血管新生阻害薬のベストマネジメント 癌治療と副作用対策

癌治療における血管新生阻害薬の有効なマネジメント法を解説

編 集 西田 俊朗 / 大津 敦 / 土井 俊彦
定 価 4,104円
(3,800円+税)
発行日 2011/11/30
ISBN 978-4-307-10155-4

B5判・218頁・図数:60枚・カラー図数:12枚

在庫状況 あり

癌治療において血管新生阻害薬の効果を十分に得るためには、その有害事象マネジメントは非常に重要である。本書は、ベバシズマブ、スニチニブ、ソラフェニブ、イマチニブ、ニロチニブ、ダサチニブ、エベロリムス、テムシロリムスを取り上げ、血管新生阻害薬の作用機序とそのマネジメント法を病態別(それぞれの癌腫での特徴と臨床効果)、有害事象別(血管新生阻害薬に共通の有害事象の予防・診断・治療)、薬剤別(各薬剤の特徴)にわかりやすく解説した。

『序文』より
今日、いくつかの分子標的治療薬が臨床に導入され、かなりの疾患で使用されるようになってきた。また、それ以上に多数の標的治療薬が前臨床あるいは臨床試験段階で開発途上にある。なかでも、血管新生阻害薬は、種々の癌種で臨床導入されており、もはや癌治療に携わる臨床医は皆、この薬剤をうまく使いこなさなければならない時代となっている。標的治療薬である血管新生阻害薬といえども、十分なdose-intensityを保たないと有効な治療はできないし、患者さんにその恩恵をもたらすことはできない。しかし、一方で、この分野の薬剤は、これまで使い慣れた細胞障害性抗癌剤(cytotoxic agents)とは異なる薬効と有害事象プロファイルを示し、初めて使う場合、戸惑いや判断に困ることがある。血管新生阻害薬を用いて十分な癌治療を行おうとすると、最終的にはこの薬剤の作用機構、薬効、特徴をよく知り、有害事象への「気づき」と予防、そしてその十分な「マネジメント」が必要となってくる。幸い、標的が比較的共通している血管新生阻害薬は、その作用機序から同じような副作用の出方を示すので、類似した臨床診断と予防・マネジメントができる。
各分野の癌治療に携わる先生方から、この新しい血管新生阻害薬を理解し、使いこなせるようになりたいが、わかりやすくて、しかし専門的な本はないだろうか、という声を聞き、この本を企画するに至った。本書では、この分野において経験豊かな先生方にご執筆をお願いし、血管新生阻害薬の作用機序から始まり、それぞれの疾患での特徴と臨床効果を解説いただき、各薬剤の特徴と血管新生阻害薬に共通の有害事象の予防・診断・治療について、できるだけわかりやすく、かつ精緻で専門性が高くup-to-dateの内容を記載していただいた。
できるだけ初心者にも専門家にも役立つ、わかりやすいハンドブックを目指したつもりである。日常臨床の最前線で癌治療を行い、血管新生阻害薬を使用する医師、薬剤師、看護師の方々、そしてそれを支える研究者等々に、本書が少しでも役立てば幸いである。
はじめに─副作用マネジメントの必要性
 I.投与量と治療効果・有害事象
 II.血管新生阻害薬の治療効果と有害事象
 III.血管新生阻害薬の有害事象マネジメントの重要性

第1章●血管新生阻害薬の基本的薬理作用/総論
 1.血管新生のメカニズム
  I.血管新生阻害薬の背景
  II.腫瘍血管新生の特徴
  III.血管新生のシグナル伝達分子
 2.A血管新生阻害薬─ターゲットの観点から
  I.血管新生過程における標的
  II.血管新生阻害薬として開発が進んでいる標的
 2.B血管新生阻害薬─薬の種類の観点から
  I.小(低)分子薬と高(巨大)分子薬の違い
  II.標的の観点から
  III.半減期や代謝
  IV.作用の特徴
  V.相乗効果
  VI.耐性について
 2.C血管新生阻害薬─病態の観点から
  [1]大腸癌
   I.発生増殖の分子機構
   II.薬物治療
  [2]肝細胞癌
   I.発生増殖の分子機構
   II.薬物治療
  [3]腎細胞癌
   I.発生増殖の分子機構
   II.薬物治療
  [4]消化管間質腫瘍
   I.発生増殖の分子機構
   II.薬物治療
  [5]肺癌
   I.発生増殖の分子機構
   II.薬物治療
   III.ベバシズマブに関する臨床試験結果
   IV.肺癌におけるベバシズマブの使用
  [6]乳癌
   I.発生増殖の分子機構
   II.薬物治療
  [7]トピックス:眼科領域の治療
   I.薬剤特性の差異と有害事象の発症機序
   II.有害事象の時期と頻度
   III.有害事象の診断法
   IV.有害事象の処置法と予防法
  [8]トピックス:膵神経内分泌腫瘍の治療
   I.発生増殖の分子機構
   II.薬物治療

