膵癌診療ガイドライン 2022年版 第6版

膵癌診療に携わる医療者必携のガイドライン、待望の第6版!

編 集 日本膵臓学会膵癌診療ガイドライン改訂委員会
定 価 3,960円
(3,600円+税)
発行日 2022/07/12
ISBN 978-4-307-20454-5

B5判・400頁・図数:14枚・カラー図数:4枚

在庫状況 あり

第6版では近年の膵癌診療で大きな柱となりつつある、遺伝子・バイオマーカーを用いた診断・治療に関するCQとアルゴリズムを新設。リスクファクターからの精査・経過観察、高齢者膵癌に関するCQなども新たに加わり、計73のCQを収載している。また、患者・市民が立案段階から積極的に参画し、要望に基づくコラムを作成した。診断・治療に関する最新のエビデンスに基づき、膵癌とたたかう患者の意向も取り入れて作成された、医療者必携の一冊。
略語一覧

本ガイドラインについて
 1.本ガイドラインの目的
 2.改訂の目的
 3.本ガイドラインの適応が想定される対象者、および想定される利用対象者
 4.本ガイドラインを使用する場合の注意事項
 5.改訂ガイドラインの特徴
 6.エビデンス収集方法(文献検索)・採用基準
 7.システマティックレビューの方法
 8.推奨決定の方法
 9.患者・市民参画の推進と患者・市民グループの役割について
 10.ガイドライン改訂作業の実際
 11.外部評価およびパブリックコメント
 12.今後の改訂
 13.ガイドラインのモニタリング
 14.資金
 15.利益相反に関して
 16.ガイドライン普及と活用促進のための工夫
 17.患者・市民向け解説書
 18.協力者
 19.参考文献

CQ・ステートメント一覧

総論
 1.診断
 2.外科的治療法
 3.補助療法
 4.放射線療法
 5.化学療法
 6.ステント療法
 7.支持・緩和療法

アルゴリズム
 CQ 略号凡例・早見表
 診断アルゴリズム
 治療アルゴリズム
 化学療法アルゴリズム
 プレシジョンメディスンアルゴリズム

各論
I 診断法(Diagnosis)
1.診断法(Diagnosis)
  D1  糖尿病患者の新規発症・増悪に対して、膵癌の可能性を考慮した精査が推奨されるか?
  D2  慢性膵炎患者に対して、膵癌発生の可能性を考慮した経過観察は推奨されるか?
  D3  膵管内乳頭粘液性腫瘍の患者に対して、併存膵癌の可能性を考慮した精査・経過観察が推奨されるか?
  D4  家族歴・既往歴などから膵癌発症の遺伝性リスクが疑われる未発症者に対して、遺伝学的検査は推奨されるか?
  D5  切除不能膵癌患者に対して、腫瘍組織を用いたがん遺伝子パネル検査は推奨されるか?
  D5L 切除不能膵癌患者に対して、血液検体を用いたがん遺伝子パネル検査は推奨されるか?
  D6  膵癌において生殖細胞系列に関する遺伝子検査は推奨されるか?
  D7  がん遺伝子パネル検査などで膵癌患者に生殖細胞系列あるいは生殖細胞系列由来を疑う病的バリアントを認めた場合、患者に遺伝相談は推奨されるか?
  D8  がん遺伝子パネル検査などで膵癌患者に生殖細胞系列あるいは生殖細胞系列由来を疑う病的バリアントを認めた場合、血縁者に遺伝相談は推奨されるか?
  D9  膵癌を疑った場合、腹部超音波検査(US)は診断法として推奨されるか?
  D10 膵癌を疑った場合、腹部MRIは診断法として推奨されるか?
  D11 膵癌を疑った場合、超音波内視鏡(EUS)は診断法として推奨されるか?
  D12 膵癌を疑った場合、次のステップとして内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)は推奨されるか?
  D13 膵癌を疑った場合、FDG-PETは診断法として推奨されるか?
  D14 膵腫瘤が認められる場合に、EUS-FNAは病理診断法として推奨されるか?
  D15 膵腫瘤が認められる場合に、腹部超音波ガイド下穿刺生検は病理診断法として推奨されるか?
  D16 膵癌の遺伝子異常診断として針生検は推奨されるか?
  D17 腫瘤はみられないが膵管の異常所見が認められる場合、ERCPを用いた膵液細胞診は推奨されるか?
  D18 造影MRIは膵癌の病期診断、切除可能性評価に推奨されるか?
  D19 EUSは膵癌の病期診断・切除可能性の評価に推奨されるか?
  D20 FDG-PETは膵癌の病期診断・切除可能性の評価に推奨されるか?
  D21 審査腹腔鏡は遠隔転移を疑う膵癌の病期診断の評価に推奨されるか?
  D22 膵癌患者の術前に血液生化学的所見を組み合わせた栄養評価や体組成(筋肉・脂肪量など)の評価を行うことは推奨されるか?

