乳腺疾患の臨床

現時点におけるわが国最高水準の「乳腺疾患」の成書!!

坂元 吾偉
定 価 17,600円
(16,000円+税)
発行日 2006/07/07
ISBN 978-4-307-20224-4

B5判・512頁・図数:296枚・カラー図数:74枚

在庫状況 なし

 最近わが国の乳癌を取り巻く環境には大きな変化がみられる。その変化とは乳癌発生数の増加と乳癌診療の変化である。乳癌発生数についてみれば,現在わが国においては乳癌が女性の癌の第1位の発生率を示し,1年間に4万人以上の女性が乳癌になり1万人以上が乳癌で死亡している。乳癌診療についてみれば画像診断の発達に伴う診断手技の変化,乳房温存療法やセンチネルリンパ節生検などの手術術式の変化,さらには新しい内分泌・化学療法剤に分子標的治療薬も加わった術前・術後の薬物療法の変化などがある。このような状況を背景にこの度「乳腺疾患の臨床」を発刊する選びとなった。

◆特 色
1.乳腺疾患さらには乳癌を中心に乳腺疾患の診療の全てを網羅した。
2.診断と治療についてはUp To Dateの知識と情報を提供した。

乳腺疾患の診療に携わる医療者の知識の向上と実地診療に本書をお役立ていただきたい。
◆おもな内容
■第1章 乳房の解剖・組織像と生理
1. 正常乳房の解剖と組織像 2. 乳腺の解剖 3. 乳腺の生理とホルモン環境による変化
■第2章 疫学と予防
1. 乳癌の罹患率−国内外の動向 2. 危険因子 3. 家族性乳癌 4. 乳癌の化学予防
■第3章 乳腺疾患の病理
1. 先天異常と発達異常 2. 良性疾患 3. 悪性疾患
■第4章 乳癌の病態(biology)
1. 乳癌前駆病変の自然史と病理 2. 乳癌の自然史:その発生・増殖・進展・転移 3. 組織型分類とグレード分類およびヘテロジェナイティについて 4. 乳癌のホルモン依存性の分子機構とホルモンレセプター 5. ER,PgRおよびHER-2過剰発現の免疫組織化学的判定 6. 分子生物学と分子マーカーによる微小転移の診断
■第5章 自己検診と集団検診
1. 世界における乳癌集団検診の考え方と現状 2. 日本における乳癌集団検診の考え方と現状 3. 乳癌の自己検診法(breast self-examination)の目的・実際と限界
■第6章 診断
1. 問診,視・触診 2. 病期分類 3. 画像診断の適応と読影 マンモグラフィ:画像評価および読影(カテゴリー分類)/乳房超音波検査/乳管造影および乳管内視鏡/MRマンモグラフィ/乳腺CT/遠隔転移の診断(CT/超音波検査/MRI)/骨シンチグラフィ/PET 4. 腫瘍マーカー 5. 画像診断検査の計画と総合診断 6. 乳腺穿刺吸引細胞診の位置づけと手技 7. 針生検の位置づけと手技 8. 外科的生検−probe lumpectomyなど 9. 細胞診と針生検の報告様式
■第7章 外科的治療
1. 乳腺の良性疾患に対する外科的治療 2. 乳腺の悪性疾患に対する外科的治療 乳癌手術概論/乳房切除術/乳房温存手術/乳房温存再建術/腋窩リンパ節郭清/センチネルリンパ節生検/乳房再建術 3. 内視鏡補助下乳腺手術 内視鏡補助下乳腺手術−概説/内視鏡補助下乳腺部分切除術の実際と成績/内視鏡補助下乳腺全切除術の実際と成績 4. Day Surgeryの役割と実際 5. 乳癌の非手術的治療法(Non-surgical ablation)
■第8章 放射線療法
1. 乳癌に対する放射線療法−概説 2. 乳房照射 3. 乳房切除術後の照射 4. 骨転移・脳転移の放射線治療
■第9章 薬物療法
1. 乳癌治療に用いられる化学療法剤 2. 内分泌療法の歴史的推移 3. 現在,乳癌治療に用いられている内分泌療法剤 4. 原発性乳癌に対する術後化学療法 5. 原発性乳癌に対する術後ホルモン療法の進め方 6. 術前薬物療法 7. 外来化学療法 8. 薬物療法の臨床的効果判定基準 9. 薬物有害事象の評価と管理
■第10章 術前・術後管理のフォローアップ
1. 術前・術後の管理 2. 乳癌術後の経過観察 3. 術後のリハビリテーション 4. 上肢リンパ浮腫の治療 5. 精神心理的障害への対応
■第11章 局所進行および再発乳癌に対する局所療法
1. 局所進行乳癌の治療 2. 乳房温存療法後の乳房内再発に対するサルベージ手術 3. 再発乳癌に対する局所療法−再発乳癌に対する外科療法
■第12章 再発・進行乳癌に対する全身治療
1. 転移乳癌に対する薬物療法の進め方 2. 転移乳癌に対する化学療法 3. 転移乳癌に対する抗体療法 4. 転移乳癌に対するホルモン療法 5. 骨転移に対するビスホスホネート療法
■第13章 乳腺疾患の診断と治療−特論
1. 良性乳腺疾患 急性乳腺炎の診断と治療/慢性乳腺炎の診断と治療/乳腺症の診断と治療/線維腺腫の診断と治療/葉状腫瘍の診断と治療/女性化乳房の診断と治療 2. 悪性乳腺疾患 非浸潤性乳管の診断と治療/浸潤性小葉癌の診断と治療/粘液癌の診断と治療/炎症性乳癌の診断と治療/高齢者乳癌の診断と治療/若年者乳癌の診断と治療/妊娠授乳期乳癌の予後と治療/男子乳癌
■第14章 社会医学
1. 乳腺疾患診療における医療倫理 2. 臨床試験の意義 3. インフォームドコンセントとセカンドオピニオン 4. チーム医療とクリティカルパス 5. 緩和医療の内容と適応