症例で学ぶ中枢神経の画像診断 [Web動画付]

脳神経内科・外科領域の画像診断をWeb動画付の症例から学ぶ!

監 修 安陪 等思
編 集 平井 俊範 / 吉浦 敬
定 価 9,900円
(9,000円+税)
発行日 2023/04/10
ISBN 978-4-307-07130-7

B5判・400頁

在庫状況 あり

脳腫瘍や脳血管障害、外傷、変性疾患、認知症、感染症、代謝性疾患、先天性疾患など脳神経内科・外科領域の疾患を臨床での遭遇頻度によって3段階に分類して掲載しています。初めに紙面とWeb動画に掲載した症例情報と画像所見から診断名を想像して、実力を試してみましょう。その後、疾患の疫学的な知識や画像診断のポイント、治療法と本文を読み進めることで、研修医レベルから専門医レベルまで段階を追って学習できます。
【臨床で遭遇する頻度が高く、見逃してはいけない疾患】42症例
症例case 1 60歳台、男性●右片麻痺、意識障害、失語
症例case 2 40歳台、男性●左後頸部痛
症例case 3 40歳台、女性●頭痛
症例case 4 40歳台、女性●意識障害
症例case 5 60歳台、男性●左拍動性耳鳴
症例case 6 9歳、男児●視力低下
症例case 7 10歳台後半、男性●右片麻痺
症例case 8 70歳台、男性●両下肢しびれ
症例case 9 生後 4日、女児●重症新生児仮死
症例case 10 40歳台、女性●突然の頭痛
症例case 11 20歳台、男性●意識障害(高エネルギー外傷後)
症例case 12 40歳台、男性●意識障害
症例case 13 8歳、女児●気分不良、目の焦点が合わない、呼びかけに反応しない
症例case 14 70歳台、女性●左片麻痺
症例case 15 60歳台、男性●右上肢脱力
症例case 16 6歳、男児●歩行時ふらつき
症例case 17 30歳台、男性●頭痛、嘔気
症例case 18 10歳台、男性●頭痛、嘔吐、複視
症例case 19 70歳台、男性●肺小細胞癌
症例case 20 60歳台、女性●左視力低下
症例case 21 70歳台、男性●複視
症例case 22 60歳台、女性●聴力低下
症例case 23 70歳台、男性●意識障害、左下肢麻痺
症例case 24 30歳台、女性●複視
症例case 25 70歳台、男性●発熱、意識障害、てんかん重積
症例case 26 40歳台、男性●歩行困難、神経因性膀胱、痙性対麻痺
症例case 27 70歳台、女性●認知障害と嚥下障害、歩行障害
症例case 28 60歳台、女性●頭痛
症例case 29 60歳台、女性●手の震え、呂律不良
症例case 30 70歳台、女性●両側上下肢の脱力、歩行障害
症例case 31 20歳台、女性●軽度頭痛
症例case 32 60歳台、男性●振戦、歩行障害
症例case 33 40歳台、女性●意識障害
症例case 34 40歳台、男性●倦怠感、複視
症例case 35 70歳台、男性●意識障害、発汗
症例case 36 70歳台、男性●歩行障害、尿失禁
症例case 37 40歳台、女性●頭痛
症例case 38 20歳台、男性●てんかん発作
症例case 39 4歳、男児●痙攣発作
症例case 40 8歳、女児●てんかん発作の増悪
症例case 41 5歳、男児●意識障害
症例case 42 70歳台、男性●意識障害