II 治療法(Treatment)
1.切除可能(Resectable)膵癌の治療法〔R〕
A 外科的治療法(Operation)〔O〕
  RO1  膵癌では手術例数の多い施設で外科的治療を受けることが推奨されるか?
  RO2  腹腔洗浄細胞診陽性膵癌に対する外科的治療は推奨されるか?
  RO3  膵癌に対する門脈合併切除は推奨されるか?
  RO4  膵癌に対する予防的拡大リンパ節・神経叢郭清は推奨されるか?
  RO5  膵頭十二指腸切除の適応のある浸潤性膵管癌に対して、低侵襲膵頭十二指腸切除は推奨されるか?
  RO6  膵体尾部切除術の適応のある浸潤性膵管癌に対して、低侵襲膵体尾部切除術は推奨されるか?
  RO7  膵癌の切除後5年以上の定期的な経過観察は推奨されるか?
  RO8  術前・術後の膵酵素補充療法は推奨されるか?
  RO9  80歳以上の高齢者膵癌に対して外科的治療は推奨されるか?
  RO10 膵癌に対する治癒切除のための膵全摘術は推奨されるか?
B 補助療法(Adjuvant)〔A〕
  RA1  切除可能膵癌に対して術前補助療法は推奨されるか?
  RA2  膵癌の術後補助化学療法は推奨されるか?

2.切除可能境界(Borderline Resectable)膵癌の治療法〔B〕
A 外科的治療法(Operation)〔O〕
  BO1  切除可能境界膵癌に対して外科的治療は推奨されるか?
  BO2  切除可能境界膵癌に対して動脈合併切除は推奨されるか?
B 補助療法(Adjuvant)〔A〕
  BA1  切除可能境界膵癌に対して、術前補助療法は何が推奨されるか?
  BA2  切除可能境界膵癌に対して、術後補助化学療法は推奨されるか?

3.局所進行切除不能(Locally Advanced)膵癌の治療法〔L〕
  L1  局所進行切除不能膵癌に対して一次治療は何が推奨されるか?
A 放射線療法(Radiation)〔R〕
  LR1  局所進行切除不能膵癌に対して化学放射線療法は何が推奨されるか?
  LR2  局所進行切除不能膵癌に対する放射線療法として、予防的リンパ節領域照射は推奨されるか?
  LR3  局所進行切除不能膵癌に対して化学放射線療法前の導入化学療法は推奨されるか?
  LR4  痛みを伴う切除不能膵癌に対して、原発巣に対する放射線療法や化学放射線療法は推奨されるか?
  LR5  局所進行切除不能膵癌に対する放射線療法として、高精度放射線治療(強度変調放射線治療、体幹部定位放射線治療、粒子線治療)は推奨されるか?
  LR6  局所進行切除不能膵癌に対する化学放射線療法と併用するハイパーサーミアは推奨されるか?
B 化学療法(Chemotherapy)〔C〕
  LC1  局所進行切除不能膵癌に対して一次化学療法は何が推奨されるか?
  LC2(MC2)  切除不能膵癌に対して二次化学療法は推奨されるか?
  LC3(MC3)  高齢者の進行膵癌に対して一次化学療法は何が推奨されるか?
  LC4(MC4)  生殖細胞系列BRCA1/2の病的バリアントを保有する膵癌に対して化学療法は何が推奨されるか?
C 外科的治療法(Operation)〔O〕
  LO1  初診時切除不能である局所進行膵癌に対する集学的治療後の原発巣切除は推奨されるか?
D 補助療法(Adjuvant)〔A〕
  LA1  初診時切除不能局所進行膵癌に対する原発巣切除後に術後補助化学療法は推奨されるか?

