乳癌診療ガイドライン1 治療編 2022年版 第5版

4年ぶりの全面改訂! 医療者と患者のShared Decision Makingを実現

編 集 日本乳癌学会
定 価 6,050円
(5,500円+税)
発行日 2022/07/04
ISBN 978-4-307-20441-5

B5判・512頁

在庫状況 あり

乳癌の薬物療法、外科療法、放射線療法に関する臨床議題をバックグラウンドクエスチョン(BQ)・クリニカルクエスチョン(CQ)・フューチャーリサーチクエスチョン(FRQ)に分類し、それぞれの科学的根拠、益と害のバランス、患者の希望の一貫性、経済的視点などを踏まえて作成された最新の診療指針。計116項目のBQ、CQ、FRQに加え、新たに治療編全体の総説を掲載。医療者と患者のhared Decision Making実現に必携の一冊。
■乳癌診療ガイドライン2022 年版作成にあたって

治療編 総説

I.用語の定義
II.非浸潤性乳管癌(ductal carcinoma in situ;DCIS)
III.早期乳癌(Stage I-IIIA)(Stage 0 以外)
IV.局所進行乳癌(Stage IIIB、IIIC)
V.転移・再発乳癌

薬物療法

1.初期治療
 BQ1 ホルモン受容体陽性乳癌に対して内分泌療法は有効か?
 BQ2 タモキシフェンは子宮内膜癌(子宮体癌)発症のリスクを増加させるか?
 CQ1 ホルモン受容体陽性非浸潤性乳管癌に対して乳房部分切除術後の内分泌療法は推奨されるか?
 CQ2 閉経前ホルモン受容体陽性乳癌に対する術後内分泌療法として何が推奨されるか?
 CQ3 閉経後ホルモン受容体陽性乳癌に対する術後内分泌療法として何が推奨されるか?
 CQ4 浸潤性乳癌に対して、術後5年間の内分泌療法後に内分泌療法の追加投与は勧められるか?
 CQ5 ホルモン受容体陽性HER2陰性乳癌に対する術後療法として、内分泌療法にS-1を併用することは勧められるか?
 CQ6 ホルモン受容体陽性HER2陰性乳癌に対する術後療法として、内分泌療法にアベマシクリブを併用することは勧められるか?
 FRQ1 ホルモン受容体陽性HER2陰性浸潤性乳癌に対して、術前内分泌療法は勧められるか?
 FRQ2 浸潤径0.5cm以下でリンパ節転移陰性のホルモン受容体陽性乳癌に対して、術後内分泌療法省略は推奨されるか?
 CQ7 化学療法を行うHER2陰性の早期乳癌に対して、アンスラサイクリンとタキサンの順次投与は勧められるか?
 CQ8 化学療法を行うHER2陰性の早期乳癌に対して、TC療法は勧められるか?
 CQ9 化学療法を行う早期乳癌に対して、dose-dense化学療法は勧められるか?
 CQ10 術前化学療法で病理学的完全奏効(pCR)が得られなかったHER2 陰性早期乳癌に対する術後化学療法として、カペシタビンは勧められるか?
 CQ11 ホルモン受容体陽性HER2陰性乳癌に対して、多遺伝子アッセイの結果によって、術後化学療法を省略することは推奨されるか?
 CQ12 術前薬物療法を行うHER2陽性早期乳癌に対して、トラスツズマブにペルツズマブを加えることは勧められるか?
 CQ13 術前薬物療法で病理学的完全奏効(pCR)が得られなかったHER2陽性早期乳癌に対する術後薬物療法として、トラスツズマブ エムタンシンは勧められるか?
 CQ14 術後薬物療法を行うHER2陽性早期乳癌に対して、トラスツズマブにペルツズマブを加えることは勧められるか?
 FRQ3 HER2陽性早期乳癌に対する術後薬物療法として、アンスラサイクリンを省略したタキサンとトラスツズマブによる併用療法は勧められるか?
 CQ15 高齢者のHER2陽性早期乳癌に対する術後薬物療法として、トラスツズマブのみによる治療は勧められるか?
 CQ16 周術期トリプルネガティブ乳癌に対して、免疫チェックポイント阻害薬は勧められるか?
 CQ17 トリプルネガティブ早期乳癌に対して、プラチナ製剤は勧められるか?
 FRQ4 浸潤径1cm以下・リンパ節転移陰性のトリプルネガティブ乳癌に対して、術後化学療法は勧められるか?
 BQ3 病理分類で特殊型と診断された乳癌では、組織型に応じた周術期薬物療法を行うことが勧められるか?
 BQ4 原発巣の明らかでない腋窩リンパ節転移(腺癌)に対して、乳癌に準じた薬物療法は勧められるか?
 FRQ5 BRCA病的バリアントを有する乳癌患者の周術期薬物療法として何が勧められるか?
 FRQ6 早期男性乳癌に対する薬物療法は何が推奨されるか?
 FRQ7 早期高齢者乳癌患者に対して周術期薬物療法は勧められるか?
  FRQ7a 内分泌療法の場合
  FRQ7b 化学療法の場合
  FRQ7c HER2陽性乳癌の場合
 FRQ8 妊娠期乳癌に対して周術期の薬物療法は勧められるか?
 FRQ9 原発乳癌に対する再発予防を目的とする術後薬物療法として骨吸収抑制薬(ビスホスホネート製剤、デノスマブ)は勧められるか?