第2章●血管新生阻害薬に共通した有害事象とその対策
 1.血液毒性
  I.発生機序
  II.時期と頻度
  III.診断法
  IV.処置法
  V.予防法
  現場から─私はこうしている
  ・血管新生阻害薬による血液毒性
  ・オプション
 2.循環器障害─高血圧・心不全・心筋障害など
  I.発生機序
  II.時期と頻度
  III.診断法
  IV.処置法
  V.予防法
  VI.mTOR阻害薬(エベロリムス,テムシロリムス)の有害事象
  現場から─私はこうしている
  ・合併症のない高血圧の場合
  ・心機能障害を合併している場合
  ・腎障害を合併している場合
 3.血液凝固異常,DVT,出血・塞栓症
  I.発生機序
  II.時期と頻度
  III.診断法
  IV.処置法
  V.予防法
  現場から─私はこうしている
 4.間質性肺炎
  I.発生機序
  II.時期と頻度
  III.診断法
  IV.処置法
  V.予防法
  現場から─私はこうしている
 5.消化管症状
  I.発生機序
  II.時期と頻度
  III.診断法
  IV.処置法
  V.予防法
 6.肝障害(ウイルス性肝炎増悪を含む)
  I.血管新生阻害薬による肝障害の分類
  II.各薬剤に特徴的な肝障害
  III.薬物療法によるウイルス性肝炎の再活性化
 7.膵障害(リパーゼ増加など)
  I.発生機序
  II.時期と頻度
  III.診断法
  IV.処置法および予防法
  現場から─私はこうしている
 8.消化管穿孔
  I.消化管穿孔の機序
  II.ベバシズマブ併用化学療法と消化管穿孔;海外のデータ
  III.ベバシズマブ併用化学療法と消化管穿孔;わが国の特定使用成績調査から
  IV.消化管穿孔の治療
 9.腎障害(蛋白尿・腎不全など)
  I.発生機序
  II.時期と頻度
  III.診断法
  IV.処置法
  V.予防法
  現場から─私はこうしている
 10.手足皮膚反応・口内炎・歯肉炎(粘膜障害)
  I.手足皮膚反応
  II.口内炎(口腔粘膜炎)について
  現場から─私はこうしている
 11.内分泌異常(甲状腺機能障害)
  I.発生機序
  II.時期と頻度
  III.診断法
  IV.処置法
  V.予防法
 12.眼症状
  I.発生機序
  II.時期と頻度
  III.診断法
  IV.処置法
  V.予防法
  VI.その他
  現場から─私はこうしている
 13.創傷治癒遅延
  I.発生機序
  II.時期と頻度
  III.処置法
  IV.予防法
  現場から─私はこうしている

第3章●薬剤の各論 PIV.OTAL臨床試験《国内vs国外》
 1.ベバシズマブ
  I.承認対象疾患
  II.臨床試験
  III.国内市販後調査の状況
  IV.用法・用量と注意
  V.注意すべき毒性と投与上の注意
 2.スニチニブ
  I.承認対象疾患
  II.臨床試験
  III.国内市販後調査の状況
  IV.有効性
  V.用法・用量と注意
  VI.注意すべき毒性と投与上の注意
  VII.その他:バイオマーカー,参考となる資材
 3.ソラフェニブ
  I.承認対象疾患
  II.臨床試験
  III.用法・用量と注意
  IV.注意すべき毒性と投与上の注意
 4.イマチニブ
  I.承認対象疾患
  II.臨床試験
  III.国内市販後調査の状況
  IV.用法・用量と注意
  V.注意すべき毒性と投与上の注意
  VI.相互作用
  VII.参考となる資材
 5.ニロチニブ
  I.承認対象疾患
  II.臨床試験
  III.国内市販後調査の状況
  IV.用法・用量と注意,減量・中止規定
  V.注意すべき毒性と投与上の注意
  VI.その他:バイオマーカーなど
 6.ダサチニブ
  I.承認対象疾患
  II.臨床試験
  III.国内市販後調査の状況
  IV.用法・用量と注意
  V.注意すべき毒性と投与上の注意
  VI.併用を注意すべき薬剤
  VII.投与禁忌
 7.エベロリムス
  I.承認対象疾患:根治切除不能または転移性の腎細胞癌
  II.臨床試験
  III.国内市販後調査の状況
  IV.用法・用量と注意
  V.注意すべき毒性と投与上の注意
  VI.併用を注意すべき薬剤
  VII.投与禁忌
 8.テムシロリムス
  I.承認対象疾患
  II.臨床試験
  III.国内市販後調査の状況
  IV.用法・用量と注意
  V.注意すべき毒性と投与上の注意
  VI.併用を注意すべき薬剤
  VII.投与禁忌

おわりに─血管新生阻害薬の開発と今後
 I.VEGF/VEGFRシグナルを介する新規抗癌剤の現状
 II.血管新生阻害作用を有する新規抗癌剤

付.参考資料:「添付文書」からの抜粋
 1.ベバシズマブ(商品名:アバスチン)
 2.スニチニブ(商品名:スーテント)
 3.ソラフェニブ(商品名:ネクサバール)
 4.イマチニブ(商品名:グリベック)
 5.ニロチニブ(商品名:タシグナ)
 6.ダサチニブ(商品名:スプリセル)
 7.エベロリムス(商品名:アフィニトール)
 8.テムシロリムス(商品名:トーリセル)