4.遠隔転移を有する(Metastatic)膵癌の治療法〔M〕
A 化学療法(Chemotherapy)〔C〕
  MC1  遠隔転移を有する膵癌に対して一次化学療法は何が推奨されるか?
  MC2(LC2)  切除不能膵癌に対して二次化学療法は推奨されるか?
  MC3(LC3)  高齢者の進行膵癌に対して一次化学療法は何が推奨されるか?
  MC4(LC4)  生殖細胞系列BRCA1/2の病的バリアントを保有する膵癌に対して化学療法は何が推奨されるか?
B 外科的治療法(Operation)〔O〕
  MO1  膵癌の術後転移・再発巣に対して外科的切除は推奨されるか?
  MO2  初診時切除不能である遠隔転移を伴う膵癌に対する集学的治療後の外科的治療は推奨されるか?
C 放射線療法(Radiation)〔R〕
  MR1  痛みを有する膵癌骨転移に放射線療法は推奨されるか?
  MR2  膵癌の術後転移、再発巣に対して放射線療法は推奨されるか?

5.支持・緩和療法(Supportive & Palliative Medicine)
A ステント療法(Stenting)〔SSt〕
  SSt1  切除不能膵癌に対する胆道ドレナージのアプローチ法として内視鏡的経乳頭的ルートは推奨されるか?
  SSt2  閉塞性黄疸を伴う切除可能、あるいは切除可能境界の膵癌に対してメタリックステントは推奨されるか?
  SSt3  閉塞性黄疸を伴う切除不能膵癌に対してカバー付きメタリックステントは推奨されるか?
  SSt4  消化管閉塞を伴う切除不能膵癌に対して、内視鏡的消化管ステント挿入術は推奨されるか?
  SSt5  胃・十二指腸閉塞を合併した膵癌による閉塞性黄疸に対する胆道ドレナージのアプローチ法として内視鏡的経消化管的ルートは推奨されるか?
  SSt6  閉塞性黄疸を伴う切除不能膵癌に対して化学療法、放射線療法を行う際に、メタリックステントは推奨されるか?
B 支持・緩和療法(Supportive & Palliative Medicine)〔SSp〕
  SSp1  膵癌患者・家族の精神・心理的苦痛の軽減を目指した介入は推奨されるか?
  SSp2  がん疼痛がある膵癌患者に、非オピオイド鎮痛薬・オピオイド鎮痛薬、神経ブロック、鎮痛補助薬の使用は推奨されるか?
  SSp3  膵癌患者に対して、運動療法を行うことは推奨されるか?
  SSp4  膵癌患者に対して、術前に運動療法を含むリハビリテーション治療を行うことは推奨されるか?
  SSp5  進行膵癌患者に、アドバンス・ケア・プランニングを行うことは推奨されるか?
  SSp6  FOLFIRINOX療法、ゲムシタビン塩酸塩+ナブパクリタキセル併用療法の末梢神経障害に対して、プレガバリン、デュロキセチン、ミロガバリンは推奨されるか?
  SSp7  化学療法を行う切除不能膵癌患者に、静脈血栓塞栓症予防のための抗凝固療法を行うことは推奨されるか?
  SSp8  進行膵癌患者の悪液質に対して、グレリン受容体作動薬、あるいは必須アミノ酸を中心とする栄養介入と運動介入の併用療法は推奨されるか?
  SSp9  進行膵癌患者の悪性腹水に対する腹部膨満感に対する治療としてCARTは推奨されるか?
  SSp10  医師ががんに関連する重要な話し合いの際のコミュニケーション技術研修(CST)を受けることは推奨できるか?