【臨床で遭遇する頻度が低いが、知っておくべき疾患】54症例
症例case 43 70歳台、女性●頭痛、物忘れ
症例case 44 50歳台、男性●四肢のしびれ感
症例case 45 80歳台、女性●背部痛
症例case 46 8歳、女児●頭痛、嘔吐
症例case 47 20歳台、女性●頭痛、嘔気、複視
症例case 48 60歳台、男性●痙攣
症例case 49 30歳台、男性●痙攣発作
症例case 50 30歳台、男性●頭痛(頭部打撲後)
症例case 51 8 カ月、女児●左顔面麻痺
症例case 52 30歳台、女性●軽度の頭痛、視野狭窄
症例case 53 40歳台、男性●左下肢の脱力
症例case 54 20歳台、女性●頭痛や右半身のしびれ感
症例case 55 70歳台、男性●前頭部拍動感
症例case 56 50歳台、女性●前頭部膨隆
症例case 57 30歳台、男性●頭痛、発熱
症例case 58 40歳台、男性●意識障害、痙攣、失語
症例case 59 40歳台、男性●見当識障害、呂律難
症例case 60 20歳台、女性●発熱、全身倦怠感、頭痛
症例case 61 80歳台、女性●歩行障害、呂律障害、傾眠傾向
症例case 62 40歳台、女性●背中や肩の痛み、頭痛
症例case 63 3 カ月、女児●難聴
症例case 64 8歳、女児●発熱、意識障害
症例case 65 1歳 10カ月、男児●痙攣重積
症例case 66 8歳、女児●反応性低下、異常行動
症例case 67 50歳台、女性●右半身痙攣発作
症例case 68 60歳台、女性●全身倦怠感、食思不振
症例case 69 40歳台、女性●複視
症例case 70 60歳台、男性●意識障害、右片麻痺
症例case 71 40歳台、男性●痙攣、意識障害
症例case 72 60歳台、女性●左手の脱力
症例case 73 60歳台、男性●歩行時のふらつき
症例case 74 60歳台、男性●ふらつき、しゃべりにくさ
症例case 75 50歳台、女性●痙攣
症例case 76 20歳台、男性●左片麻痺
症例case 77 80歳台、男性●意識障害
症例case 78 50歳台、女性●頭痛、右上肢のしびれ、脱力、頻回の嘔吐、難聴
症例case 79 生後 13 日、女児●経口摂取不良
症例case 80 10歳台前半、女児●慢性嘔気、易疲労感
症例case 81 10歳台、男児●歩行時ふらつきと学力低下
症例case 82 1歳、男児●精神運動発達遅延
症例case 83 60歳台、女性●四肢・体幹の筋力低下
症例case 84 40歳台、男性●歩行障害
症例case 85 60歳台、男性●ふらつき、難聴
症例case 86 6歳、女児●痙攣、不随意運動
症例case 87 70歳台 男性●歩容悪化
症例case 88 50歳台、男性●立位保持困難、認知機能低下、筋力低下、歩行障害
症例case 89 40歳台、男性●ふらつき、歩行障害
症例case 90 50歳台、男性●全身倦怠感、食欲不振、左視力低下
症例case 91 30歳台、男性●ふらつき
症例case 92 30歳台、男性●もの忘れ
症例case 93 70歳台、女性●意識消失発作
症例case 94 20歳台、女性●頭痛、嘔吐
症例case 95 40歳台、男性●左下肢脱力
症例case 96 1歳、女児●運動発達の遅れ、低身長

【臨床で遭遇することが稀だが、記憶に留めてほしい疾患】40症例
症例case 97 60歳台、男性●視力低下
症例case 98 10歳台、女性●歩行困難、ふらつきの進行、下肢の疼痛
症例case 99 40歳台、女性●食欲低下、外眼筋麻痺、歩行障害
症例case 100 30歳台、女性●物忘れ
症例case 101 10歳台後半、女性●頭痛
症例case 102 30歳台、女性●右手の脱力、失語
症例case 103 20歳台、女性●強直性痙攣、健忘
症例case 104 40歳台、女性●頭痛
症例case 105 60歳台、女性●歩行障害、認知機能障害
症例case 106 1カ月、男児●無呼吸発作
症例case 107 30歳台、女性●意識障害、呼吸困難、四肢麻痺
症例case 108 70歳台、女性●歩行障害
症例case 109 40歳台、男性●脱力.構音障害
症例case 110 60歳台、女性●頭痛、意識障害
症例case 111 10歳台、女性●四肢脱力、両下肢感覚障害、排尿障害
症例case 112 40歳台、女性●持続する発熱、頭痛
症例case 113 40歳台、男性●両側視力障害
症例case 114 20歳台、女性●無月経
症例case 115 1歳 9カ月、男児●精神運動発達遅延、てんかん
症例case 116 4歳、男児●発育の遅れ
症例case 117 5 歳、男児●頭痛、異常行動
症例case 118 40 歳台、男性●目がちかちかする
症例case 119 10 歳台、男性●痙攣発作
症例case 120 3 歳、女児●精神運動発達遅延、突発性の動き
症例case 121 40 歳台、男性●四肢運動感覚障害
症例case 122 70 歳台、男性●錐体外路症状
症例case 123 60 歳台、女性●頭痛
症例case 124 70 歳台、女性●しゃべりにくさ
症例case 125 40 歳台、女性●舞踏様運動、認知機能低下
症例case 126 70 歳台、男性●頭痛
症例case 127 20 歳台、女性●痙攣
症例case 128 40 歳台、女性●ふらつき、構音障害
症例case 129 2カ月、男児●痙攣
症例case 130 12カ月、女児●筋力低下、上肢の筋緊張低下
症例case 131 60 歳台、女性●嘔気、ふらつき
症例case 132 30 歳台、女性●傾眠傾向、筋力低下
症例case 133 80 歳台、男性●歩行時のふらふら感(10年前より)、時折の転倒(3 〜4年前より)、
歩行困難(1 カ月前より)
症例case 134 70 歳台、女性●貧血、倦怠感、嘔気
症例case 135 4カ月、女児●嘔吐
症例case 136 4 歳、男児●精神運動発達遅滞