2.転移・再発乳癌
 BQ5 閉経前ホルモン受容体陽性転移・再発乳癌に対して最も有用な卵巣機能抑制方法は何か?
 CQ18 閉経前ホルモン受容体陽性HER2陰性転移・再発乳癌に対する一次内分泌療法として、何が推奨されるか?
 CQ19 閉経前ホルモン受容体陽性HER2陰性転移・再発乳癌に対する二次以降の内分泌療法として、何が推奨されるか?
 CQ20 閉経後ホルモン受容体陽性HER2陰性転移・再発乳癌に対する一次内分泌療法として、何が推奨されるか?
 CQ21 閉経後ホルモン受容体陽性HER2陰性転移・再発乳癌の一次療法にアロマターゼ阻害薬単剤を使用したときの二次内分泌療法として、何が推奨されるか?
 FRQ10 閉経後ホルモン受容体陽性HER2陰性転移・再発乳癌の二次内分泌療法として何が推奨されるか?(一次内分泌療法として、アロマターゼ阻害薬単剤を行った場合はCQ21参照)
 FRQ10a 一次内分泌療法として、アロマターゼ阻害薬とサイクリン依存性キナーゼ4/6阻害薬の併用療法を行った場合
 FRQ10b 一次内分泌療法として、フルベストラント単剤療法を実施した場合
 FRQ11 PIK3CA変異陽性ホルモン受容体陽性HER2陰性転移・再発乳癌に対して、PI3K阻害薬は有用か?
 CQ22 閉経後ホルモン受容体陽性HER2 陰性転移・再発乳癌に対する三次治療以降の内分泌療法として、何が推奨されるか?
 BQ6 HER2陰性転移・再発乳癌に対する一次・二次化学療法として、アンスラサイクリン系薬剤は推奨されるか?
 BQ7 HER2陰性転移・再発乳癌に対する一次・二次化学療法として、タキサン系薬剤は推奨されるか?
 CQ23 HER2陰性転移・再発乳癌に対する一次・二次化学療法として、ベバシズマブを併用することは推奨されるか?
 CQ24 HER2陰性転移・再発乳癌に対する一次・二次化学療法として、経口フッ化ピリミジンは推奨されるか?
  CQ24a 一次治療の場合
  CQ24b 二次治療の場合
 CQ25 HER2陰性転移・再発乳癌に対する一次・二次化学療法として、エリブリンは推奨されるか?
 CQ26 HER2陽性転移・再発乳癌に対する一次治療として、トラスツズマブ+ペルツズマブ+タキサン併用療法は推奨されるか?
 CQ27 HER2陽性転移・再発乳癌に対する一次治療として、トラスツズマブ エムタンシンは推奨されるか?
 CQ28 HER2陽性転移・再発乳癌に対する二次治療として、トラスツズマブ デルクステカンは推奨されるか?
 FRQ12 HER2陽性転移・再発乳癌に対する三次以降の治療で推奨される治療は何か?
 CQ29 HER2陽性・ホルモン受容体陽性転移・再発乳癌に対して内分泌療法単独や抗HER2療法と内分泌療法併用は勧められるか?
 CQ30 転移・再発トリプルネガティブ乳癌に対してプラチナ製剤は勧められるか?
 CQ31 転移・再発乳癌に対してPD-1/PD-L1阻害薬は勧められるか?
 CQ32 生殖細胞系列BRCA病的バリアントを有する進行・再発乳癌患者の薬物療法として、PARP阻害薬は推奨されるか?
 FRQ13 生殖細胞系列BRCA病的バリアントを有する進行・再発乳癌患者に対してプラチナ製剤は推奨されるか?
 BQ8 乳癌骨転移に対して骨修飾薬(デノスマブ、ゾレドロン酸)は推奨されるか?
 FRQ14 転移・再発乳癌に対して治癒を目指した治療を行うことは勧められるか?
 FRQ15 転移・再発乳癌に対して、化学療法奏効後に内分泌療法による維持療法は勧められるか?
 FRQ16 転移・再発高齢者乳癌に対する薬物療法として何が推奨されるか?
 FRQ17 転移・再発男性乳癌に対する薬物療法は何が推奨されるか?
 FRQ18 局所・領域再発切除術後に薬物療法は勧められるか?
 FRQ19 乳癌脳転移および髄膜播種に抗悪性腫瘍薬は勧められるか?

