検診カテゴリーと診断カテゴリーに基づく 乳がん検診精検報告書作成マニュアル

診療マネジメントに直結した「診断カテゴリー」の考え方を丁寧に解説

編 集 日本乳癌学会
定 価 2,376円
(2,200円+税)
発行日 2019/07/11
ISBN 978-4-307-20398-2

B5判・88頁

在庫状況 あり

乳がん検診と精検機関の乳房画像検査結果を「検診カテゴリー」「診断カテゴリー」と区別し、検診・精検での診断精度向上と、診療マネジメントの均てん化を推進する一冊。
第1章 診断カテゴリーについて理解する
1. 診断カテゴリーの新設
2. 診断カテゴリーを新設する背景
3. 検診カテゴリー
4. 診断カテゴリー
5. 診断カテゴリーと乳腺診療マネジメント
6. 診断カテゴリーによる乳房画像検査の精度管理
7. 乳腺診療におけるQuality Indicator の重要性
8. 乳房画像検査のQuality Indicator
9. マンモグラフィ読影精度のQuality Indicator
10. PPV3
11. PPV2
12. PPV1
13. 乳腺診療の均てん化に必要な診断カテゴリーのまとめ

第2章 日本乳癌学会が推奨する「乳がん検診精密検査依頼書 兼 精密検査結果報告書」
1. 乳がん検診における乳腺専門施設および精検機関の役割
2. 日本乳癌学会が推奨する「乳がん検診精密検査依頼書 兼 精密検査結果報告書」
3. 日本乳癌学会が推奨する「乳がん検診精密検査依頼書」
4. 日本乳癌学会が推奨する「乳がん検診精密検査結果報告書」
5. 指導区分について
6. 日本乳癌学会が推奨する「乳がん検診精密検査結果報告書」を使用したPPV3データの収集

第3章 乳がん検診手帳やブレスト・アウェアネス、乳房構成などについて
1. 乳がん検診手帳-Personal Health Record(PHR)として乳がん検診の記録を蓄積する仕組み−
2. ブレスト・アウェアネス
3. 乳房構成の分類
4. 乳房構成の評価方法
5. 超音波検査による乳がん検診の精度管理
6. 日本の乳房超音波診断カテゴリー
7. マンモグラフィと超音波検査の総合判定
8. 乳癌の確定診断を目的とする生検手技について

第4章 よくある質問とその答え
Q1 : 診断カテゴリーとは何ですか?
Q2 : これまで使用してきた日本のマンモグラフィガイドラインのカテゴリーはどうなるのですか?
Q3 : 日本のマンモグラフィガイドラインのカテゴリー3 は,診療現場でさらに3-1(ほぼ良性)と3-2(良性の可能性が高い)と分けることも可能と聞いたことがありますが、今後の3-1 と3-2 の使用についてはどうすればよいでしょうか?
Q4 : 診断カテゴリーとBI-RADS カテゴリーとは異なるのでしょうか?
Q5 : PPV3を算出する意味を簡単に教えてください。
Q6 : 日本乳癌学会が推奨する、乳がん検診要精検に対する「乳がん検診精密検査依頼書 兼 精密検査結果報告書」は、左右の乳房の画像所見を各々1病変しか記入できません。1乳房に複数の病変がある場合は,どのように記入すればよいのでしょうか?
Q7 : 生検の方法ついては、各施設で選択してもよいでしょうか?
Q8 : 1乳房に複数の病変(所見)がある場合は、すべての病変(所見)にカテゴリー判定を行うのでしょうか?
Q9 : 癌の広がり診断のための生検はPPV3の計算の対象となりますか?
Q10 : ブレスト・アウェアネスと自己触診は同じではないのですか?
Q11 : 視触診による乳がん検診は推奨されますか?

参考文献
 乳癌は女性の生涯で11人に1人が罹患すると予測されています。近年、遺伝性乳癌卵巣癌症候群への知識も深まり、30歳代、40歳代の乳癌も珍しくなくなりました。乳癌を早期に診断することは喫緊の課題でありますが、検診のマンモグラフィでカテゴリー3と指摘されたものの、精密検査(精検)で異常なしと診断される場合も多くあります。このように、精検され異常なしとされた検診者の乳癌への不安を払拭し、科学的かつ合理的な乳がん検診を構築することは重要な課題であります。
 日本乳癌学会では検診関連委員会を設置して、乳がん検診に関わるエビデンスの普及や行政的な事案に対する対応などを進めています。このたび、より精度の高い乳がん検診システムの構築を目指して「検診カテゴリーと診断カテゴリーに基づく乳がん検診精検報告書作成マニュアル」を刊行することとなりました。このマニュアルは、検診施設で行うマンモグラフィや超音波検査による「検診カテゴリー」で拾い上げられた検診者を、乳腺専門医あるいは画像診断に優れた医師が所属する精検施設による「診断カテゴリー」に再分類することで、検診施設と精検施設での診断精度の向上を目指しています。
 乳癌の検診と精検に精通された方はフローチャートをご覧いただければ、内容が容易にご理解いただけるものと思います。乳癌の検診と精検の違いについて不明確な方におかれましては、一度本書をじっくりと読んでいただければ幸いです。増加する一方の乳癌診療の中で検診から精検までを効率よく行うことは、結果的に医療費を削減し、乳癌でない検診者の精神的負担を軽減し、最終的に私たち医療者の負担の軽減に繋がるものと考えます。本書が、検診施設と精検施設の双方にとって有意義なマニュアルとなることを願っています。
 最後に、本書の作成にご指導とご尽力をいただいた植松孝悦委員長をはじめとする委員会の方々に心からの感謝を申し上げます。

2019年6月

日本乳癌学会理事長
井本 滋
 日本乳癌学会編集の「検診カテゴリーと診断カテゴリーに基づく乳がん検診精検報告書作成マニュアル」が発刊された。乳がん検診の精度管理において、最終判定であるカテゴリー分類に基づく報告書の精度管理は最も重要な項目である。わが国ではBI-RADSの用語をベースに日本独自の所見ベースでカテゴリー分類が作成され、画像所見からカテゴリーへの方向付けにおいて大きな成果を示し、読影の均てん化に大きく貢献している。しかし、検診施設で主にマンモグラフィで分類されたカテゴリー3において、精検機関におけるマネジメントが異なることが指摘され、ひいては乳がん検診のカテゴリー分類の最終的な意義が評価できないという大きな矛盾を含んでいた。
 今回のマニュアルでは、検診施設で行う検診カテゴリー判定と精検施設で行う診断カテゴリーを分けることによって、検診カテゴリーの目的と意義を明確にし、その後のマネジメントは診断カテゴリーによって決定するという道筋が示された。従来、検診カテゴリー3の中にBI-RADSのカテゴリー0の意味も含まれていた矛盾点が解消され、今後広がっていく総合判定の考え方とも一致する。
 今回提唱された概念の普及により、乳がん検診のカテゴリーとその後のマネジメント、さらには最終診断との関連が明確となり、精度の高いナショナルデータが構築され、わが国の乳がん検診の正しい評価を可能にする道筋として期待される。
 本マニュアルは乳がん検診に関わるすべての方々に読んでいただき、実行していただくようにお願いするとともに、日本乳癌検診学会としてマニュアルで示された概念の普及に協力する所存です。

2019年6月

日本乳癌検診学会理事長
中島 康雄