 九州・山口地区には各大学と関連病院から症例を持ち寄って検討会を行う九州神経放射線研究会(以下、本会)がある。神経放射線学を学ぶ同志としての友情を育むと共に、互いに切磋琢磨して知識を吸収する大切な会である。原則として1年間に10回開催してきた。コロナ禍にはWEBを活用した検討会に移行を余儀なくされたが、参加者が多くなる利点もあった。
 本会は1980年夏に発足し、すでに300回を越えた。発起人としては奥寺利男先生、沼口雄治先生、後藤勝彌先生の3名が記録にあり、福岡大学に事務局を構えていた。1984年頃に九州大学に、1988年には熊本大学、2003年に産業医科大学、2021年に熊本大学に移っている。九州での数多くの神経放射線ワークショップ、日本神経放射線学会、国際学会などが主催され、皆で楽しく学べてきたと振り返ることができる。そして、これからも続いていく原動力となってくれると信じている。
 本会では1995年に「症例による中枢神経系のMRI」がメンバーの急逝をきっかけに発刊され、それは第130回あたりに相当していた。2014年に「WHO分類による脳腫瘍のMRI」を第200回記念事業として発刊した。故高橋睦正先生への恩返しとなればとの記載が興梠征典先生の序に記されている。本書は第300回記念事業として研究会の主要メンバーを中心の著作に上谷浩之先生の献身的な作業があり、平井俊範先生と吉浦敬先生が編集された力作である。今回も従来を踏襲して症例を主体に学ぶ形式となっている。それぞれに新たな試みを入れ込んだ工夫がなされてきたが、今回はWeb動画との連動が目新しい。これでまた一つ本会の業績が積み上げられると共に、メンバー各位の努力が実ることとなる。
 本書を含めこれら3冊ともが金原出版株式会社にお世話になっており、今回は栗原良平氏のご尽力に負うところが大きい。そして、脳神経外科医、脳神経内科医、病理診断医などの関係各位のご協力なしに本書は完成しなかったことは間違いない。深く感謝申し上げる。多くの皆様に手にしていただき、何かしらの役に立つことができれば、我々にとって大きな喜びである。