3.その他(特殊病態、副作用対策など)
 BQ9 化学療法施行前もしくは治療中に種々のワクチン接種は推奨されるか?
 BQ10 内分泌療法によるホットフラッシュ・関節痛の対策として薬物療法は推奨されるか?
 BQ11 アロマターゼ阻害薬使用患者における骨粗鬆症の予防・治療に骨吸収抑制薬(ビスホスホネート、デノスマブ)は推奨されるか?
 BQ12 乳癌治療として補完・代替療法は推奨されるか?
 FRQ20 乳癌診療において次世代シークエンサー等を用いた遺伝子パネル検査は有用か?
 FRQ21 乳腺悪性葉状腫瘍の遠隔転移に対して薬物療法は勧められるか?


 付1 化学療法レジメンの処方例
 付2 薬剤一覧

外科療法

1.乳房手術
 総説1 乳癌初期治療における乳房手術
  1)乳癌の進展・転移に関する理論と外科治療
  2)乳房に対する外科治療
  3)わが国における乳房手術の変遷
 FRQ1 非浸潤性乳管癌に対する非切除は勧められるか?
 FRQ2 浸潤癌/非浸潤癌に対する乳房部分切除術において、断端陽性と診断された場合に外科的切除は勧められるか?
 FRQ3 術前化学療法で臨床的に完全奏効を得られた浸潤性乳癌に対する非切除は勧められるか?
 BQ1 術前化学療法で縮小した浸潤性乳癌に対する乳房温存療法は勧められるか?
 FRQ4 Non-surgical ablationは早期乳癌の標準的な局所療法として勧められるか?

2.腋窩手術
 総説2 乳癌初期治療における腋窩手術
  1)領域リンパ節と郭清
  2)センチネルリンパ節生検
 BQ2 術前診断が非浸潤性乳管癌である場合、センチネルリンパ節生検は勧められるか?
 CQ1 センチネルリンパ節に転移を認める患者に対して腋窩リンパ節郭清省略は勧められるか?
  CQ1a 微小転移の場合
  CQ1b マクロ転移の場合
   CQ1b-1 乳房部分切除術の場合
   CQ1b-2 乳房全切除術の場合(放射線療法なし)
   CQ1b-3 乳房全切除術の場合(放射線療法あり)
 CQ2 術前化学療法後に、腋窩リンパ節郭清省略を目的としたセンチネルリンパ節生検は推奨されるか?
  CQ2a 術前化学療法の前後とも臨床的腋窩リンパ節転移陰性の乳癌に対してセンチネルリンパ節生検による腋窩リンパ節郭清省略は推奨されるか?
  CQ2b 臨床的腋窩リンパ節転移陽性乳癌が術前化学療法施行後に臨床的リンパ節転移陰性と判断された場合、センチネルリンパ節生検による腋窩リンパ節郭清省略は推奨されるか?
   CQ2b-1 センチネルリンパ節生検の結果のみによる場合
   CQ2b-2 Tailored axillary surgery(TAS)を行う場合
 FRQ5 内胸リンパ節領域にセンチネルリンパ節を認めた場合、生検は勧められるか?

