乳癌診療ガイドライン2 疫学・診断編 2022年版 第5版

4年ぶりの全面改訂! 医療者と患者のShared Decision Makingを実現

編 集 日本乳癌学会
定 価 4,950円
(4,500円+税)
発行日 2022/07/04
ISBN 978-4-307-20442-2

B5判・408頁・図数:25枚・カラー図数:122枚

在庫状況 あり

乳癌の疫学・予防、検診・画像診断、病理診断に関する臨床議題をバックグラウンドクエスチョン(BQ)・クリニカルクエスチョン(CQ)・フューチャーリサーチクエスチョン(FRQ)に分類し、それぞれの科学的根拠、益と害のバランス、患者の希望の一貫性、経済的視点などを踏まえて作成された最新の診療指針。計18項目の総説、および65項目のBQ、CQ、FRQを掲載。医療者と患者のShared Decision Making実現に必携の一冊。
■乳癌診療ガイドライン2022年版作成にあたって

疫学・予防

1.疫学総論
 総説1 日本人女性の乳癌罹患率、乳癌死亡率の推移
 総説2 日本人女性と欧米人女性の乳癌予後の比較
 総説3 生理・生殖に関する因子と乳癌発症リスクとの関連
2.乳癌発症リスク― (1)生活習慣・環境因子
 総説4 食事関連因子と乳癌発症リスクの関連
 BQ1 アルコール飲料の摂取は乳癌発症リスクを増加させるか?
  BQ1a 閉経前女性の場合
  BQ1b 閉経後女性の場合
 BQ2 喫煙(受動喫煙含む)は乳癌発症リスクを増加させるか?
 BQ3 乳製品の摂取は乳癌発症リスクを減少させるか?
 BQ4 コーヒーの摂取は乳癌発症リスクを減少させるか?
 BQ5 大豆、イソフラボンの摂取は乳癌発症リスクを減少させるか?
 BQ6 サプリメントの服用は乳癌発症リスクを減少させるか?
 BQ7 肥満は乳癌発症リスクと関連するか?
  BQ7a 閉経前女性の場合
  BQ7b 閉経後女性の場合
 BQ8 運動は乳癌発症リスクを減少させるか?
  BQ8a 閉経前女性の場合
  BQ8b 閉経後女性の場合
 BQ9 夜間勤務は乳癌発症リスクを増加させるか?
 BQ10 乳癌発症リスクに関連する心理社会的要因はあるか?
3.乳癌発症リスク― (2)既往症・家族歴
 BQ11 放射線被曝は乳癌発症リスクを増加させるか?
 BQ12 良性乳腺疾患は乳癌発症リスクを増加させるか?
 BQ13 乳癌家族歴は乳癌発症のリスク因子となるか?
4.乳癌発症リスク― (3)合併疾患・治療薬
 BQ14 糖尿病の既往は乳癌発症リスクを増加させるか?
 BQ15 スタチンの服用は乳癌発症リスクを減少させるか?
 CQ1 低用量経口避妊薬(OC)や低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)の使用は乳癌発症リスクを増加させるか?
 CQ2 閉経後女性ホルモン補充療法(HRT)は乳癌発症リスクを増加させるか?
 FRQ1 不妊治療における排卵誘発は乳癌発症リスクを増加させるか?
5.乳癌発症リスクの評価と化学予防
 FRQ2 日本人の乳癌発症リスク評価として遺伝子多型情報を用いたモデルは有用か?
 BQ16 マンモグラフィの乳房構成は乳癌発症リスクと関連するか?
 BQ17 乳癌の発症を予防するための薬剤を投与することは有用か?
6.癌遺伝子診断と乳癌発症予防
 総説5 遺伝性乳癌と遺伝学的検査、遺伝カウンセリング
 CQ3 BRCA病的バリアントをもつ女性にリスク低減乳房切除術(RRM)は勧められるか?
 CQ4 BRCA病的バリアントをもつ女性にリスク低減卵管卵巣摘出術(RRSO)は勧められるか?
 CQ5 BRCA病的バリアントをもつ乳癌患者に乳房温存療法は勧められるか?
 FRQ3 BRCA病的バリアントを有する乳癌患者に対し予防的内分泌療法は勧められるか?
 FRQ4 乳癌未発症のBRCA病的バリアント保持者に対し予防的内分泌療法は勧められるか?
7.乳癌患者の生活習慣・環境因子と予後の関連
 総説6 ライフスタイルと乳癌予後との関連
 BQ18 妊娠期・授乳期の乳癌は予後が不良か?
  BQ18a 妊娠期の場合
  BQ18b 授乳期の場合
 CQ6 肥満は乳癌患者の予後に影響を及ぼすか?
  CQ6a 乳癌診断時の肥満
  CQ6b 乳癌診断後の肥満
 CQ7 乳癌初期治療後の食事による脂肪摂取は乳癌患者の予後に影響を及ぼすか?
 CQ8 乳癌患者に対して身体活動を高く維持することは勧められるか?
 CQ9 アルコールの摂取は乳癌患者の予後と関連するか?
 CQ10 喫煙は乳癌患者の予後と関連するか?
 CQ11 食事によるイソフラボン摂取は乳癌患者の予後に影響を及ぼすか?
 CQ12 乳製品の摂取は乳癌患者の予後に影響を及ぼすか?
8.乳癌患者に対する心理的サポート
 CQ13 心理社会的介入は乳癌患者に有用か?

