マンモグラフィ診断の進め方とポイント 第5版 [Webでみる拡大画像付]

全症例を新規差し替え! 認定試験ステップアップにも好適!

著 者 東野 英利子 / 角田 博子 / 秋山 太
定 価 7,480円
(6,800円+税)
発行日 2021/05/20
ISBN 978-4-307-07121-5

B5判・420頁・図数:860枚・カラー図数:340枚

在庫状況 あり

前半は撮影法・トモシンセシス・正常構造・読影基本・病変位置・所見用語・読影の流れ・ピットフォール・病理を丁寧に解説し、最新『ガイドライン』および『乳癌取扱い規約』を反映した。後半では新規全119症例の読影術を実践的に解説し、Web上でマンモグラムを拡大できる画像サービスも付加した。初学者はもちろん認定試験ステップアップにも好適の一冊。
1章.基本的撮影法と追加撮影法
 I.基本的撮影法(MLO撮影およびCC撮影)
  1.MLO撮影およびCC撮影に共通するよいマンモグラフィ(特にポジショニング)とは?
  2.MLO撮影において重要なことは?
  3.CC撮影において重要なことは?
 II.追加撮影法
  1.ML(mediolateral)撮影
  2.外側強調(exaggerated)CC撮影
  3.スポット(spot)撮影
  4.拡大撮影
  5.接線撮影(tangential view)
  6.Eklund technique(インプラントによる豊胸術後の撮影法)
  7.Cleavage view(valley view)

2章.トモシンセシス(および合成2D画像)<新設>
 I.トモシンセシス(および合成2D画像)
  1.トモシンセシスの原理
  2.読影の実際
  3.利点
  4.欠点
  5.注意点

3章.乳房の正常構造
 I.正常乳房のマンモグラム
 II.乳房の構成と評価法
  1.4つの乳房構成
  2.乳房構成の評価
 III.乳房の微細構造

4章.マンモグラム読影にあたっての基本事項
 I.撮影装置の基本(被ばくを含む)
  1.マンモグラフィの種類
  2.マンモグラフィ撮影装置の概略
  3.モニタ
  4.被ばく
  5.撮影条件の表示
 II.読影の基本
  1.読影の基本
  2.読影手順
  3.読影手順のカスタマイズ

5章.病変の位置
 I.1方向撮影の場合
 II.2方向撮影の場合
  1.診療マンモグラムの場合
  2.検診マンモグラムの場合
  3.1方向でしかみえない場合の考え方

6章.読影と所見用語の説明
 I.カテゴリー判定
  1.検診カテゴリー
  2.診断カテゴリー
 II.所見の解説
  1.腫瘤
  2.石灰化
  3.その他の所見

7章.マンモグラム読影の実際
 I.腫瘤
  1.境界明瞭平滑な腫瘤
  2.微細分葉状、微細鋸歯状、境界不明瞭な腫瘤
  3.スピキュラを伴う腫瘤
 II.局所的非対称性陰影(FAD)
  1.真の腫瘤と乳腺の一部との鑑別
  2.真の腫瘤かどうかの判定
 III.石灰化
 IV.その他の所見
 V.総合的な判定
  1.1つの疾患が複数の所見を呈する場合
  2.2方向撮影での評価
  3.比較読影
  4.いわゆる総合判定

8章.読影のピットフォール<新設>
 I.見落とし、読みすぎを防ぐポイント
  1.“Milky way”をチェック
  2.2方向撮影で1方向のみ描出された病変をどう読むか
  3.脂肪で押される乳腺組織が腫瘤の辺縁のようにみえる場合のチェック方法
  4.MLO撮影の上方外側部分にはバリエーションが多い
  5.内側あるいは下方部分の非対称性のdensityに注意
  6.乳頭直下部分に注意
  7.乳腺組織の辺縁をぐるっと一回りチェック
  8.左右乳房の撮影条件をチェックしよう
  9.比較の方法?脂肪の位置関係で病変を知る

9章.病理
 I.腫瘤
  1.境界明瞭平滑な腫瘤
  2.微細分葉状、微細鋸歯状、境界不明瞭な腫瘤
  3.スピキュラを伴う腫瘤
 II.石灰化
  1.壊死型
  2.分泌型
  3.間質型
 III.その他の所見
  1.構築の乱れ
 IV.乳癌のサブタイプ分類
 V.組織学的治療効果の判定基準
  1.判定基準分類
 Appendix
  1.ステレオマンモグラフィガイド下吸引式組織生検について
  2.石灰化を指標とした針生検の病理診断

10章.症例(全119症例)
 腫瘤(35症例)
 石灰化(25症例)
 構築の乱れ(16症例)
 FADを含む非対称性所見(10症例)
 術後(14症例)
 正常バリエーション等(12症例)
 豊胸術等(3症例)
 炎症性乳癌(2症例)
 妊娠・授乳期乳癌(2症例)
第5版の序

 初版本を出版してから20年が過ぎました。初版時にはスクリーン/フィルムであったマンモグラフィはデジタル化され、モニタで観察・診断するようになりました。第4版の改訂後、2018年5月に日本乳癌学会編「乳癌取扱い規約 第18版」が発刊され、病理診断の記載法が変わり、乳房の局在は区域と記載されるようになりました。また2021年は春には(社)日本医学放射腺学会/(社)日本放射線技術学会編集の「マンモグラフィガイドライン」も改訂される予定です。そこで、今回症例をすべて新しくし、上記に準拠した内容としました。

 本書の特徴はマンモグラフィの本でありながら、症例においては超音波画像やMRI画像、トモシンセシスの画像等を追加していることです。まずはマンモグラムを見て、所見、conclusionに書かれていることが、受け身ではなく自分の言葉として発せられるようにする、そしてその他の画像、最終診断で理解を深めたのちに再度マンモグラムを振り返る、そのような使い方をしていただくのもよいかと思います。第4版の改訂時に症例写真をデジタル画像とし、金原出版のホームページにアクセスすることによってご自分のPCで画像が確認できるようになりました。今回もそれは変わりません。今回はマンモグラムの元画像を解像度の高いものにしました。特に石灰化などは拡大して詳細を観察して頂ければと思います。

 今でもマンモグラフィは乳房画像診断の基本的手法で、乳がんスクリーニングの方法として世界で認められた唯一の方法です。両側乳房各1枚あるいは2枚の写真からどこまで情報を引き出すことが出来るか、私たち自身が初版から20年の間に気が付き工夫してきたようなポイントも述べさせていただきました。また、マンモグラムは出来上がった画像ですが、マンモグラフィは装置・撮影方法・読影機器・読影のすべてを含んでいます。読影をする際に知っておいて欲しい、それらの基本的事項についても記載しました。マンモグラフィの読影力の向上に本書が少しでも役立つことが出来ればと願っております。

 最後にご協力頂きました聖路加国際病院放射線科 福田俊憲医師、改訂に携わっていただいた金原出版 宇野氏、また初版から出版をお引き受けいただきました金原出版株式会社に深く感謝いたします。

2021年3月

東野 英利子
角田 博子