3.乳房再建
 総説3 乳癌初期治療における乳房再建
  1)再建時期と回数
  2)乳房全切除術後の再建術
  3)乳房部分切除時の再建術
 BQ3 胸壁照射歴のある患者に対する乳房再建は勧められるか?
 CQ3 乳房再建を希望するリンパ節転移陽性乳癌患者に対して、乳房全切除術後の一次乳房再建は勧められるか?
 FRQ6 乳房再建法としての脂肪注入は勧められるか?
 FRQ7 術前化学療法後の乳房再建は勧められるか?

4.転移・再発
 総説4 転移・再発乳癌に対する外科手術
  1)転移・再発乳癌に対する治療目的
  2)転移・再発乳癌に対する治療
 CQ4 Stage IV乳癌に対する原発巣切除は勧められるか?
  CQ4a Stage IV乳癌に対して予後の改善を目的とした原発巣切除は勧められるか?
  CQ4b Stage IV乳癌に対して局所制御を目的とした原発巣切除は勧められるか?
 BQ4 初回腋窩リンパ節郭清後の腋窩リンパ節再発に対する外科的切除は勧められるか?
 FRQ8 鎖骨上リンパ節再発の外科的切除は勧められるか?
 FRQ9 乳房温存療法後の温存乳房内再発に対して再度の乳房部分切除術は勧められるか?
 FRQ10 乳房温存療法後の温存乳房内再発に対するセンチネルリンパ節生検は勧められるか?
  FRQ10a 初回手術時腋窩リンパ節郭清なしの場合
  FRQ10b 初回手術時腋窩リンパ節郭清ありの場合
 FRQ11 乳房全切除術後の胸壁再発巣に対する外科的切除は勧められるか?
 FRQ12 肺、骨、肝転移巣に対する外科的切除は勧められるか?
 FRQ13 脳転移巣に対する外科的切除は勧められるか?
  FRQ13a 単発〜少数個の脳転移の場合
  FRQ13b 多発性脳転移の場合

5.特殊病態
 BQ5 妊娠期乳癌に手術を行うことは勧められるか?
 BQ6 高齢者の乳癌に対しても手術療法は勧められるか?
 BQ7 葉状腫瘍と診断された場合に外科的切除が勧められるか?
 FRQ14 潜在性乳癌に対して、乳房非切除は勧められるか?

放射線療法

総説1 乳癌放射線療法の基本
 1)乳癌の疾患概念
 2)初期治療における放射線療法の目的と対象
 3)再発治療における放射線療法の目的と対象
 4)放射線療法の種類と対象疾患
 5)主な照射方法
 6)放射線療法による有害事象
 7)放射線療法計画時の留意事項
総説2 乳房手術後に放射線療法が勧められない場合
 1)絶対的禁忌
 2)相対的禁忌

1.乳房手術後放射線療法
 BQ1 StageI-II乳癌に対する乳房部分切除術後の放射線療法として全乳房照射は勧められるか?
 BQ2 非浸潤性乳管癌に対して乳房部分切除術後に放射線療法は勧められるか?
 BQ3 術前化学療法後に病理学的完全奏効(pCR)が得られた乳房部分切除術後患者でも、温存乳房への放射線療法は勧められるか?
 CQ1 全乳房照射において通常分割照射と同等の治療として寡分割照射は勧められるか?
 CQ2 乳房部分切除術後に断端が陰性の場合、全乳房照射後の腫瘍床に対するブースト照射は勧められるか?
 CQ3 乳房部分切除術後の照射法として加速乳房部分照射(APBI)は勧められるか?
 BQ4 乳房部分切除術後に腋窩リンパ節転移4個以上の患者では領域リンパ節(鎖骨上)への放射線療法は勧められるか?
 CQ4 乳房部分切除術および腋窩郭清後の腋窩リンパ節転移1〜3個の患者では、領域リンパ節(鎖骨上)を照射野に含めることが勧められるか?
 BQ5 乳房全切除術後に腋窩リンパ節転移4個以上の患者では、乳房全切除術後放射線療法(PMRT)が勧められるか?
 CQ5 乳房全切除術後および腋窩郭清後の腋窩リンパ節転移1〜3個の患者では、乳房全切除術後放射線療法(PMRT)が勧められるか?
 BQ6 乳房全切除術後放射線療法(PMRT)では胸壁ならびに鎖骨上リンパ節領域を照射野に含めるべきか?
 BQ7 リンパ節転移陰性で腫瘍径が大きい場合もしくは手術後断端陽性の場合は乳房全切除術後放射線療法(PMRT)が勧められるか?
 FRQ1 術前化学療法が奏効した場合でも乳房全切除術後放射線療法(PMRT)は勧められるか?
 BQ8 乳房全切除術後の再建乳房に対する放射線療法は勧められるか?
  BQ8a 自家組織による再建の場合、再建乳房に対する放射線療法は勧められるか?
  BQ8b 人工物による再建の場合、再建乳房に対する放射線療法は勧められるか?
  BQ8c 人工物による二期再建の場合、放射線療法はどのタイミングで行うべきか?
 FRQ2 乳房部分切除術後の領域リンパ節照射あるいは乳房全切除術後放射線療法(PMRT)を行う患者に対して、通常分割照射と同等の治療として寡分割照射は勧められるか?
 CQ6 乳房手術後に腋窩リンパ節転移陽性で、領域リンパ節照射あるいは乳房全切除術後放射線療法(PMRT)を行う患者に対して、内胸リンパ節領域を含めることが勧められるか?
 FRQ3 センチネルリンパ節に転移を認めたが腋窩リンパ節郭清が省略された患者に、領域リンパ節への放射線療法が勧められるか?
 BQ9 乳房手術後放射線療法の適切なタイミングはどのようなものか?
 BQ10 BRCA病的バリアントを有する乳癌患者に対し、乳房手術後の放射線療法は勧められるか?