検診・画像診断

1.検診
 総説1 乳がん検診とブレスト・アウェアネス
 総説2 検診・診断カテゴリーとPPV3
 CQ1 Hand-Held(用手的)超音波検査は乳がん検診として推奨されるか?
 FRQ1 マンモグラフィの乳房構成の判定に自動測定ソフトを用いることは有用か?
 FRQ2 マンモグラフィ乳がん検診において読影AIソフトウェアを併用することは有用か?
2.サーベイランス
 総説3 BRCA遺伝学的検査とサーベイランスについて
 CQ2 BRCA病的バリアント保持者に対する乳癌サーベイランスには造影乳房MRIが推奨されるか?
3.診断― (1)精密検査
 総説4 各乳腺画像診断モダリティ
 CQ3 診断マンモグラフィにおいて乳房トモシンセシスを追加することは推奨されるか?
 FRQ3 マンモグラフィ検診の淡い集簇石灰化病変にマンモグラフィガイド下生検は必須か?
 CQ4 乳房腫瘤の精密検査として乳房超音波エラストグラフィは推奨されるか?
 FRQ4 乳房腫瘤の精密検査としてドプラ法を用いた非造影超音波検査による血流評価は有用か?
 CQ5 乳房病変の良悪性鑑別目的に造影超音波検査は勧められるか?
 BQ1 術前造影乳房MRIで新たに検出される病変(MRI-detected lesion)に対する精査は必要か?
4.診断― (2)癌確定後術前(広がり・術前化学療法)
 BQ2 StageI・II乳癌の術前にCT、PET、PET-CTによる全身検索を行うか?
 FRQ5 術前化学療法後の病理学的完全奏効(pCR)予測に術前MRIまたはPETは有用か? 術前化学療法における早期効果予測(治療前・中間評価)にMRIまたはPETは有用か?
 FRQ6 乳房専用PETは乳癌術前の広がり診断に有用か?
 FRQ7 造影マンモグラフィは乳癌術前の広がり診断に有用か?
5.術後フォローアップ、転移・再発乳癌のモニタリング
 総説5 術後フォローアップ
 FRQ8 乳房全切除後の対側乳房や、乳房部分切除術後の温存乳房に、超音波検査や造影乳房MRIを定期的に行うか?
 FRQ9 StageI・II乳癌術後の定期的な全身画像検査は勧められるか?
 総説6 転移・再発乳癌のモニタリング