久留米大学医学部放射線医学講座 教授
安陪 等思


 九州神経放射線研究会の第300回を記念して、本書「症例で学ぶ中枢神経の画像診断」を発刊した。今まで本研究会からは2冊の書籍が刊行されているが、1995年に刊行された「症例による中枢神経系のMRI」のスタイルを本著でも踏襲している。いわば初刊版の28年ぶりのリバイバルである。
 初刊版同様に2ページ掲載を基本として、実地診療の流れに沿い、はじめに症例の主訴・現症・経過と画像を示した後、一旦診断(疾患名)を考えていただき、正解を次ページの解説で確かめるクイズ形式となっている。今は多くの類書でこの形式が採用されているが、当時は斬新さがあった。症例は血管障害、腫瘍、炎症性疾患、変性・代謝性疾患などを類推できないようアトランダムに配置し、日常診療における読影をリアルに再現している。また、構成は難易度別に「臨床で遭遇する頻度が高く、見逃してはいけない疾患」、「臨床で遭遇する頻度は低いが、知っておくべき疾患」、「臨床で遭遇することは稀だが、記憶に留めてほしい疾患」の3段階に分け、中枢神経の画像診断に興味がある初学者から神経放射線のエキスパートの方まで楽しめる内容になっている。「臨床で遭遇する頻度が高く、見逃してはいけない疾患」では鑑別に重要な疾患の画像を含めて解説し、複合的・包括的に学べるスタイルにしている。そのほか症例によってはWeb動画も掲載され、既存の類書にはないICT を活用した教科書になっている。
 34年前に私が入局した熊本大学放射線医学教室には神経放射線の大御所の高橋睦正先生、恩師の興梠征典先生がおられた。初刊版の「症例による中枢神経系のMRI」が刊行されたときには、私は神経放射線を学び始めた大学院生でその本の幾つかの項目の執筆を恩師の指導の下で担当したことを今でも鮮明に覚えている。その初刊版を目にすると、当時の大学院生時代や九州神経放射線研究会で楽しく学んだことがよみがえってくる。今回、本著を刊行できたことに対して、九州の神経放射線を導いてくださった歴代の先生方に感謝の意を表する。
 本書は、神経放射線の画像診断において基本となる疾患から最新の情報まで網羅し、放射線科医、脳神経内科医、脳神経外科医のほか脳に係わる診療科を目指す専攻医・研修医・医学生、診療放射線技師の役に立つことを願っている。最後に発刊にご尽力いただいた九州神経放射線研究会の世話人やメンバーの方々、事務局長の上谷浩之先生、金原出版株式会社の栗原良平氏に本研究会を代表して御礼申し上げる。

熊本大学大学院生命科学研究部放射線診断学講座 教授
平井 俊範


 この「症例で学ぶ中枢神経の画像診断」は、九州神経放射線研究会(以下、本会)の第300回を記念して企画された。研究会の症例検討で提示されたものを中心に、136症例がコンパクトに、Web動画も取り入れたクイズに近い形式で書籍としてまとめられている。難易度別の構成にもなっていて、神経放射線の初学者から経験豊富な方まで、広く楽しんでいただける一冊になっている。特定の疾患について調べるために辞書的に使うことももちろんできるが、問題集のように、問題を解きながら読み進めて、診断力の総合的なレベルアップに利用していただくこともできると思う。
 本会から、過去に2冊の教科書が上梓された。最初の「症例による中枢神経系のMRI」(1995年4月上梓)、2冊目の「WHO分類による脳腫瘍のMRI」(2014年4月上梓)は、いずれも好評を博した。この序文を執筆するにあたり、「症例による中枢神経系のMRI」を改めて開いてみると、28年間の変化を実感することができた。まず、MRI の撮影法については、FLAIRがなく、プロトン密度強調画像が広く使われている。拡散強調像や磁化率強調像も全く出てこない。収載されている症例も、脳腫瘍や脳血管障害をはじめとする脳外科疾患が大多数で、解説文には、「常染色体優性遺伝」のような記述はあっても、遺伝子変異に関する具体的な記載はない。ご存じのように、その後様々な新しい撮影技術が導入されるとともに、中枢神経領域における画像診断の役割が急激に拡大し、現在では神経内科疾患や精神疾患も含めた幅広い疾患に関する知識(画像・臨床、そして遺伝子まで)を身に着けることが求められるようになった。ベテランの先生でも、日々新しい知識を吸収していかないと、いつの間にか取り残されてしまう不安を感じておられるのではないだろうか。本書は、幅広い領域の疾患の最新情報を網羅し、そのようなニーズにも応えることができると思う。これまでの2冊の教科書と同様に、九州・山口の神経放射線科医の日々の精進から生み出された本書が、全国の先生方のお役に立つことを心より祈念する。

鹿児島大学大学院医歯学総合研究科放射線診断治療学分野 教授
吉浦 敬