2.転移・再発乳癌
 FRQ4 乳癌の局所・領域リンパ節再発では、根治を目指した放射線療法が勧められるか?
 BQ11 有痛性乳癌骨転移に対して放射線療法は勧められるか?
 CQ7 8Gy/1回照射は有痛性乳癌骨転移の疼痛緩和を目的とした場合、分割照射と同等の治療として勧められるか?
 BQ12 乳癌脳転移に対して放射線療法は勧められるか?
 CQ8 3cm未満で1〜4個までの乳癌脳転移に対して定位手術的放射線治療(SRS)を行った場合、全脳照射の追加は勧められるか?
 FRQ5 全身状態のよい10個以下の脳転移症例において、一次治療として定位放射線照射(STI)を行い経過観察することで、全脳照射を待機することが勧められるか?
 FRQ6 少数個転移・再発では、体幹部定位放射線治療が勧められるか?

略語一覧
索引
 2004年に薬物療法に関するガイドラインが初めて発刊されて以来、会員のみならず乳癌診療に携わるすべての人の羅針盤として高い評価を得ている診療ガイドラインである。今回は治療編(薬物療法、外科療法、放射線療法)と疫学・診断編(疫学・予防、検診・画像診断、病理診断)について詳細な改訂が行われた。ガイドラインの作成は2018年の改訂から「Minds診療ガイドライン作成マニュアル」に準拠して作業が進められている。一方、診療ガイドライン委員会に内包されていた診療ガイドライン評価委員会を独立させて、ガイドライン作成の初期段階から客観的かつ批判的に意見をいただいた。その結果、推奨文および推奨の強さを決定する推奨決定会議は国内で最も厳しいと考えられる利益相反の条件を課したうえで審議が行われた。ガイドラインは、総説、標準治療として確立したBQ(バックグラウンドクエスチョン)、新たなエビデンスを益と害のバランスを考慮しつつ日常診療に還元するCQ(クリニカルクエスチョン)、そして近い将来の課題に関するFRQ(フューチャーリサーチクエスチョン)から構成されている。

 乳癌の診療は精密医療の時代にあるが、ゲノム医療を日常診療に実装するために診療ガイドラインが果たす役割は極めて大きい。その例として、2018年版の疫学・診断編に記載された遺伝性乳癌卵巣癌症候群に対するリスク低減手術に関する推奨の強さとエビデンスレベルに基づいて、「BRCA1・BRCA2遺伝子変異陽性者へのリスク低減治療に対する公的保険収載を求める要望書」が厚生労働省に提出された。その結果、2020年春からの保険診療につながった。今回のガイドライン改訂も国民が安心できる乳癌診療につながることを期待してやまない。最後に、質量ともに充実し国内外に誇るべき成果物の作成にあたり、統括いただいた佐治委員長をはじめ作成に携わられたすべての皆様に心からの敬意と謝意を表します。

2022年5月

日本乳癌学会 理事長
井本 滋