病理診断

乳癌診療ガイドライン「病理診断」領域について
 総説1 Intrinsic subtype分類、分子生物学的リスク分類と病理診断
 総説2 病理組織検体の適切な取り扱いについて
 総説3 浸潤性乳管癌の病理学的グレード分類
 総説4 細胞診や針生検で良悪性の鑑別が困難な病変の取り扱いについて
 総説5 乳管内増殖性病変の良悪性診断に対する、免疫組織化学法の有用性
 総説6 乳癌の転移・再発巣が疑われる病変の病理診断
 BQ1 乳房の病変の確定診断のために、穿刺吸引細胞診(FNA)、針生検(CNB)、吸引式乳房組織生検(VAB)のいずれのアプローチを最初に行うのがよいか?
 BQ2 術前化学療法後、病理組織学的に治療効果を判定することは勧められるか?
 BQ3 ホルモン受容体検査はどのような目的で、どのように行うか?
 BQ4 HER2検査はどのような目的で、どのように行うか?
 BQ5 乳房部分切除術の病理組織学的断端診断はどのように行うか?
 BQ6 センチネルリンパ節の病理学的検索はどのように行うか?
 BQ7 非浸潤性乳管癌(DCIS)で核グレードや面疱壊死の有無を評価することは勧められるか?
 BQ8 針生検検体を用いたホルモン受容体やHER2の検索は勧められるか?
 FRQ1 浸潤性乳癌におけるKi67評価はどのような症例に勧められるか? 評価方法はどのようにしたらよいのか?
 FRQ2 非浸潤性乳管癌におけるホルモン受容体やHER2の検索は勧められるか?
 FRQ3 再発乳癌における治療方針決定にセルブロック標本を用いた検討は勧められるか?
 FRQ4 浸潤性乳管癌における腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の診断は有用か?
 FRQ5 浸潤性乳癌におけるPD-L1検査はどのように行うか?
 FRQ6 がん遺伝子パネル検査にはどのような種類があり、どのような検体を提出する必要があるか?

略語一覧
索引
 2004年に薬物療法に関するガイドラインが初めて発刊されて以来、会員のみならず乳癌診療に携わるすべての人の羅針盤として高い評価を得ている診療ガイドラインである。今回は治療編(薬物療法、外科療法、放射線療法)と疫学・診断編(疫学・予防、検診・画像診断、病理診断)について詳細な改訂が行われた。ガイドラインの作成は2018年の改訂から「Minds診療ガイドライン作成マニュアル」に準拠して作業が進められている。一方、診療ガイドライン委員会に内包されていた診療ガイドライン評価委員会を独立させて、ガイドライン作成の初期段階から客観的かつ批判的に意見をいただいた。その結果、推奨文および推奨の強さを決定する推奨決定会議は国内で最も厳しいと考えられる利益相反の条件を課したうえで審議が行われた。ガイドラインは、総説、標準治療として確立したBQ(バックグラウンドクエスチョン)、新たなエビデンスを益と害のバランスを考慮しつつ日常診療に還元するCQ(クリニカルクエスチョン)、そして近い将来の課題に関するFRQ(フューチャーリサーチクエスチョン)から構成されている。

 乳癌の診療は精密医療の時代にあるが、ゲノム医療を日常診療に実装するために診療ガイドラインが果たす役割は極めて大きい。その例として、2018年版の疫学・診断編に記載された遺伝性乳癌卵巣癌症候群に対するリスク低減手術に関する推奨の強さとエビデンスレベルに基づいて、「BRCA1・BRCA2遺伝子変異陽性者へのリスク低減治療に対する公的保険収載を求める要望書」が厚生労働省に提出された。その結果、2020年春からの保険診療につながった。今回のガイドライン改訂も国民が安心できる乳癌診療につながることを期待してやまない。最後に、質量ともに充実し国内外に誇るべき成果物の作成にあたり、統括いただいた佐治委員長をはじめ作成に携わられたすべての皆様に心からの敬意と謝意を表します。

2022年5月

日本乳癌学会 理事長
井本 滋