET)」として、2022年WHO内分泌/神経内分泌腫瘍分類で扱われるようになったことに伴い、本書でも独立した項目として記載。最新の脳腫瘍全国集計調査報告結果も必見。脳腫瘍診療に携わるすべての医療者に必携の一冊。
第1部 脳腫瘍分類および臨床画像診断

I 脳腫瘍の分類
II 脳腫瘍の疫学
 1 日本の脳腫瘍の罹患率
 2 組織別の年間罹患数
 3 脳腫瘍の予後
III 脳腫瘍の診断
 1 画像診断
 2 脳腫瘍診断・治療成績の用語の定義
 3 治療効果の判定方法

第2部 脳腫瘍診断・病理カラーアトラス

I 中枢神経系腫瘍分類
II 脳腫瘍の分子診断
 1 分子遺伝学的解析
 2 分子診断各論
 3 がんゲノムプロファイリング検査
III 脳腫瘍の病理診断
 1 手術材料の取り扱い・切り出し
 2 組織所見・組織学的悪性度
 3 迅速診断
 4 細胞診
 5 電子顕微鏡
 6 免疫組織化学
IV 組織型の解説とカラーアトラス
 1 Gliomas, glioneuronal tumors, and neuronal tumors 膠腫、グリア神経細胞系腫瘍、神経細胞系腫瘍
 2 Choroid plexus tumors 脈絡叢腫瘍
 3 Embryonal tumors 胎児性腫瘍
 4 Pineal tumors 松果体腫瘍
 5 Cranial and paraspinal nerve tumors 脳神経および脊髄神経腫瘍
 6 Meningioma 髄膜腫
 7 Mesenchymal, non-meningothelial tumors involving the CNS 中枢神経系の間葉系、非髄膜性腫瘍
 8 Melanocytic tumors メラニン細胞系腫瘍
 9 Hematolymphoid tumors involving CNS中枢神経系の血液リンパ系腫瘍
 10 Germ cell tumors 胚細胞腫瘍
 11 Tumors of the sellar region トルコ鞍部腫瘍
 12 Cystic lesions 嚢胞性病変
 13 Metastases to CNS中枢神経系への転移

第3部 脳腫瘍の治療法

I 手術
 1 治療目的の手術
 2 診断目的の手術
II 脳腫瘍局所療法と病理変化
 1 カルムスチン徐放性ポリマー
 2 Photodynamic therapy(PDT)
 3 ウィルス療法
 4 Convection-enhanced delivery(CED)
III 放射線治療
 1 中枢神経系への照射における放射線治療に関する分類と用語
 2 線量分割に関連する用語
 3 放射線療法の有害事象
 4 有害事象の対策
 5 放射線壊死
IV 化学療法
 1 化学療法剤
 2 化学療法耐性に関与する因子
V 分子標的薬
 1 化学療法剤
 2 化学療法耐性に関与する因子
VI 免疫療法
 1 抗血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)抗体
 2 ブルトン型チロシンキナーゼ(Bruton’s tyrosine kinase:BTK)阻害剤
 3 トロポミオシン受容体キナーゼ(tropomyosin receptor kinase:TRK)阻害剤
 4 mTOR(mammalian target of rapamycin)阻害剤
 5 ほかの分子標的薬剤
VI 免疫療法
 1 がん関連抗原を用いた免疫療法
 2 エフェクター細胞療法(養子免疫細胞療法・T細胞輸注療法)
 3 免疫抑制阻害療法
VII NovoTTF
 1 TTFieldsとは
 2 エビデンス
VIII 脳腫瘍ガイドラインの制定
IX 脳脊髄腫瘍種類別治療法
 1 膠芽腫
 2 Grade 2/3 神経膠腫
 3 上衣腫
 4 中枢神経系原発悪性リンパ腫
 5 転移性脳腫瘍
 6 中枢神経原発胚細胞腫
 7 髄芽腫
 8 Diffuse midline glioma
 9 視神経膠腫・毛様細胞性星細胞腫
 10 髄膜腫
 11 神経鞘腫
 12 頭蓋咽頭腫
 13 脊髄髄内・髄外腫瘍
X 各種スケール・分類表
 1 グリオーマの病期分類
 2 中枢神経系悪性リンパ腫の病期分類
 3 頭蓋内胚細胞性腫瘍
 4 髄芽腫の分類
 5 髄膜腫のSimpson分類
 6 下垂体神経内分泌腫瘍の病期分類
 7 聴神経腫瘍の病期分類
 8 転移性脳腫瘍

第4部 下垂体腫瘍

I 下垂体腫瘍
 1 病理検査のために
 2 Anterior neuroendocrine neoplasms 下垂体前葉神経内分泌腫瘍
 3 Other anterior pituitary tumors その他の下垂体前葉腫瘍
 4 Posterior pituitary and hypothalamic neoplasms 下垂体後葉、視床下部腫瘍
 脳腫瘍取扱い規約は1995年に初版が作成されて以来、その時代の最新の知見を取り入れながら改訂を重ね、今版で第5版となる。引き続き日本脳神経外科学会と日本病理学会の連携で改訂作業が行われ発刊の運びとなった。前回2018 年の第4 版では、脳腫瘍WHO 分類の2016 年版の改訂に伴い遺伝子異常に基づく分子診断が取り入れられたことが大きな改訂点であった。その後2021 年に脳腫瘍WHO分類の第5版が発刊され、遺伝子異常に基づく分子診断の傾向がさらに強まった大幅な内容変更が行われた。様々な腫瘍で分子診断が行われ、脳腫瘍の診断のためにはその知識が必須のものとなった。腫瘍型の数は整理され前版より少なくなったが、例えば神経膠腫では小児の腫瘍と成人の腫瘍が明確に分けられるなど、22の腫瘍型が新規に採用された。悪性度についても、これまで腫瘍横断的指標であったものが、腫瘍型ごとに設定されるようになり、同一悪性度であっても腫瘍によって予後が異なることを認めるようになった。そのため、悪性度表示もローマ数字からアラビア数字に変更されている。これらの変更に呼応するべく、脳腫瘍取扱い規約第5版では、脳腫瘍WHO分類の第5版に対応して改訂が進められた。

 本取扱い規約が、第1部「脳腫瘍の分類および臨床画像診断」、第2部「脳腫瘍診断・病理カラーアトラス」、第3部「脳腫瘍の治療法」で構成されているのは前版までを踏襲している。今回、下垂体腫瘍は第4部「下垂体腫瘍」として外出しとなった。これは他臓器の神経内分泌腫瘍の分類に合わせ下垂体腺腫についてもWHO 2022 Endocrine Tumors で詳細に記載されるようになり、下垂体神経内分泌腫瘍(Pituitary Neuroendocrine Tumor、 PitNET)へ名称が変更されたことを反映している。

 以上のように大幅な改訂を施した今回の脳腫瘍取扱い規約第5版が、脳腫瘍の診断と治療、そして研究に従事される皆さまの座右の書として役立つことを大いに期待している。

 最後に本規約の作成にあたり、多大なご尽力をいただいた執筆者ならびに金原出版の皆さまに深く感謝申し上げる。

2023年10月
脳腫瘍取扱い規約改訂委員会
齊藤 延人、成田 善孝、園田 順彦、小森 隆司、横尾 英明、田中 伸哉、柴原 純二