COLUMN
 COLUMN1  膵癌診療における健診・検診・人間ドックの果たす役割
 COLUMN2  病診連携を生かした膵癌早期診断
 COLUMN3  日本膵臓学会における家族性膵癌レジストリの役割
 COLUMN4  がん遺伝子パネルを用いたがんゲノムプロファイリング検査とは
 COLUMN5  カバー付き胆管金属ステント閉塞時にはステント交換は推奨されるか?
 COLUMN6  ステント留置に伴う急性膵炎、胆嚢炎に対してカバー付き胆管金属ステントを抜去するべきか?
 COLUMN7  膵癌診療ガイドライン2022年版における患者・市民グループの活動について
 COLUMN8  臨床試験―患者市民グループからの提言―
 COLUMN9  患者・家族の情報ニーズへの対応法
 COLUMN10 セカンドオピニオン
 COLUMN11 Electronic patient-reported outcome(ePRO)とは?
 COLUMN12 膵癌患者の心理的・社会的・経済的問題に対する支援

膵癌診療ガイドライン2022年版の外部評価結果
公開前評価結果
あとがき
索引
第6版の序

 膵癌診療ガイドラインは2006年3月に初版が出版され、以後およそ3年ごとに改訂を重ね、2019年7月に第5版が出版されている。わが国のがん診療をとりまく環境は、新しい医療技術の導入や高齢患者の増加など大きく変わりつつある。診断も治療も難しいとされる膵癌に対しては、これらの変化にいかに対応して、最良の医療を提供していくかは他疾患にも増して重要であり、これらの変化に即した指針の提供のため2020年7月に新たに改訂委員会が設立され改訂作業が開始された。
 本ガイドラインの改訂にあたっては、従来からの7つの作成グループ(診断グループ、外科的治療法グループ、補助療法グループ、放射線療法グループ、化学療法グループ、ステント療法グループ、支持・緩和療法グループ)と、ガイドラインの作成方法について委員会全体を俯瞰しながら専門的に作成支援を行う「作成方法論グループ」を前半より設立し、さらに今回からは最近の膵癌診療の大きな柱となりつつある遺伝子やバイオマーカーを用いた診断や治療を専門的に扱う「プレシジョンメディスングループ」、そして患者・市民参画をこれまで以上に推進するための「患者・市民グループ」を設けた。改訂の具体的な作業は、作成方法論グループの指導を受けながら「Minds 診療ガイドライン作成マニュアル2020」にできるだけ忠実に従った。文献検索は今回も日本医学図書館協会の協力により、本ガイドラインに精通した図書館司書が実施した。改訂作業の過程では各種のテンプレートが改訂委員により作成されており、インターネット上で「膵癌診療ガイドライン2022年版・詳細資料」として公開する予定である。
 本改訂では、日本膵臓学会より委嘱を受けた内科、放射線科、外科、臨床腫瘍、緩和療法、精神腫瘍学、リハビリテーション、栄養学、ガイドライン作成支援、など多領域の医師、がん専門看護師、がん専門薬剤師、臨床心理士、医療ソーシャルワーカーなどの多職種の医療者、および患者・市民ら55名が改訂委員として参画し、さらに作成協力者60名、Mindsからのアドバイザー4名、図書館司書2名、査読・校正にご協力いただいた患者会メンバー、事務局、出版社担当者らを合わせた総勢140名体制で議論と修正を重ね、体系化された指針を作成することに努めた。患者・市民委員4名と医療者4名からなる患者・市民グループがこれらの作成に多角的に参画した点は本版の特記事項の1つと考えられ、詳細は本書内に記述した。2つの外部評価委員会とパブリックコメントからは多くのご意見をいただき、再検討ののち修正を加えて最終化を行った。外部評価委員会からはおおむね高い評価をいただいており、審査結果は巻末に公表した。
 このガイドラインが、膵癌に関わる医療者、そして患者さん、ご家族の支えになることを心より祈念するとともに、ご指導とご支援をいただいた関係者の皆様にこの場を借りて御礼申し上げる。