手術日までに患者が知りたい胆石症 ナース・ポリクリ学生・研修医にも知っていて欲しい

イラストを多用し、主治医だけでなく患者自身が読んでも理解できる読みやすい一冊!

著 者 市原 隆夫
定 価 2,640円
(2,400円+税)
発行日 2009/10/15
ISBN 978-4-307-20270-1

B5判・100頁・図数:75枚

在庫状況 あり

手術の前には、病状、手術に至った理由、手術の方法、合併症について、患者様と御家族に十分に理解していただくための説明を行います。しかし新聞、テレビでの医療相談やインターネットを見ておりますと、「主治医の説明がよくわからない」「専門用語が多くて」「冷淡で……」など説明の深意が理解されないまま、主治医に対する不満を募らせておられる患者様も多いようです。このときの説明は病状を理解していただくとともに、病気に対する患者―医師間の協力体制をしっかりと確認しあうという目的もあるのですが、このようなときの患者様は緊張と不安で一杯の状態で、いきなり病室で、「手術です」「もしかしたら合併症を起こして死ぬかもしれない」と言われれば、ショックも加わって街角キャッチセールスに会ったような心境でしょう。主治医自身は必要なことをすべて話したつもりでも半分も理解していたただいてないと思ったほうがいいようで、説明の最後に「手術承諾書をお願いします」と言うと、「いやあ難しいことは先生にお願いするしかなくて。よくわかりませんがよろしく」との返事をいただくのも、一回の説明だけでは、常ならざる状態の患者様に完全に理解していただくのは不可能に近いという証拠でしょう。その場で一つひとつの説明は理解できた気になって帰宅しても、考え直すと矛盾を感じる、途中に出てきた専門用語が理解できなくて、そこから先がわからない。でも主治医の機嫌を損ねることを心配するあまり聞き返せないまま、といった患者様もおられるので、そのあたりを念頭に置いた説明が主治医には必要です。
ただ「いつでも、何度でも」聞いてくれと言われてもそんな機会が無限にあるわけでもありません。患者様にもある程度の予習、復習をしていていただいたほうがより正確な情報を伝えることができるのではないでしょうか。しかしそんな情報源といっても専門書や「家庭の医学」を紐解くといっても難解でしょうし、どこを読んだらいいのかわからないでしょう。本書は胆石症であることを告知され、治療の開始を勧められた患者様、ナース、研修医が主治医との面談に赴くときのための副読書として書きました。できるだけ日常的な言葉を用いて、医師が無意識に用いる専門用語についてはご理解いただけるように書いたつもりです。皆様の病気に対する不安解消や手術前の疑問の解決に役立つことができればと思っております。
(「序」より)
胆石症
 1.胆石症とは
  a)消化器の仲間
  b)消化って何のこと
  c)胆嚢の仕事
  d)胆石のできるわけ

 2.胆石症の合併症
  a)胆嚢炎
   ナースステーション1−胆石症の症状
   ナースステーション2−急性胆嚢炎の治療
  b)胆管炎
  c)膵炎
   ナースステーション3−総胆管結石に合併する急性膵炎
  d)胆嚢癌
   ナースステーション4−胆石症に合併する胆嚢癌

 3.胆石症の検査
  a)超音波検査(エコー)、腹部CT検査
  b)MRI
  c)ERCP
  d)胃カメラ
   ナースステーション5−検査を追加するときの心得
   ナースステーション6−DIC,ERCPを行うときには

 4.胆石症の治療
  a)手術のタイミング
  b)手術以外の治療法
   1.胆石溶解薬
   2.超音波体外衝撃波
   ナースステーション7−胆石症の内科治療を行うときには
  c)無症候性胆石の治療
   ナースステーション8−胆石症の胃痛

 5.手術
  a)手術ってどんなことをするの?
   ナースステーション9−手術を強制することは間違いです
  b)手術の合併症
   ナースステーション10−患者様の過信は訂正しておく
   1.創痛、創痕、創感染、縫合糸膿瘍
    ナースステーション11−創感染−SSIについて
   2.癒着、腸閉塞
    ナースステーション12−術後腸閉塞=イレウスの治療
   3.肺炎、無気肺
   4.胆汁漏、胆管損傷
    ナースステーション13−胆汁漏と腹膜炎
    ナースステーション14−胆汁漏のときのドレナージ
    ナースステーション15−そもそも胆汁漏はなぜ起きる?
    ナースステーション16−再手術の決断、術後観察の重要性
   5.出血
    ナースステーション17−外科医以外の人にとって術中出血は常識外
    ナースステーション18−出血と止血
    ナースステーション19−ドレーンについて
    ナースステーション20−損傷、出血はなぜ起きるのか?
   6.その他、心筋梗塞、脳卒中、静脈血栓症など
    ナースステーション21−深部静脈血栓症
   7.手術の合併症についての考え方

 6.腹腔鏡下手術
  a)腹腔鏡下手術の特長
   1.術創が小さい
   2.癒着が少ない
   3.早期離床
   4.低侵襲
   5.食事再開が術翌日から
   6.早期退院が可能(3〜4日で)
  b)腹腔鏡下手術の欠点
   1.テレビのなかでの操作
   2.小さな鉗子を使う手術(高度技術が必要)
    ナースステーション22−腹腔鏡下手術の術中出血量について
    ナースステーション23−Mirizzi症候群に対する腹腔鏡下手術の適応

 7.輸血について
  a)輸血による感染症
   ナースステーション24−輸血による感染症
  b)輸血による免疫反応

 8.胆石手術の入院、術後スケジュール

 9.胆石手術の費用

総胆管結石
 1.胆嚢内だけの結石より重症です
 2.化膿性胆管炎の治療法
 3.緊急手術は危険です。まず胆汁ドレナージを
  ナースステーション25−総胆管結石の治療について
  ナースステーション26−PTCDの治療について

胆嚢ポリープ、胆嚢腺筋症
  ナースステーション27−胆嚢ポリープの治療について

文献

索引